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「おい~っす、つくんこ」
「むぐっ…急に何だよ」
朝っぱらから首に腕を巻いてくる 彼は渡辺涼。
短いツンツンとした黒髪が特徴的だ。
「そういやさ。お前、昨日萩谷と一緒にいた?」
「え?」
「ぁ、いた」
「だよな!俺調度見かけてさ~
声かけようか迷ったんだけど、萩谷がいたから逃げた!」
「この薄情者!!お前がいれば何か違ったかもしれないのに!!!」
てへっと笑う友人に半泣き状態でキレる。
「まぁまぁ、そんな怒んなさんな」
「渡辺…お前だけは許さない…
末代まで呪ってやる、、」
渡辺と2人で笑いあっているとチャイムがなってしまった。またなと席に戻ろうとする渡辺に返事をし自分も黒板に向き合う。
すると、数分もせずに萩谷が入ってきた。
これまでの萩谷と何ら変わりない。
(昨日のは何だったんだ…)
ぐるぐると考え出したら止まらない。
その日のSHRはずっと上の空だった。
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完全下校を示すチャイムがなる。
もうそんな時間か、と日誌を書くのを辞め時計に目をやる。
すると、それまで静まり返っていた廊下から足音が聞こえた。
「よっす~、お前まだ帰んないの?」
予想通り渡辺だった。
「んー…終わらない、、」
「授業の合間合間 書かないからだよば~か」
と言いつつも教室の戸締りをしてくれている渡辺に感謝しかない。
「あとどんぐらい?」
「欠席のとこ」
「うわっめんどいとこじゃん 」
「んー、、、今日誰休んでたっけ…」
「ぇ、、っと」
矢島と、中と、と指をおり数え始める渡辺。
そんな彼に心から感謝をする。
ふと、廊下を見ると渡辺のガールフレンドが立っていた。
「数えてるとこ悪いけど、内田さん待ってるよ」
「えっマジ!悪い俺帰るわ。頑張れよ!」
「ん、ありがとう」
また明日ーと廊下から大きく手を振る渡辺に颯太も手を振り返す。
渡辺と内田の手はキツく握られている。
「…いいな」
ボソッと呟いたそれは静まり返った教室に消えていった。
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日誌と教室の鍵を職員室に預け、早歩きで廊下を歩いていく。
日誌を書くのに時間をかけすぎて少し遅くなってしまった。
後ろからドアを開ける音がする。
ぎゅっ、ぎゅっと変な音がするから振り返って見るとダンボールのお化けがいた。
ひっ、と小さな悲鳴を出してしまいダンボールのお化けがピタッと止まる。
そのせいでグラグラと不安定だった上の方のダンボールが落ちてきそうになる。
「っわ危な」
間一髪のところでダンボールをキャッチした。
「筑紫くん!?」
「え、萩谷先生」
「…手伝います」
昨日のことを思い出し、気は乗らないが萩谷の首ら辺にあるダンボールを取る。
「ありがとうございます」
と相変わらず表情の読めない顔で口元だけを緩める。
「…いえ、俺も、、昨日はありがとうございました」
「いえ~、足は大丈夫ですか?」
「はい」
良かったですと多分笑っている萩谷の後ろをついて行く。
「…これ、どこに持ってくんですか?」
「化学準備室です」
「ぁー」
萩谷はこう見えて理科が担当教科である。
そのため年中白衣を来ている。
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