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──ワイン一杯だけだから心配はないと思っていたのに、
帰りの電車の中で、彼はあっさりと眠りに落ちてしまい、あろうことか私の肩に寄りかかってきた。
まさかのワイン一杯でなんて……あれってもしかしてフラグだったの?
たぶん今日の疲れが手伝ってということもあるんだろうけど、肩にもたれて眠ってしまうだなんて、非常にまずい事態に陥ったことを痛感する。
少しでも動けば、彼の頭がずり落ちてしまいそうで、微動だにできないまま座席で固まる。
あまりの距離の近しさに胸の鼓動が早くなり、彼の纏ったムスクの香りに鼻腔がむずむずとくすぐられる。
あーん、どうしたらいいの? これじゃあ、生殺しみたいで……って、さすがに生殺しは違うよね?
もう、もし私が男だったらコントロールが効かなくなりそうだし! ああでも、私が男だったとしても、彼も男なわけで、その発想は間違ってるか……って、だから、違うってば!
私ったら、興奮しすぎて全く何を考えてるんだろう……。