テラーノベル
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ある日、食事中に豚っ子が報告に来た。
そしてある事を思いついた。
私はいつもご飯をそんなに食べない。
その為いつも残飯が出るのだが、その度に野良犬に上げていた。
最近は牢屋にお届けしている。
だが、そういえば豚っ子には持ちかけてないことに気づいた。
丁度食べ終えた所で、残飯に変わった私の食事。
去ろうとする豚っ子に声をかけた。
「ねぇ」
「ハイ。」
従順な豚っ子だし嫌な顔せずに食べるよな、食費少しは浮くだろうし。
「これ…」
「野菜…?がどうしました?」
「あぁ、えっと私の残し物」
だが、思っていた反応とは裏腹に被りもの越しでも分かりやすく顔が歪んだ。
少し歪んだ顔が伝染した気がする。
「嫌なら捨てて…、いるならあげるってだけ。」
思わず言い訳してしまった。あと捨てるぐらいなら野犬にあげてほしい。
なんて思いながら反応を待つ。
「…食べ物を捨てろと?」
…すぅー、怒ってるこれ。
豚っ子は律儀だとは思っていたけど、食べ物にも律儀なのか。
偉い、偉いけど私には不都合だった。
「まぁ、保存してても腐っちゃうし」
「なら俺らが食べます」
了承の返事に”あっ、良かったぁ”なんて思いながら笑みが溢れた。
「ありがとう…、無理はしないで大丈夫」
「あの」
時が止まる。
睨まれている。
母親に叱られている感覚に汗が頬を撫でた。
「食べ物大事に出来ないなら、死んでもいいんじゃないですか?」
…親戚が遠い国へ引っ越して以来の叱り。思わず見入ったと同時に、懐かしいと感じた。
「…そうかもね」
彼は出ていった、悪いことをしたな…なんて考えながら私は食器を片付けた。
その日はふて寝した。
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