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その日の夜。
私は机に向かい、爆速で魔獣カフェ事業計画書を仕上げていた。
配置図。客導線。餌やりタイムの管理。毛糸収穫体験。オリジナルキーホルダー作成ワークショップ。安全対策。売上予測。
夢中になるあまり、気づけば夜明け前だった。
(……ついつい徹夜してしまったわ)
***
翌日。
私はクラスメイトたちを集め、ホワイトボード――もとい魔法板を叩いた。
「コットン・キャンディ・シープを、魔獣カフェのメインに据えるわ」
魔法板には、ふわふわの羊のイラストと、カフェの見取り図が記されている。
「この魔獣は、魔力を吸うと相手の属性によって毛色が変わる。その特性を生かして、収穫した毛糸でオリジナルキーホルダーを作るワークショップをするの」
「おお……!」
「可愛い!」
「自分の属性カラーで作れるってこと?」
生徒たちの反応は上々だ。
「キーホルダーの編み図は、フローラにお願いするわ。可愛い編み方をいくつか考案してちょうだい」
「はいっ! お姉様のために頑張ります!」
フローラが両手を胸の前で握り、ぱあっと笑った。
(可愛い。もうこの笑顔だけで文化祭で優勝できるわよ!)
「そして、アレクとレオン」
私は二人に、飼育棟の教師から渡された革製の首輪とリードを手渡した。
「この子たち……数日に一度、広い場所で余分な魔力(魔力静電気)を放出するための散歩が必要なの」
「散歩?」
「ちょうど三日も散歩させていないらしいから、今すぐ校庭に連れて行って」
二人は首輪とリードを見下ろした。
「いい? 首輪は優しく、でも迅速につけて」
「くれぐれも毛並みを傷つけないようにしてちょいうだい」
私はマニュアルを指で叩く。
「唯一の弱点は水。なにかあれば水をかけて毛をしぼませて。そうすれば大人しくなるから」
「了解した」
「お安い御用だよ、バイオレッタ」
二人は自信満々で羊たちのもとへ向かった。
……あんな惨劇になるとも知らずに。