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なっちゃん
709
みー
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ロノ君から朝食を届けてもらい、ちょうどいい量のごはんを食べた。
そして、私は見て見ぬふりをしていたとある問題を解決すべく、ベリアンを呼んでもらった。
『・・・あの、非常に申し訳ないんだけど・・・私、名前を覚えるのがすごく苦手で・・・』
「そ、そうですか・・・大丈夫ですよ、ゆっくり覚えてください」
『うん、ありがと・・・でもね、もうそう言うレベルじゃないの・・・』
「・・・と言いますと?」
『学校で3年間同じクラスだった人の名前すら曖昧なの・・・』
「・・・はぁ・・・」
『だから、多分ね、執事さん達の名前も・・・全員分覚えられないと思う・・・』
「それは・・・えぇと、なんと申し上げたら良いか・・・」
『だから・・・その、名札とか付けてくれるとありがたいなぁって』
「名札・・・ですか」
『うん・・・』
「・・・分かりました、皆さんに伝えておきます」
『ごめんね・・・』
「いえ・・・大丈夫ですよ」
『・・・ちなみに、名前聞いてもいい?メモしたい・・・』
「・・・ベリアン、と申します」
『ベリアン、ね。ありがとう・・・
ホントにごめんなさい・・・』
と言うわけで、執事さん達には名札を付けてもらうことになった。
ご迷惑をおかけして申し訳ない。
メモ帳とペンをポッケに入れて、執事さん達に会ったらどんな人か書き留めておくことにした。
今日は本の気分ではなかったので、庭を散歩することにした。
ぽかぽかのお日様が眩しいけど、温かくて気持ちいい。
『わ〜・・・すごい・・・』
美しく咲き誇っている花々に言葉を失う。
花壇一つ一つ丁寧に世話されているらしく、どれも元気いっぱいで瑞々しい。
花の名前も種類も全然知らないが、可愛い花をつけている低木の側にしゃがんでじっくり見てみる。
スマホがあれば調べられたのに・・・でもネット使えないのか・・・写真だけ撮って家に戻ってから調べれば良いのか?
などと考えていると、背後から声を掛けられた。
「あれぇ、もしかして主様っすか?」
『!?ぅえ、あ、はぃ!?』
慌てて立ち上がって振り向くと、白い髪の先の方だけ赤く、沢山ピアスをしている、チャラそうなお兄さんが立っていた。
「あはは、びっくりさせちゃったっすね。
俺は、アモン・リードっす。名札もちゃ〜んと付けてるっすよ」
『あ、ホントだ・・・アモン君・・・
あ、えっと、主になりました〇〇です。これからお世話になります』
案外ヤンキーって感じでは無かったアモン君にホッとしつつ、こちらも自己紹介をした。
でも、かなり陽キャな雰囲気の彼とはあまり関わることはないかな・・・
メモ帳に「アモンくん 陽キャ、ピアス、白髪」と書いておいた。多分これで分かるはず・・・
メモし終えた私にアモン君はどんどん話しかけてくれた。
庭は自分が手入れしていること、季節に合わせて花を植えていること、たまに花壇にパセリが植えられていること・・・
そして、私の好みも色々と聞いてくれる。
どんな花が好き?どの色が好き?今度部屋に飾ってほしい花はある?・・・
話し上手な彼の話は聞いていて面白かったし、話の引き出し方が上手く話しやすかった。
アモン君と別れて、思ったより話し込んでしまったな、と考えながら散歩を再開した。
木が何本か植えられていて、のどかな感じがする一角に出た。
たまにガサガサと物音がするから、草むらに野生の動物とかが居るのかも知れない。
ウサギとか、たぬきとか?
猫ちゃんだったら撫でさせてほしいな〜。
そんなことを考えながら進んでいると、明らかに人間の脚みたいなのが見えて凍りついた。
(人倒れてる!?なんで!?)
恐る恐る近づいてみると、綺麗な青い髪をポニーテールにした人が倒れていた。
女性かと思ったが、服装と身長的に男性かな?
少し離れたところで声を掛けてみる。
『あ・・・あの〜・・・』
「・・・」
『大丈夫ですか〜?・・・生きてますか〜?』
「・・・」
返事がない、まるで屍のようだ。
(え〜・・・どうしよう・・・
でも放っといて死なれたら私が悪いってことになりそうだしなぁ・・・)
私は更にビクビクしながら倒れている男性に近づき、肩を叩いてみる。
『あの、大丈夫ですか、意識ありますか』
昔習った気がする救命処置を思い出しながらそう言うと、男性は眉を寄せて起き上がった。
『うわっ・・・』
「あ゛ぁ?」
(起こしちゃダメだった!!!!)
どすの利いた声で威嚇され、私は怖い人に接触してしまったことを悟る。
『ひっ、すみません、すみません!』
震えて言うことを聞かない膝に鞭打って立ち上がり、少しずつ後ろに下がる。
怖いお兄さんはのそっと立ち上がり、私を睨みつけた。
上からの威圧感が凄い・・・。
「おい、アンタ」
『ひぃっ、は、はいっ・・・』
(やばい、声かけられた!逃げる!?)
「・・・もしかして、主様か?」
『・・・え?』
「・・・違うか、じゃあその辺のガキか・・・とっとと帰れよ」
『ぁ、いや、その・・・』
「なんだよ」
『イエ、ナンデモナイデス・・・』
主だと言おうとしたが、圧に耐えきれずそそくさと逃げ帰ってしまった。
『もうやだ・・・お外怖い・・・』
やっぱり引きこもっていよう、と書庫に向かうと今日は先客が居た。
赤茶色の髪で片眼鏡を掛けている長身の男性。
見るからに真面目そうで、話しかけやすい感じの人だ。
本が好きな人が居るのは嬉しいな、と勝手に仲間認定しウキウキしながら面白そうな本を探し始めた。
(あ、上の方のやつ、面白そう)
視界に入りにくかった上段の本も見ていると、興味を惹かれるタイトルのものがいくつか見つかった。
生憎踏み台がないと取れない高さだったので、読書スペースから椅子を引き摺ってきた。
(よしよし、届いた。これと、これと、あとあっちの・・・届かないか)
隣の本棚の本も取ろうと手を伸ばすがあとちょっとで届かない。
椅子を移動させなければ、と思うが面倒だしあとちょっと頑張ればイケそうなのが悔しい。
(うおおお!頑張れ私!多分イケる!)
必死につま先立ちして本棚にしがみつき、目当ての本に手を伸ばした。
指先を本の表紙に引っ掛けて何とか引っ張り出す。
(いい!イケる!)
すぽん、と本が取れた。
(よっしゃ、イケた!やるじゃん!?)
普段使わない筋肉を変な方法で使ったため体中が痛いが、謎の達成感を感じ気分が良い。
さあ部屋でゆっくり読もう、と振り返った瞬間、メガネの男性と目が合った。
「!?す、すみません!!」
男性は慌てて本棚に隠れてしまった。
私はさっきの馬鹿みたいなチャレンジを見られた恥ずかしさで、自分を殴りたくなった。
(・・・シニタイ・・・コロシテ、コロシテ・・・)
椅子を片付け本を抱えて部屋に戻るまでの間、ずっとそんな言葉で頭が埋まっていた。
ベッドサイドに本を積んで、ベッドにうつ伏せになって死んだふりをしていると、誰かが扉をノックしてきた。
『あ、はぁい』
「失礼いたします、ハウレスと申します。今お時間いただいても宜しいでしょうか?」
『あ、大丈夫です、どぞ・・・』
背が高く、短い青い髪で宝石みたいな紅い目のお兄さんが入ってきた。
「先ほどフェネスから書庫に主様用の踏み台を置いてほしい、と頼まれまして。
どのくらいの高さが必要か確認させていただいても宜しいでしょうか?」
『は、はい』
2人で書庫に移動し、一番高い本棚の前にハウレスさんが箱をおいた。
「これに乗ってみていただけますか」
『はぁい』
「一番上の段に届きますか?」
手を伸ばしてみたが、上から2段目の中程までしか届かなかった。
『んぐ・・・』
頑張って背伸びをしても最上段の仕切りに触れるか触れないか・・・。
「・・・もう結構です、下りてください」
『あ、はい』
見苦しいものを見せてしまった、と反省しつつ下りた。
ハウレスさんは箱の上に木の板を何枚か置いて、もう一度登ってほしいと言った。
今度はちょっと頑張れば最上段の本も取れた。
「では、これくらいの高さで作りますね」
『お願いします』
「・・・あと、高いところの本を取るときなどは無理せず、執事に頼ってください。
フェネスが主様が椅子から落ちそうで怖かったと言っていましたよ?」
『フェネスさんって、メガネかけてる背の高い人・・・ですか?』
「そうですが・・・あれ、話していなかったのですか」
『うん、邪魔になるかと思って・・・』
「遠慮なく申し付けてください。
お怪我をなさったらどうするつもりだったのですか」
『・・・ごめんなさい・・・』
部屋に戻ってメモ帳に「ハウレス 背高い、青い短髪、紅い目、真面目」「フェネス 背高い、紅い短髪、片眼鏡」と書き加えた。
そう言えば、庭で寝ていたヤクザみたいなお兄さんは誰だったんだろう。
昼食を持ってきてくれた馬のお世話係の子に名前を聞くついでに教えてもらうと、すごく微妙な表情をしながら「多分ボスキさんだ」と教えてくれた。
私はメモ帳に「バスティン 緑の髪・横の髪だけ長い、料理の補助と馬の世話係」「ボスキ 青い髪・ポニーテール、怖い」が新たに加わった。
コメント
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読み終えたわ!第2話、めちゃくちゃ好きだわこの空気感。主人公の「名前覚えられない問題」が名札導入って解決策になるの、可愛いし親切だよな。庭で出会った陽キャなアモンと、寝てたボスキのギャップがすごくて笑った。フェネスに変なとこ見られた後の「シニタイ…」は分かりすぎて胸が痛い(笑)。でもハウレスの踏み台の気遣いにじんわりした。執事たちのキャラがどんどん立ってきて、次が楽しみ!