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「…これからは友達だ」
それから月日が経って、マルフォイとy/nの仲も順調に深まっていた。
朝食の時間、大広間
2人はクラッブ、ゴイルも連れていつものように4人で集まっていた。マルフォイとy/n、クラッブとゴイルのペアで別れて互いが正面にくるように座っている。
ダンブルドアの話が終わり、それぞれの寮のテーブルの上には魔法で一斉に料理が並べられた。
皆は友人達と楽しそうに談笑をしながら食事を始め、大広間は朝から賑わっている。
食事をしている最中、マルフォイは無意識にy/nの方をチラリと見ると、視線はy/nの目から口元に移った。
「…y/n。口元にソースが付いてる」
マルフォイは呆れた様子でそう伝えると、y/nは恥ずかしそうにして何度も口元を拭うが、中々汚れている場所に当たらない。
マルフォイは小さくため息をつくと、ティッシュを1枚手に取る。
「ほら、こっちを向くんだ。…動くんじゃないぞ」
マルフォイはy/nの顎を片手で優しく掴み、ソースを丁寧に拭った。
突然の動作に、y/nはポカンとしている。
「あ、ありがとう…」
y/nからお礼をされると、マルフォイはハッと我に返ったのか徐々に頬が赤く染まっていく。
「…うるさい。隣で汚れたまま居られたら、気分が悪くなるだろう」
と、照れ隠しにしか聞こえない事を言った後は再び食事を始めた。
時間はあっという間に流れ、夜。ホグワーツはすっかり静まり返っている。
その頃、y/nとマルフォイはスリザリンの談話室でくつろいでいた。
マルフォイがソファに腰掛け、足を組んで険しい表情を浮かべながら読書をしている中、y/nは読書に飽きてしまったのか本を開いたままウトウトとしている。
「おいy/n。眠いなら寝室に行くぞ」
マルフォイがそう言っても、y/nは曖昧な返事しかしない。
そのため、マルフォイは小さく息を吐くと、本を鞄の中に入れて立ち上がる。
「ほら、立つんだ」
そう言って談話室から出る準備を進めるも、y/nは
「動けない…眠い」
と力無い声で言うばかり。
マルフォイはしばらく考え込んだ後、 全く… と言ってy/nの方へと近付き、軽々しくy/nの体を抱き上げた。
「…え?」
突然の事にy/nの眠気は覚め、驚いた顔でマルフォイを見つめた。
「…何だよ。動けるなら降ろすぞ」
マルフォイは見つめてくるy/nの視線に耐えきれず、思わず顔を背ける。その表情からは苛立ちだけではなく、どこか優しさも感じられた。
あれから2人は寮の寝室へと向かい、それぞれのベッドに入って電気を消した。
結局、降ろそうとするとy/nが駄々をこねた為、マルフォイは抱きかかえたままy/nを寮の寝室まで運んだ。
寝室の中は暗闇に包まれ、生徒達の寝息だけが響いている。y/nも気持ちよさそうに眠っている。
そんな中で、マルフォイだけは寝付けずにいた。どうにも、頭の中でy/nの事ばかり考えてしまう。
「くそ、なんなんだ」
小さな声でそう呟くも、相変わらずy/nの顔が頭から離れない。
「…さっきのy/n、中々可愛かったな」
無意識にそう言葉が漏れてしまった。それに気付いたマルフォイは、慌てて自分の頬を抓り、 何を言ってるんだ、僕は! と自分以外には聞こえない声量で言った。恥ずかしさで顔は熱くなる。
それを隠すように、布団の中に潜ってギュッと目を瞑った。