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るぅ。
#めておら
ゆうなほ
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#ご本人様とは一切関係ありません
シャオ🦎🔰@がんばり中
2,118
⚠️ATTENTION⚠️
※センシティブですが、挿入はないです※
エクソシストキルシュトルテ×冒険者(勇者)弐十です。
そういえばあの2人はファンタジーっぽい方達だったなと思い立って書き始めました。
書いてるうちにちょっとずつキャラが迷走してしまった気がするので、自己責任で読んでください。
読んだ後の苦情は受け付けません。
さらっと軽めに終わらせるつもりだったのに1万字超えてしまいました。
もう少し続きがある予定なのですが、流石に1万字超えたので一旦区切りとして投稿します。
執筆ペースはかなり遅いので、続きはないかもくらいの気持ちで読んでください。
「……っ、ツイてないなぁ……」
脚を引き摺りながら、当てもなく森の中を彷徨う。
事の発端は、ギルドで低級モンスターの討伐依頼を受けたことだった。いつもの行動範囲から少し外れているエリアではあるが、他の薬草探しや荷物配達の依頼よりは報酬がいい。迷わず依頼を受けて指定されたエリアに向かい、討伐対象が現れたので剣を抜いたとき、周囲の茂みから同じモンスターを複数従えた上級モンスターが現れた。
知能が高く、自らより格下のモンスターを従える多腕生物。目の前に現れた種は初めて見たが、以前同じような種を見たことがある。低級モンスター1匹の討伐報奨金では全く割に合わない。
慌てて逃げようとしたが、そもそも多勢に無勢、加えてボスの知能も高いので、逃げるだけでも苦戦を強いられた。不覚にも脚に深傷を負ってしまった俺は、スピード勝負で不利になり、とりあえず身を隠せる場所を、と、近くの森に逃げ込んだのだ。背の高い木々と低木がひしめく森は、モンスターから身を隠すにはうってつけだったものの、土地勘のない森に入り込んで簡単に脱出できるわけもなく、こうして出口を求めて彷徨っているのである。
「……っく」
定期的に脚の傷がじくじくと痛む。先ほど応急処置として止血はしたが、傷のせいか、じわじわと熱が上がってくる。
(毒……とかじゃないといいけど……)
以前見た種は、複数の腕の先に毒を含む爪を持っていた。今回遭遇したのも全く同種ではないにせよ同族だとしたら、毒を持っている可能性は十分にあり、この発熱の原因が単なる傷なのか毒なのか、判別ができなかった。まさかあんなのに遭遇すると思っていなかったので、解毒薬も持ち合わせていない。
(くらくらする……)
段々と視界がぼやけて息も上がってくる。周囲も暗くなってきて、このまま夜を迎えてしまうのは非常にまずい。どこか、安全なところを探さないと。剣に体重を預けるようにして歩いていると、木々の向こうに、石造りの建物が顔を覗かせた。鬱蒼とした森の中で、そこだけ少し木が拓けていて、小さな井戸もある。とても人が生活できるような森には思えなかったが、屋根から井戸に渡されたロープにかかる洋服が、ここで確かに誰かが生活していることを物語っていた。
(ちょっとここで休ませてもらおう……)
家に入れてもらわなくてもいい。軒下を借りて少し休憩しよう。最後の気力を振り絞って歩いていると、不意に後ろから声をかけられた。
「あんた、誰?」
「……っ、!?」
驚いて振り返ろうとして、怪我をした脚ではバランスが取れずひっくり返る。ドスン、とまぁまぁな音を立てて倒れた俺の視界に入ってきたのは、柔らかなハニーブロンドだった。
「大丈夫?」
次いで、薄青の瞳と、首から下げられた十字架。教会関係者だろうか。
「だ、大丈夫……ではないんですけど、大丈夫です」
「そう?」
差し出された手を素直に借りて身体を起こす。剣を支えにして立ちあがる不自然さに、必然的に脚へと視線を向けた彼は露骨に顔を歪めた。
「うわ、怪我してんじゃん。結構えぐそう」
「あ、はは……さっきちょっとしくっちゃいまして……」
「ふぅん。ちょっと座って」
「え?」
「いいから」
折角立ち上がったところを強制的に座らされる。止血のために結んだ布を解いた彼は、傷口に手をかざすと何やら小さな声で唱えはじめた。たちまち彼の手が光を帯び、傷口の痛みが引いていく。
「治癒魔法……!!」
治癒魔法は教会関係者しか使えないはずだから、やはり彼は神父か牧師のようだ。服装的に、神父だろうか。なんにせよ、こんな森の中で教会関係者に出会えるなんて運がいい。
「一応傷は塞いだけど……どう?立てそ?」
言われるまま、ゆっくりと立ち上がる。先ほどとは打って変わって痛みはなく、なんならこのまま走り出せそうである。その場でぴょんぴょん飛び跳ねていると、彼が頷いた。
「大丈夫そうだね。でも発熱してるっぽいから、傷が炎症起こしてるかもしれない。一応専門家には診せた方がいいと思うよ」
「ありがとうございます、神父さん!」
「俺は神父じゃないから。キルシュトルテ」
「キ……トルテ?」
聞き慣れない響きに首を傾げると、彼は呆れたように笑った。
「名前。俺の」
その笑顔がやたらと優しく見えて、教会関係者って誰でも聖母に見えるのかななんて場違いなことを考えた。
「フルで呼びにくいなら、好きに呼んで。あんたは?見たところ冒険者っぽいけど、仲間は?はぐれた?」
「あ、弐十、です……パーティは組んでなくて……1人で討伐にきたらちょっとしくってモンスターに追われてここに逃げ込んだ感じで……一応ギルドには登録してあるんですけど……」
単独行動の冒険者なんて、大抵ワケありか、ただの無謀者だ。警戒されても仕方がないので、慌ててギルドの登録証を取り出した。
「あー、いい、いい。別に不審者とは思ってないよ。もうすぐ日も暮れるし、単独行動なら危ないから、一晩泊まってけば?熱ありそうだし」
「え、いいんですか……!?」
「朝起きたら森に死体が転がってる方が困るしね〜。あと敬語やめてね。慣れてなくて鳥肌立つ」
「あ、はい……えっと、じゃあ、よろしく、トルテさん」
略し方としてこれもどうなのかと思ったけれど、一番発音しやすいところを切り取って呼ぶことにした。
トルテさんは特に呼び名には突っ込むことなく、家に入るよう促してくれる。
「狭くて何もないけど。とりあえずそろそろ飯にするから、その辺座ってて」
外観通りの素朴な内装だった。目につく家具はかまど付きの調理台と、本棚、小さなテーブルと椅子、奥に簡素なベッド、収納棚。天井に吊るされたランプには、火ではなく人工的な光が灯っている。魔石か何かを使っているのだろうか。
トルテさんに促されるまま椅子に腰掛け、なんとなく本棚を眺めた。昔の言葉や異国の文字で読めないタイトルもあるけれど、悪魔、とか魔族、みたいな本が多い気がする。
御伽話の中でしか聞いたことがないけれど、悪魔とか魔族って本当にいるんだなぁ。
そんなことを考えていたら、コトリと音を立てて目の前に器が置かれた。湯気を立てるのは美味しそうなオートミール。
「どーぞ」
「あ、ありがとう。いただきます」
美味しい。神父だからか街で食べるものよりもだいぶ薄味なのに、今まで食べてきたどのご飯よりも美味しく感じる。あっという間に平らげて顔を上げると、向かいに座ったトルテさんはまだ食べていた。
俺と同じタイミングで食べ始めたし、なんなら俺より量も少なそうに見えたのに、食べるのゆっくりなタイプなのかな。
魔石の暖かみのある光の下、蜂蜜のようなブロンドを耳にかけながらスプーンを口に運ぶ様が何だかとても色っぽく見え、慌てて視線を外す。そんな経緯があった上での沈黙は何となく気まずくて、本棚について触れてみることにした。
「悪魔の本、いっぱいあるんだね」
「んー、まぁこれでもエクソシストだから」
「えくそしすと」
これまた、聞き馴染みのない言葉である。確か昔に読んだ御伽話に出てきたような……悪魔を倒してくれる人、だった気がする。
ピンときていない様子の俺に微笑んだ彼の瞳がとても寂しそうで、俺は慌てて付け加えた。
「ご、ごめん。俺、世間に疎くて……特に教会関連のことは、あんまり知らないんだ」
「謝んなくていいよ。教会は俺のこと認めてないから。俺が勝手に名乗ってるだけ」
「そ、そうなんだ……?」
よく分からないが、教会の中にも派閥とかあるのだろうか。それならばこの話題は失敗だったかもしれないとソワソワしていたら、トルテさんが頬杖をついてゆっくり口を開いた。
「……弐十くんは、悪魔とか、信じるタイプ?」
悪魔。正直、現実味はない。見たこともないし。でも、俺が見たことないからって悪魔が完全にいない証明にもならないわけで。
「……見たことない……から、信じられない部分もあるけど……さっきも言った通り俺は世間に疎いから、俺が見たことないだけで、存在する可能性はあると、思う。信じてないけど信じてる……みたいな……?」
我ながら何を言っているのだろうか。トルテさんの答えになっていない気がする。でもこれ以上言語化する術がない。
うんうん唸っていると、トルテさんが吹き出した。
「ふはっ、お前面白いね。俺はね、ガキの頃に見たことあんのよ。誰も信じてくれないけど。だから悪魔はいるし、世の中の迷信とかそういうのは悪魔が関わってると思ってる。俺みたいなの、教会の中でもだいぶ異質だけどね。おかげで3食昼寝付きの教会じゃなくてこんなとこで自給自足で貧しく生活する羽目になってるわけ」
おどけて肩を竦めているが、治癒魔法の適性がある人間は限られるので、余程の罪人でなければ教会側が囲いたがるというのは俺でも知っている。治癒魔法の適性があるというだけで、俺みたいな冒険者として依頼をこなして小銭を稼ぐしかない人間よりよっぽど将来安泰なはずなのだ。その環境を自ら手放してこんなところで生活しているのが、彼の本気度を示していた。
「じゃあ、きっと悪魔はいるんだね」
「え?」
「トルテさんは見たことあるんでしょ?それなら、悪魔はいるよ」
何より、トルテさんが嘘を言うようには思えなかった。キョトンとした彼の瞳をまっすぐ見ながら伝えれば、ふい、と視線を逸らされる。
「……あっそ。信じるのは勝手だけど、そういうの、外で言わない方がいいよ。アタオカ認定される」
すっかり冷めてしまったオートミールをかき込むように食べだしたトルテさんの髪から覗く耳が少し赤くなっていて、なんだかちょっと可愛く思えてしまったことは、心の内に留めておくことにした。
夕食を食べ終え、食器類を片付けたトルテさんは、俺にベッドを使うよう促してきた。流石に成り行きで転がり込んできた身でベッドを使うのは気が引けるので断ったが、案外力の強いトルテさんに強引にベッドに転がされてしまった。
「一応怪我人なんだから、ベッド使いなよ。てか、まだ熱あんでしょ?これで悪化とかされたら俺の治癒魔法無駄になるんだけど。無駄撃ちさせられた俺の治癒魔法かわいそ〜」
なんだそれ。意味のわからない理論だが、これが彼なりの気遣いであることが分かるくらいには、彼の人物像が見えてきた気がする。それに、発熱が引いていないのは間違いないので、お言葉に甘えて、ベッドを使わせてもらうことにした。
「俺その辺に転がって寝るから。なんかあったら起こして」
俺に毛布を投げた彼は、収納棚からもう一枚毛布らしきものを取り出して明かりを消すと、そそくさと床に寝転んでしまった。
俺も毛布をかぶって、今日の目まぐるしさに思いを馳せる。
ツイてない、と思ったけれど、全然嘘だ。いや、半分くらいは本当だけれど、それを相殺するくらいの運が回ってきている。
知らない土地で怪我をして、危うく野宿になりそうだったところを拾われ、傷を手当てされ、暖かい寝床まで提供されてしまった。冷静に、一生分の運を使い果たしたんじゃないだろうか。
(どうやってトルテさんにお礼したらいいんだろう……)
先に寝てしまったのか、規則正しいトルテさんの寝息を聞きながら、俺の意識もゆっくりと暗闇に沈んでいった。
どのくらい眠っただろうか。身体が熱く、寝苦しさで目が覚めた。側のカーテンを少し捲って外を伺うが、まだ闇が広がっている。
(あっつ……)
毛布を足先に追いやって、襟元を摘んでぱたぱたと仰いでみるも、あまり効果はなかった。それどころか、どんどん息が上がってくる。加えてこれは、なんというか……。
(ムラムラ、する……?)
急激に下半身の窮屈さを感じて、ギョッとして飛び起きた。暗闇の中でも見て分かるほどに張り詰めている。
(うっそでしょ……)
身体が危機に陥ると、遺伝子を残す本能として性欲が高まるとは聞いたことがあるし、こういうことが初めてなわけじゃない。いつもなら、熱のだるさの方が勝って、少し耐えていれば収まった。しかし今は違う。明確に、性欲が熱を上回っている。今すぐに抜きたい。ただ、人の家のベッドを借りている手前、そんな欲に忠実に行動するわけにもいかない。
(おさまれ……っ、)
熱が原因なら、しばらくすれば収まるはずだ。それまで耐え忍びつつ、あわよくば眠ってしまえばいい。そんなことを思いながら寝転んでみるも、欲は高まるばかりで収まる気配はない。なんとか気を紛らわそうとモゾモゾと寝返りを打ち続け、何度目かの寝返りで、トルテさんが起き上がる気配がした。ベッドが軋む音で起こしてしまったのかもしれない。
「……どした?」
寝起きの少し低い声。ランプに明かりが灯ったので、慌ててトルテさんと逆方向に寝返りをうつ。
「ごっごめん、熱が上がってきたみたいでちょっと寝苦しくて……っ起こしちゃったよね。気にしないで」
「……しんどいなら解熱薬とかもあるけど……どのくらい熱あるん?」
トルテさんがこちらに近づいてくる気配がする。まずい。いくら怪我人とはいえ、出会って数時間そこそこの人間が自分のベッドでおっ勃てているのを見るのはあまり気分がいいものではないだろう。なんで俺はさっき毛布を足元まで追いやったんだ。隠せるものが何もない。
「だっ、大丈夫……っ!そんな辛くない、か、らっ!?」
頼むから来ないでほしい。そんな祈りも虚しく、トルテさんに肩を掴まれ、強制的に振り向かされる。
そのまま、俺の額に手を当てたトルテさんは首を傾げた。
「確かに……?そんなに高熱って感じでもないか……?でもなんか、」
顔から順に視線を下ろしていたトルテさんの目が見開かれる。最悪だ、バレた。嫌われただろうか。怪我が原因とはいえ、人の家のベッドで発情しているのである。キモいと思わないわけがない。本当に最悪だ。やっぱり今日はツイてない。
そんな俺の心境とは裏腹に、トルテさんは俺のズボンの裾を捲って、先ほど塞がれた傷口の痕を確認している。静かだが強い視線に、責められているような気がして、年甲斐もなく泣きそうになった。
「……ねぇ。脚の怪我、どんなやつにやられた?」
「え……?」
「いいから!」
初めて聞いたトルテさんの大声にびっくりして、どもりつつも昼間遭遇した上級モンスターの特徴を伝える。俺から特徴を聞いたトルテさんは、片手で顔を覆いながら大きくため息をついて舌打ちをした。
「えっ……な、何……?」
強い毒を持つモンスターだったのだろうか。でも、気分が悪いだとか、頭が痛いとか、手足が痺れるとか、そういうのはない。性欲と発熱以外は、至って元気である。
「遅効性の、催淫毒……」
「……え?」
考え込んでいるトルテさんの口からは聞き馴染みのない単語が飛び出す。遅効性の、なんだって?
思わず身体を起こしてトルテさんを見つめる俺の様子に気づいているのかいないのか、当の本人はなにやらぶつぶつと呟いている。
「傷口を見た時点で疑うべきだった、なんで塞ぐだけで満足したんだ俺……!あいつらの生息域がこの辺なのは知ってんだろ……!!」
俺に、というよりは自分自身に言い聞かせるようにしながらベッドの周りを行ったり来たり。ぐしゃぐしゃと髪をかき乱すトルテさんに、理解が追いついていない俺は、折角綺麗な髪をそんな乱暴にかき乱さないで欲しいなどと、見当違いなことを考えていた。
そんなこんなでベッドの周りを何往復かしたトルテさんは、ベッドの端に腰掛けて、まっすぐ俺を見据えてきた。
少し控えめに付けられたランプの下で見る薄青の瞳は、苦しそうに歪んでいる。
「お前が昼間やられたやつ、毒を持ってる種族なんだけど、ちょっと厄介で。喰らった生物によって効力が違うの。同じ毒でも、神経毒として運動機能に作用する生物と、催淫毒として生殖機能に作用する生物がいるんだよね。人間は後者。催淫毒、聞いたことある?」
ふるふると首を振る。単独行動なので倒せるモンスターも限られていて、基本的には毒を持っている、という前情報があるものとは戦わないようにしてきた。なので細かい毒の種類までは詳しくない。
「要は、えっちな気分を高める毒、なんだけど。遅効性能が高くて、体内に入り込んでから数時間かけて身体を巡って、全身を性感帯みたいにするんだよね。で、こいつが厄介なところは、解毒薬がないところ。毒だけど、催淫方向に作用するせいで身体にとって毒判定されないんだよ。生殖は生物にとって正常な反応だから」
トルテさんの手が俺の頬にそっと触れる。それだけで、自分でも驚くくらい、大袈裟に身体が跳ねた。
「……っ、!」
「全身に回り切る前であれば、まだ『毒を薄める』っていう対処法が使えて、ここまで辛くならないんだけど……俺が気づかず傷口の治療だけで済ませたから……本当、ごめん」
「な、なんでトルテさんが謝るの。元はといえば、しくって攻撃喰らった俺の責任だ、し……っ」
トルテさんが頬に触れている指を少し動かすだけで身体が勝手に跳ねてしまう。
でも、原因がわかったのなら安心だ。この現象は毒による異常であり、俺が他人のベッドで発情しているやばいやつになることは避けられた。あとは毒が抜けるのを待つか、最悪トルテさんに見えないところで抜いてしまえばいい。
そんなことを考えていた、その時だった。
トルテさんに肩口を押され、そのままベッドへ押し倒される。
「え?」
急な視界転換に状況が飲み込めずにトルテさんを見ると、俺のズボンに手をかけようとしていた。
「はっ!?えっ、ちょ、待って待って待って」
慌てて身体を起こし、トルテさんの手首を掴む。
「何?」
「いや、何、はこっちのセリフなんだけど!?」
ただでさえ強制的に発情していて身体が辛いのだ。イタズラ半分で触られるなど、冗談でもキツい。トルテさんは比較的中性的な顔をしているから、触られたら視覚情報もやばい。放っておいてくれと伝えようと開いた口が、トルテさんの唇で塞がれた。
「んンッ!?」
抗議も抵抗もする間はなく、トルテさんの舌が入ってくる。毒のせいだろうか、奥に引っ込んでいた舌を絡め取られただけで全身に甘い痺れのような快感が走った。
「ん……っ、ふ、ぁ……」
角度を変えながら何度も口内を蹂躙され、ようやく解放された時にはすっかり息が上がっていた。身体にうまく力が入らない。
「ごめん。俺が気づかなかったせいだから。男に触られるの嫌かもだけど、出しちゃった方が毒が抜けるのも早いから、手伝わせて」
ちゅ、と軽く額にキスを落とされ、トルテさんの手が俺のズボンにかかる。違う、トルテさんのせいじゃない。触られるのも嫌ではない。けど、理解が追いつかない。そんな俺の戸惑いは、露わになって天を仰ぐ俺のモノにトルテさんの白い指が触れて、息を呑むだけに終わった。
「結構デカいんだね」
「あ、あんまり……見ないで……」
先ほどのキスですっかり力が抜けて抵抗する気力を失った俺は、流れに身を任せることにしたものの、流石に局部をまじまじと見られるのは恥ずかしさが勝つ。一応聖職者のトルテさんが俺の男根に触れているこの絵面も併せてなんだかとてもイケナイコトをしているような気分になってしまい、たまらず目を逸らした。
「痛いとかあったら言って」
そう言った彼は、そのまま俺のモノに顔を近づけると———口に、含んだ。
「あっ!?ちょ、えっ、ぁあっ!?」
あまりにも衝撃的な行動を脳が処理する前に、暖かい口内の感触が伝わってきて、情けない声が飛び出す。いやそんなことよりも。
「と、るてさ……っ、なに、ひ、ぁっ、あ!」
慌ててトルテさんの頭を引き剥がそうとして、押し寄せる快感に抗えず髪をくしゃりと掴むだけに終わる。股間に埋まるトルテさんの柔らかな金髪と白い肌、たまにこちらを伺うように見上げる薄青の瞳、落ちてきた髪を耳にかける仕草。視覚情報を処理するだけでも精一杯なのに、それに加えて熱い舌が的確に動くものだから、背徳感と快感でどうにかなってしまいそうだった。
舌が動くたびに大袈裟なくらい腰が跳ねて、呆気なく精を吐き出す。
「ん……」
口元を拭いつつ身体を起こすトルテさんの様子がまたとんでもなく色っぽくて、達したばかりの俺の息子は節操なくまたむくりと起立した。そんな様子を見てトルテさんが苦笑する。
「すげ、元気だね」
「ど、毒のせいだから……」
一度達したはずなのにぐるぐると身体の中を渦巻く熱は収まらない。「催淫毒」の効果を改めて厄介だと感じた。……多分、ちょっと、ほんのちょっとだけ、毒が関係ないところもあるかもしれないけれど、毒のせいだと思っておきたい。
「このまま抜き続けてもいいんだけど、あんまり刺激を与え続けると毒が抜け切る前に皮膚がダメージ受けちゃうから」
そう言いながら、トルテさんは収納棚から何か瓶のようなものを取り出した。
「……?」
「男の快感はね、ちんちん触るだけじゃないんだわ」
瓶を持ったまま器用に俺のズボンを取り払ったトルテさんは、俺の片足を肩に担ぐと(怪我の痕がない方を選んでいるところに彼の優しさを感じた)、考えもしなかった場所に指を這わせた。
「ここ、使うから」
「……え?」
一瞬何を言われたか分からず固まった俺をよそに、瓶の栓を抜いたトルテさんは、中に入っていた少し粘着性のありそうな液体を手に取り、後孔に塗り込めるように触れる。
「マジで、痛かったら言って」
そう前置きをされ、俺がぎこちなく頷くのを確認してから、ゆっくりと指が埋められる。
普段排泄にしか使わないそこは、突然の侵入者に異物感しか伴わず、思わず眉を顰めた。
「痛い?」
「い、たくはないんだけど……変な、感じ……っ」
ぐにぐにと何かを確かめるように進む指の異物感に、普通なら萎えてしまいそうな俺の息子は、萎える気配もなくしっかり天を向いていて、本当に催淫毒とはすごいものである。ちゃんと使えば勃起不全とかの治療薬になり得るんじゃないか。異物感ゆえにそんな現実逃避をしていた俺は、トルテさんの指がある一点を掠めた途端急激な快感に飲まれ、現実に引き戻された。
「ぅあっ!?」
「見つけた」
「ひ、あっ!……やっ、ぁあ……っ!」
トルテさんの指が何度もソコを押し上げる。前で感じるのとはまた別の、身体の奥の方から何かが湧き上がってくるような未知の感覚に、自分のものとは思えない声が出るのを止められない。
「やぁ……っ、ひ、ぁ、ああっ」
快感が強すぎて怖い。なんとか耐えようと指先が白くなるほどシーツを握りしめていたら、トルテさんの手が上に重なった。少しだけ緊張が緩んだ隙を逃さないよう、指を絡められる。
「大丈夫だから」
耳元で囁かれた瞬間、今までで一番強い波が来て、目の前が真っ白になる。一瞬浮遊したような、そんな気さえした。
「あ、っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」
「ん、イった?」
「は……っ、ふ……ぇ……?」
イった、のか……?確かに強烈ではあったが、射精したときとは全く違う感覚だし、現に射精もしていない。
「後ろだとね、出さずにイけんのよ。前だけだと、毒抜け切るまでにどうしても摩擦とかの刺激で痛くなりやすいけど、これならそういうのもないし連続でできるから。毒の影響でイきやすくなってそうだし、ちょうどいいよ」
ナカに入ったままだったトルテさんの指が再び動き出す。いつの間にか、指が2本になっていたようで、2本の指をバラバラに動かしつつさっきの場所を擦ったり、潰したり。
「ぁっ、ひ、ま、まって……!はや、い、からぁ……っ!」
「まだ毒抜けてないから止めても辛いだけだよ」
そうかもしれない。そうかもしれないけど、さっきの強烈な快感の余韻がまだ逃しきれていない。アレをもう一度受け止める覚悟がない。そんな俺の訴えも言葉にならず嬌声へと消え、トルテさんは容赦なく先ほどの場所を責め立てる。一度達しているのもあってか、またあの強烈な波が来るまで時間は掛からなかった。
「ぁ、あっ、ァ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」
目の前がチカチカする。イった。イったのに、トルテさんの指は止まらない。
「やら……ぁ、まっ、ぁあ……っも……むりぃ……っん、ぁあああっ!」
またイった。立て続けに訪れる快感に、呼吸がまともにできない。頭の芯がぼやけたようになっている原因は酸欠なのか快楽なのか毒なのか。ショート寸前の思考回路の中で、とりあえず何かに縋りつきたくて、トルテさんに手を伸ばす。
「ん?」
俺の仕草に気づいて少し身を乗り出したトルテさんの身体を抱きすくめ、肩口に顔を押し付けた。
一瞬驚いたようにトルテさんの身体が強張ったけれど、すぐに空いている方の手で抱きしめ返される。
「もうぐずぐずじゃん」
近づいたことで苦笑混じりの吐息がダイレクトに耳に触れて、ぴくりと身体が跳ねる。そんな状況でも指は止まらず、絶頂へと押し上げられる。トルテさんを抱いたままだったから、かなり強い力で抱き締めてしまったけれど、トルテさんは何も言わずに抱き締め返したまま、指だけは容赦なく俺の弱いところを責め立て続ける。
「ぁっ!や、ぁ……っ、ふ、ぁっ、また、きちゃ……っあ!ぁあ〜〜〜〜〜〜ッ!!」
何度も何度も押し寄せる強烈な快感に、涙が滲む。
トルテさんはいやいやと駄々をこねる子供のように首を振る俺の頭を優しく撫でて、頬に軽くキスを落とす。
「もう少し、頑張れそ?」
正直、頑張れる気がしない。頑張れる気はしないけれど、この温もりは手放したくなくて、俺は小さく頷いた。
「ん」
また俺の頭を優しく撫でた彼は、そのまま俺を片手で抱き込むようにして、指の動きを早める。
トルテさんの匂いに包まれながら、本日何度目かの絶頂を迎え、俺の意識は途切れた。
コメント
3件

トップレベルで大好きな作品に出会いました!!!満足感すごすぎるしめっちゃニヤニヤしちゃいました𖦹 𖦹💧次回も楽しみに待ってます❤︎
ほんっとに好きです!表現が最高すぎて……めちゃ甘で嬉しいです。書き方好きで、次回もまってます!
キルシュトルテの、毒のせいにして優しく触れる感じがすごく好きです。怪我の手当てから一転、あの流れになるまでの静かな空気の描き方が丁寧で、弐十くんの戸惑いと素直に身を委ねてしまう感じに胸がぎゅっとなりました。「毒のせい」って言葉に逃げ場を作ってあげるみたいで、でも本当は二人ともそれを言い訳にしてるっていうのが、あますぎず甘くて。読んでるこっちまで体温上がりました……