※病みです
rd
rd「はぁ … ,」
作業もキリの良いところで時計を見ると深夜2時を示していた。
最近は寝付きが悪い。元々あまり良くない方ではあったけど、最近は特に。
気持ちも沈みがちで毎日生きてる心地がしない。
眠ったらそのまま死んでしまいたいとすら思うようになった。
原因は分からない。何が俺の気持ちをそうさせているのか。
それでも気持ちは沈んでいく一方で、涙を流しながらなんとか眠りにつく日もある。
朝なんて来ないで欲しい。
寝て起きてしまったら外は明るくなっていて、それがどうしようもなく苦しい。
一生夜の闇に包まれたままがいい。
そしたら世界は常に静かで、俺がこんな気持ちになることもないだろう。
深夜2時。この時間は俺にとって最も焦りが生じる時間。
この時間より後に眠ると寝不足で体調不良になってしまう。
でも朝が怖くて眠れない。だから起き続けてこの時間。
寝なければいけないと命令されているような気がして肩の荷が重くなる。
そして今日も気持ちよく眠れないまま恐怖に溺れるように眠りにつく。
独りでいたいのに。
pn
pn「こわこわこわ ッッ ….. ぐすヾ」
最近夜になるとどうしても寂しくなる。
昼間のような明るく暖かい光が無い夜は、なんだか世界に1人置き去りにされたような悲しい気持ちになる。
そのせいで過去に犯してしまった失敗がフラッシュバックして自分で自分の首を絞めることになる。
夜なんて来なければいいのに。
そんなことを考え始めたらキリが無いことは分かっているけど、それでも余計なことを考えなければおかしくなってしまいそうだから。
早く朝が来て欲しい。暖かい光に包まれたい。
でも夜が怖くて眠れない。長い間瞼を閉じるのが怖い。
pn「誰かッッ ….. ぐすヾ」
たすけてほしい。
声が掠れて出なかった。
不安を埋めるためにベッドに置いていたぬいぐるみはいつの日にかベッドの4分の1以上のスペースを埋めるようになっていた。
その中から1つを選んで力強く抱きしめる。
深呼吸して、イヤホンで安心出来るオルゴールを聞いて不安に包まれたままようやく眠ることが出来る。
早く人の、陽の光の温かさに触れたい。
みんなに「大丈夫だよ」と抱きしめてもらいたい。
1人になりたくない。1人にしないで。
怖くて怖くて仕方がないの。だからお願い。
pn「独りに …. しないで ッッ 、」
a.m. 5:30
パチリと目が覚めて、勢いよくカーテンを開ける。
外が少し明るくなっていて俺は安堵に包まれる。
朝が来た。待ち望んでいた朝が。
俺の大好きな陽の光がもう少しで現れる。
そうだ、今日は久しぶりにらっだぁと会おうかな。
アイツのことだから、当日の誘いには快く乗ってくれるだろう。
最後に話した時からかなり時間も空いているし。
そう思い立ってすぐ彼とのメッセージを開いた。
pn『今日暇でしょ?』
pn『久しぶりに会って話そうよ!!!』
メッセージを2通送ってスマホを閉じる。
そしてその瞬間、手から振動を感じて再び画面を眺める。
rd『いいよ。何時から』
彼からの返信だった。
返事が早いのが随分珍しくて少し驚いたものの、了承してくれたことが嬉しくてすかさず俺も返信を送った。
pn『18時からとかどう?』
pn『ドライブしながら夕飯食べよーぜ!!!』
rd『わかった。迎えいく』
pn『ありがとう!!!』
あっという間に予定が決まって、約束の時間まで何しようか考えて、結局編集して準備するくらいしか思い浮かばなかった。
rd
p.m. 7:00
空はあっという間に真っ黒な闇に包まれて、俺が唯一安心出来る夜が訪れた。
安心出来ると言っても日付が超える前までの夜なのだけど。
久しぶりに見るマンションの駐車場に車を停めてメッセージを送ると、間もない間に助手席の扉が開いた。
pn「迎えありがとう、久しぶり」
rd「久しぶり」
もう慣れたハンドルを握って、適当に夜の街を走らせる。
ぺいんと。彼は太陽のような人だった。
いつもにこにこしていて、日向ぼっこが大好きで、人といて疲れが癒えるという人。
俺とは正反対の人だった。
彼が羨ましい。
彼のような、自らが光を放つ人になれたら、俺はどれだけ楽だっただろう。
どれだけ楽しく生きられていただろう。
rd「ちょっと悩み聞いてくんね…?」
pn「あぁ … 、 いいよ。 どした?」
rd「俺さ、朝っていうか昼間?がとにかく嫌いでさ」
pn「へぇ …」
rd「なんか気が病んじゃうっていうか …」
昨夜死ぬほど思い悩んだ事をぽつぽつと言葉を選びながらも彼に打ち明けた。
人といるのはぶっちゃけ大嫌いだけど、彼と過ごす時間は決して苦ではなかった。
むしろ安心させてくれるような気がした。
pn「…そっか、そうなんだ …」
彼は珍しく真剣な顔をして悩んでいた。
一緒に悩んでくれる人がいるのが嬉しかった。
pn
らっだぁ。
運転席にいる彼は月にそっくりだった。
明るい訳では無いのに美しく、それを嫌う人はほとんどいない。
そして届きそうで届かないところにいるからこその魅力。
俺とは正反対で、だから俺は彼のような人になりたいと思っていた。
そんな彼の悩みは夜明けが怖いということ。
朝になるのがどうしても怖くて、嫌で、でも気づいたら深夜になっていて焦って無理やり眠りにつこうとする毎日を過ごしているのだと。
確かに久しぶりに見る彼はどこか辛そうだった。
pn「朝が嫌いなの?」
rd「んー … 朝っていうか日照時間っていうか …」
pn「日が出てる時間ってこと?」
rd「うん」
rd「なんか人が動き出すから1日始まるって感じがさ、」
rd「生き急いじゃうっていうか …」
rd「1人でいたいのにいれないっていうか。」
彼の悩みは俺に理解できなかった。
一日が始まる時間が好きだから。
彼みたいに夜が好きなのが全く分からない。
1人になんてなりたくない。
pn「俺とは真逆だね」
pn「俺は夜嫌いだもん」
rd「なんで?」
pn「寂しいじゃん」
rd「そう?俺はそれが好きだけどなぁ…」
pn「じゃあ俺らは絶対同棲できないね笑ヾ」
rd「いーやわかんないよ?」
pn「だって人といたくないんでしょ?」
rd「まぁぺいんとは嫌な感じしないけどね」
pn「ふーん …」
rd「ちょっと泊まってみる?」
pn「うん、ありがとう」
彼の提案から俺は少しの間彼の家に泊まることにした。
右を向くと夜のビルの光の数々に照らされた彼の横顔があって、その姿に強く惹かれてしまいそうになった。
rd
rd「おやすみ」
pn「うん、おやすみ」
rd「……、」
pn「….ッッ、」
rd「大丈夫だよそんな怖がらなくて」
pn「ッッや、べつに大丈夫だし ッ …」
2人で1つのベッドに寝そべって、2人で1つの布団をかける。
狭くも広くもないのだけれど、やけに彼は俺のそばに寄っている。
身を縮こませている彼はどこか可愛らしいと思ってしまった。
pn「らっだぁこそ平気なの … ?」
rd「まぁまだ23時だし …」
pn「…ね、あのさ ッ、」
rd「ん?」
pn「いつも、ぬいぐるみ抱きしめて寝てるから..さ、」
pn「その、枕とかない …?」
rd「あー、枕これしかないんだよね、」
pn「…. そっかぁ ッッ 、」
rd「…」
悲しそうな声色をするものだから俺もなんだか悲しくなってきてしまった。
いつもぬいぐるみと落ち着く音を聴いて眠ってるらしい。
rd「じゃあ俺がぬいぐるみ代わりになるしかないかぁ、」
pn「えッ?」
rd「どうぞ、抱き枕です」
pn「んふ、ありがとう」
俺がそう言うと彼は安心した表情で俺に触れた。
手を添えるくらいだと思っていたものの、思っていたより力が籠っていた。
rd「大丈夫だよ、怖くない怖くない」
pn「…らっだぁの声落ち着くね」
rd「ほんと?」
pn「うん、何か話して」
rd「うーん、むずいなぁ、」
rd「じゃあ俺のオススメスポットね」
rd「この間散歩してたら __ 」
彼に頼まれ俺はひたすら自分の身に起こったことを話す。
最初は不安そうにしていた彼も段々と落ち着いた表情と呼吸音になってきて安心した。
少しずつうとうとしてきた彼のふわふわした髪を優しく撫でてあげる。
俺の体にピッタリとくっついている彼は俺より体が小さくて、だからこそ俺も心地よかった。
彼に抱いてしまった恋心をそっと夜の闇に溶かすように彼の髪に唇を落とした。
pn
pn「ん゛ ッッ _、」
太陽の光がカーテンの隙間から差し込み、その光で目を覚ます。
ぽかぽかとした暖かい日差しがやっぱり好きだなと思った。
昨夜はぐっすり眠ることができた。
いつもみたいに寝た気がしないなんてことはないし、夜も怖くなかった。
やけに体があたたかいと思っていたら、彼の腕の中にホールドされていた。
そういえば昨日、俺がお願いしたんだっけ。
彼の声は眠くなる。これは前々から思っていたけれど、昨日は特に。
彼がまいにちそばに居たら俺も夜が嫌いになることはなくなるのかもしれない。
そう思った。
pn「んふ、意外とイケメンだな、」
朝日に照らされた彼の寝顔はやけにかっこよく見えた。
目にかかる前髪にそっと触れたあと、俺も彼の背中に手を添えた。
rd「おはよ」
急にその瞳がぱちりと開いてこちらを見ていた。
絶対に今起きた人の反応ではなく、だとしたらと考えると恥ずかしさで気持ちがいっぱいになる。
pn「え、いつから起きてた …?」
rd「意外とイケメン〜とか言ってる時かな」
rd「ありがとうございます」
pn「え …. は ッッ //」
rd「んふ、照れてる〜」
rd「よく眠れた?」
pn「うん、お陰様で」
pn「らっだぁは?」
rd「俺も昨日はぺいんとが寝たあとすぐ眠れたかな」
rd「日付超える前に寝れたのなんか久しぶりだよ」
pn「おれら意外と相性いいのかもね」
rd「付き合う?」
pn「えッッ?」
rd「ん?」
pn「寝ぼけてる?」
rd「寝ぼけてないよ 笑ヾ」
pn「ほんとに?」
rd「うん、俺じゃ嫌?」
pn「全然、むしろうれしい」
rd「んふ、そっかそっか」
今では俺も彼も朝と夜がたまらなく好きになった。
リクエストお待ちしております
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡1000 💬1
コメント
4件
めっさ好き💖😭😇 え、すっごい良い……✨✨✨大好き!!!このお話!!!リピート物ですね!!!💖✨🫂
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ😭好きです😭
うわぁ…!!このお話めっちゃ好みです!!お互いの苦手な物を補いながら生きていく…みたいな感じ好きです 🫶🏻💗 ̖́- リクエストで、この続き欲しいです!!!お願いします🥺