テラーノベル
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あり
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吉田:…なんで今日こんな混んでんだ
俺は普段ホテルマンとして働いているが、平日はお休みをいただけるため、映画館に行くのが日課だ。映画館って家で見るより何百倍も素晴らしいんだよな。雰囲気とか音響とか、全然違うじゃん。あとは、好き嫌い関係なく様々なジャンルを見てると思わぬ発見があったり、お客様との会話の引き出しにも繋がったり、ほんと良い事だらけ。そもそも映画大好きだから、これを楽しみに生きているといってと過言では無い。のだが、
はぁ、平日、しかも昼なのに信じられんくらい混んでる。やだなぁ。でも、まぁしょうがない。どうせ初日限定の何かが配られるとかしてんだろうな
そんなことを思いながらいつも通りランダムで見る映画を決めた
店員:こちら、初日限定フォトですね。それでは14スクリーンにどうぞ
…まじか、これかい。確かに席めっちゃ混んでたわ。でも、めっちゃ良い作品なのかもしれん
俺は期待を胸に抱きながら席に腰を掛ける。数分後には隣の席にもお客さんが座るくらい満席になった。うわ、隣に人がいるとか、マジで久々だな
照明が消え、いよいよ映画が始まった
あぁ、意外と面白いかも。甘酸っぱい恋愛系の映画だと思ってたけど、ちゃんと泣かせる要素もあるし、曲も良い。意外と良い映画で引き込まれ
ズッ……グスッ…
え?
明らかに映像の音ではない鼻をすする音が聞こえる。俺は顔は正面のまま横目で隣の席を見ると、涙を流す男性の様子が見えた。え、まじか、この程度で泣くの!?どんだけ感受性豊かなんだよ
お客さん:キュンキュンすぎ
お客さん:まじかっこよかった
隣の客:ズピッ……グスグス…
吉田:……
もうエンドロールも終わりましたよね、?めっちゃ、気まずいんだけど。この男性、ずっと泣いてるし。しかもずっと服の裾で涙拭いてるし、ハンカチとか、なんも無いわけ?しかも、俺一番端の席だからこの人行かないと出られないんだよな。俺は我慢しきれなくなって、おそるおそる声をかけた
吉田:あのぉ…
隣の客:…ッ…えっ、あっ!!ずびまぜん!今すぐどけます…
吉田:あ、全然余韻に浸って貰っていいんですけど、あの、これ使って下さい…その服ブランド物ですよね、涙で汚れますよ、、
隣の客:あ、ありがどうございまず…
んー?なんかこの目、見た事ある、ような?顔の半分はマスクて覆われてるし、映画館の薄暗い環境だから見えにくいけど……ホテルのお客様でいらっしゃったっけ。いや、ちゃんと業連さんは覚えてるから違うか、?
隣の客:すみません、ハンカチ汚してしまって
吉田:あぁ、全然使ってください
隣の客:…あの、この映画どうでしたか、?
は?なんで映画の感想、?不思議に思ったが、その男性があまりにも真剣な眼差しでこちらを見てくるから、俺も一応正直に答えた
吉田:え、あぁ、結構面白かったです。〇〇監督の作品の複雑さと淡い恋模様がハマってて、かなり惹き込まれました。青春系かと思ったんですけど、ちゃんと考えれば深いというか、うん、見てて飽きなかったし楽しかったです。でも、
隣の客:…でも?
吉田:主演の俳優さんの演技が、ちょっと、ぎこちなかった、?気がします。若手なのかな。でも、その不器用な感じがこの作品にはめっちゃ合ってて、より引き立てられたというか、はい、
隣の客:…そうですか
え、なんか、微妙な顔してるんだけど。はっ、、もしかして、その人のファンか!?
隣の客:あの、よく映画観られるんですか?
吉田:え?
隣の客:あ、なんか、ちゃんと分析されてる感じがしたので
吉田:あぁ、毎週観てるので、
隣の客:え!すご、まじすか
吉田:全然、趣味ですけどね
その男性は少し悩んでいたがおもむろに口を開いた
隣の客:…いつもこの曜日なんですか?
吉田:まぁ、ほぼ、はい
隣の客:俺、来週ハンカチ返します。来週も、絶対来てください。んで、来週も一緒に映画見てください!そんで、俺に映画について教えてください!
吉田:…はっ、え?
隣の客:あ、やばい、そろそろ出ないと怒られる。それでは、よろしくお願いします
吉田:え、っちょっと!!
なにアイツ。正直ハンカチなんてどうでもいい。それより、誰かと映画を観るの嫌なんだけど。1人だから良いんだけど!!
俺は駆け足で去っていく男性の後ろ姿を見ながら、大きく溜息をついた
吉田:まじで、なんなんだよ
俺は帰ってからもあの謎の男から言われた話に対してモヤモヤしていた。唯一の俺の楽しみが、あんなやつの私情で壊されんのか。腹立たしいわ
吉田:あ、忘れる前に
俺は観た映画を記録するために、スクリーン番号と映画名が書かれたレシートをノートに貼ることにしていた。もうこれで何冊目になるんだろう
…ん、?レシートと一緒に何か挟まってる。そっと取り出すと初回限定フォトが一緒に出てきた。主演の2人が絶妙な距離感でベンチに座っている。2人とも笑顔が素敵で、流石芸能人って感じ。へぇ、男性の方、佐野勇斗って名前なんだ
吉田:まぁ、これは別に捨てて…ん、?
この主演の俳優さんの顔、どっかで見た気がする。いや、映画で見たけど、そうじゃなくて、もっと別の場所で……
吉田:……あ
マスクで顔があんま見えなかったけど、この目つき、絶対、
隣で泣いてた奴だ
多分7話完結のお話になります
♥100こえ次第次いきます
コメント
3件

何もかも引き込まれました✨ ありがとうございました💞
素敵な設定で続きが気になります!
第1話、読み終えました!映画館で隣の席の人が泣いてるの、確かに気まずいですよね…でも、そこでハンカチを差し出す優しさ、めっちゃ吉田さんの人柄が出てるなと思いました。そして「来週も一緒に映画見てください」って、あの男性、結構強引だけどその真剣な眼差しに何か秘密がありそうで、続きが気になります。最後の「隣で泣いてた奴だ」って気づくシーン、ゾクッとしました。これは7話完結とのこと、楽しみにしてます!