今日は、待ちに待った金曜日。
きっと俺が帰宅したら玄関まで走ってきてくれるであろう三途の人生の中で最も歓喜に震え、悦楽に溺れ、心身が満たされた一夜になるだろう。
「ただいま〜…..」
シーン…
「あれ、電気付いてない、もしかして出かけt
「わぁ!!」
「!!??」
ドサッ
「あたた….」
「おかえりっ蘭!」
弾んだ声の主、それは
「は〜る〜ち〜よ〜..?」
「ぅ゛っ…」
「ら、らん重い….潰れるって゛..」
「おめーが細身なだけだろ」
実際三途と同じ身長の竜胆と比べても10キロくらい三途の方が軽いんだからな
「で、なんでそんなウキウキしてんの?」
「ふふ..//まぁそんなことはいいから早くご飯食べちゃお!」
「..うん♡」
春千夜の思考を完璧に読み取った蘭にはふたつの選択肢がある。
が、この男が1つ目の選択をする確率は極めて低いであろう。
*
「あ〜、おなかいっぱい!」
「だね〜」
「…ら、らん」
「ん〜?」
「寝室..行こ?」
「うん」
ドサッ
「ねぇ、春ちゃん.」
「なに」
「なんで俺が押し倒されてんの?笑」
「…蘭のが、美人で、可愛い…から?」
「はいダウトー!春のがずっっと可愛いから却下ー!」
「に゛ゃああああー!」
俺の言葉に即答して、蘭は思いっきり突き飛ばしてきた。
ソファに寝転ばされたと思ったら膝裏をがっちりと掴まれ押しやられて、完全に股がおっ広げになる。ていうかなんで。なんでなんで。年下攻めは鉄板じゃなかったの!?!?
「なんでなんで!オレがタチすんの!年下攻めすんの〜!」
蘭の身体の下から抵抗と抗議のパンチを繰り出すがことごとく躱されて逆に押さえ込まれる。
体格差は歴然としているのに蘭の下から形勢逆転できた験しがない。
「ん〜可愛い♡抱くのか抱かれるのか知りたくて、俺が留守の間に無駄な知識つけたんだろ?かわいいなー春ちゃんは♡♡」
完全にバレてる。ということはここまで蘭の折り込み済みということだ。
俺が自分で男同士のセックスを調べることも、偏った知識をつけて抱く側の座を狙うことも予想済みで、更には、わざと立場をあやふやにしたまま希望や期待を持たせておいて最後突き落とすことも。
「人でなしー!」
「ひでーなあ。つーか春千夜、マジで俺のこと抱こうとしてたの?童貞のくせに?」
「童貞は余計だろ!」
「関係あるって。童貞が男抱くなんてハードル高えよ」
「で、でも蘭細いし美人だしっ!年下攻めが超人気だし!」
「人気とか知らねーけどさ?春千夜は可愛いんだからネコに決まってんじゃんな」
わしゃわしゃ、と頭を撫でながらしれっと不変の決定事項のように言うなんてヒドイ。
だったら最初から「お前を抱くから」と言ってくれていればこっちもそのつもりで居たかもしれないのに。
「大丈夫、ヨくしてやるから」
吐息混じりの濡れた低音が胸に刺さってどきんと高鳴らせた。
腰の辺りがゾクゾクと痺れる。間近で見つめ合った蘭はとてつもなく美しい、雄の顔をしていた。
おそらく蘭の人生の中で今日は最も歓喜に震え、悦楽に溺れ、心身が満たされた一夜になるだろう。
[完]
コメント
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関係ないコメント本当にすいません、 フォローするつもりがなかったのに塩こんぶさんをフォローしてしまいました、ごめんなさい…
ンフンヒャヒャ⤴︎好きぴ
すまん見るの遅れた🙇♀️ なんかもう小説作れるんじゃない?ってレベルなんだけど。これ割とガチで言ってる。あんま過激好まない人でも読めそうなのが良きだわぁ...私絶っっ対こんな感じのやつ書けないからほんと凄いと思う。憧れるぜ。