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玖衣那 喰
399
#しょしんしゃ🔰
りと。@(つ∀-)オヤスミー
17,426
しゃけ
402
弱い振り の 番外編2 です 。
新章 第一章 に 注意事が書かれているのでまだ読まれてない方は先に其方を読んでから此方を読んでください
ある日のこと。
「……ん?」
執務室で、瀬麗梛は机の上に置かれた小瓶を見つめていた。
「これ、何の薬だろう?」
小さな瓶。
ラベルには――
**『試作品・身体強化薬』**
とだけ書かれている。
「……身体強化。」
瀬麗梛は首を傾げた。
「飲んだら強くなるのかな。」
そして。
「ちょっとだけなら……。」
ごくっ。
「……。」
数秒。
何も起こらない。
「なんだ、何も――」
ガチャッ。
「総統様、失礼します。」
怜が入ってきた。
「怜!」
瀬麗梛が立ち上がる。
そして――
ぎゅっ。
「……。」
怜が固まった。
「……総統様?」
瀬麗梛は怜に抱きついたまま。
「怜だぁ。」
「……。」
「ふふ。」
「……総統様。」
「なぁに?」
「離れてください。」
「やだ。」
「…………。」
怜の思考が停止する。
「……何があったんですか?」
「分かんない。」
ぎゅーっ。
「総統様!?」
「何か騒がしいね。」
そこへ來執がやってきた。
「総統様?」
「來執!」
瀬麗梛は怜から離れた。
來執に駆け寄る。
「え?」
ぎゅっ。
「……!」
來執の顔が一瞬で赤くなる。
「総統様……?」
「來執もいた。」
「はい……。」
「嬉しい。」
「…………。」
來執は瀬麗梛の背中にそっと手を回す。
「どうしましょう。」
「何が?」
「可愛すぎます。」
「?」
瀬麗梛は首を傾げる。
そこへ瀬凪がやってきた。
「総統様ー!」
「瀬凪!」
ぎゅっ。
「うわっ!?」
瀬凪も抱きしめられる。
「総統様!?」
「瀬凪だぁ。」
「今日どうしたの!?」
「なんかね。」
瀬麗梛は嬉しそうに笑う。
「みんなに抱きつきたい。」
「……。」
瀬凪は一瞬黙って。
「……俺は全然いいけど。」
「ほんと?」
「むしろもっとどうぞ。」
ぎゅーっ。
「わっ。」
瀬凪も笑いながら抱き返した。
そこへ。
「……。」
隋星が現れる。
「何してるんですか?」
「隋星!」
瀬麗梛が離れる。
「僕もですか?」
「うん!」
「……。」
隋星は少し笑った。
「では。」
ぎゅっ。
「ふふ。」
瀬麗梛は満足そうに隋星に抱きつく。
「暖かい。」
「総統様も暖かいですよ。」
「そう?」
「はい。」
その様子を見ていた怜が呟く。
「……俺たち、何を見せられてるんでしょう。」
「幸せな光景じゃない?」
來執が真顔で答えた。
しばらくして。
「総統様。」
怜が口を開く。
「さっきの瓶、何を飲んだんですか?」
「これ。」
瀬麗梛が小瓶を渡す。
「……。」
怜がラベルを見る。
「身体強化薬?」
「うん。」
「…………。」
來執が瓶を受け取る。
「これ、試作品って書いてありますけど。」
「そうだね。」
「総統様。」
「ん?」
「これ、誰の薬ですか?」
「知らない。」
「……。」
四人が顔を見合わせる。
「まさか。」
隋星が小瓶を確認する。
そして。
「……副作用ですね。」
「副作用?」
「身体強化ではなく、感情の抑制が一時的に弱くなるみたいです。」
「つまり?」
「思ったことを、そのまま行動に移してしまう。」
「…………。」
四人が瀬麗梛を見る。
瀬麗梛は。
「みんな大好き。」
と、にこにこ笑っていた。
「…………。」
「……総統様。」
怜が頭を抱える。
「それは普段からでは?」
「そうかも。」
そして。
数時間後。
「総統様、もう薬の効果は切れたと思います。」
隋星が言う。
「本当?」
「はい。」
「じゃあ……。」
瀬麗梛は周囲を見る。
「僕、みんなに抱きついた?」
「はい。」
怜が即答。
「何回も。」
「……。」
瀬麗梛の顔が赤くなる。
「忘れて。」
「無理です。」
「怜!」
「総統様があんなに素直になること、滅多にないので。」
來執も笑う。
「僕、記憶に残しておきたいです。」
「やめて!」
瀬凪が笑いながら言う。
「俺も忘れない!」
「瀬凪まで!」
隋星も穏やかに笑う。
「でも。」
「?」
「僕たちは嬉しかったですよ。」
「……。」
瀬麗梛は少し黙って。
「……じゃあ。」
「はい。」
「薬がなくても――」
瀬麗梛は四人を見る。
「たまには、抱きついてもいい?」
「もちろん。」
怜が答える。
「むしろお願いします。」
來執が即答。
「俺はいつでも大歓迎。」
瀬凪が笑う。
「僕も。」
隋星も頷く。
「……。」
瀬麗梛は嬉しそうに笑った。
「じゃあ――」
ぎゅっ。
「……。」
四人が固まる。
「今日は、もう少しだけ。」
瀬麗梛は四人をまとめて抱きしめた。
「みんなでいよう。」
「……はい。」
その日。
とある国の執務室では。
仕事が一切進まなかったらしい。
――総統様が可愛すぎたためである。
番外編2 終_
コメント
3件
ああ、これめちゃくちゃ可愛い回じゃないですか…! 普段あれだけクールで厳しい総統様が、副作用でいきなり「みんな大好き」モードになって四人に次々抱きついていく流れがもう最高でした。特に來執が「可愛すぎます」って真顔で返すところと、最後に「薬がなくても…いい?」って聞くシーン、じんわり来ましたね。本編の緊張感とは違う、この緩さが番外編の醍醐味。玖衣那さん、こういうのも書けるんだなあ。めちゃくちゃ癒されました。