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校門を出て並んで歩くと、夕方の風が頬をなでていった。
悠真はコンビニ袋を片手に、もう片方でスマホをいじりながら歩いている。
「妹ちゃん、部活はやってないのか?」
「……はい。帰宅部です」
「そっか。受験生だし、無理しないのが一番だな」
何気ない声なのに、心の奥まで届くようで胸がざわつく。
横を歩く彼の歩幅は大きい。
気づけば、自然に咲のペースに合わせてくれていた。
ほんの些細なこと。
でも“気にかけてもらえている”という実感が、顔を熱くさせる。
「……ありがとうございます」
小さな声でそう言うと、悠真は「何が?」と首をかしげて笑った。
夕焼けの空の下、その笑顔にまた心が跳ねる。