「 願 イ ゴ ト . 」
作 ,初楓
「ねぇ、知ってる? 七月七日に品川駅のどこかの売店で“死者に会える切符”がもらえるんだって。」
放課後の教室、窓際で話す二人の女子の声が耳に残った。
「七夕の日だけ、特別に。亡くなった人と、ほんの少しだけ話せるんだって。」
都市伝説みたいな話。
だけど、俺一一角名倫太郎には、どうしても無視できなかった。
嵐に、会えるかもしれない。
彼女がいなくなって、もう一年。
響樹嵐 (ひびき らん)。
俺の同級生で、恋人で、〝 愛してた人 〟
彼女がいなくなってから、俺の時間は止まったままだった。
七月七日。
俺は品川駅に向かった。
人混みの中、古びた売店を見つけた。
「死者に会える切符、ありますか?」
定員は無言で渡した後、こう付け加えた。
「15分までです。」
「はい。」
と返事して、その場を後にした。
切符には、『願ィ人』とだけ。
古くて読めないが、多分、〝ねがいびと〟だと思う。
改札を通ると、駅の空気が変わった。
人の気配が消え、静寂が降りる。
そして、ホームのベンチに、嵐がいた。
「嵐…?」
「倫太郎…来てくれたん?」
彼女は、あの日と同じ笑顔で、そこにいた。
俺は言葉を探しながら、彼女の隣に座った。
「…ずっと、会いたかった。」
「私やで。倫太郎の声、ずっと聞きたかったん。」
「なんで、あんなに急に…」
「病気って、残酷やね。でもな、最後の瞬間まで、 倫太郎のこと考てたで。」
「俺、何もできなかった。もっと、もっと一緒にいたかった。」
自然と頬に伝う雫が落ちる。
「倫太郎は、十分すぎるほどそばにいてくれたで。あの夜、病室で手握ってくれたやろ? あれだけで、私は救われたん。」
彼女は優しく、でもしっかりと芯を透った声で、そう答えた。
彼女は目の前に広がる夏の雲を眺めていた。
「…好き。嵐。」
「..知ってマス!」
「… 笑 ,そっか。」
「俺、前進むよ。」
「そう。じゃ、早くしないとね 笑 」
「 笑 せっかちだね。」
「へへ 笑」
そして、彼女は霧のように消えていった。
切符は手の中で灰になった。
でも、心の中には、嵐の言葉が残っていた。
七月七日。願いが叶う日。
俺の願いは、ほんの少しだけ、叶ったのかもしれない。
おかえりなさい~(?)
どうでしたか?
時期が過ぎてしまってて、申し訳ないんですけれども、書きました!
ちなみに、お題は〝 夏 〟 , 〝 七夕 〟デス!
どうかな~?
〝 願 イ ゴ ト 〟楽しんで貰えたら何よりです!
設定~♪↓
※画像はイメージです。基本、皆さんの想像でOKです!
名前 / 響樹 嵐 (ひびき らん)
歳 / 高校1年生(亡くなったのが)
症状 / 持病
性格 / 明るくて元気いっぱいな女の子。基本ポジティブ。
設定 / 付き合ったのは、高校の秋。嵐ちゃんから告白です🫶🏻💗
角名 倫太郎(すな りんたろう)
原作設定~
主からの、裏?設定~!
この物語は〝儚〟というイメージを結構使っています。
儚いと言うのは〝 人の夢は儚い 〟と描きます。
なので、この「願イゴト」にもその要素を入れてみました!
是非、意識して読んで頂けると嬉しいです!🫶🏻💗💖
ばいち!
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