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シッポの件に気づいた二人がまずしたことはお互いのシッポを『触り合う』だった。
「シ、シオリちゃん! いきなりそんなに激しくしないでええええ!」
「え? 私、そんなに強くしてないよ」
「で、でもー、力入らないよー。もっと優しくしてー」
「分かった。さわさわ……」
「あっ! 付け根! シッポの付け根はダメだよー!」
えーっと、これは止めた方がいいのかな? もう少し見ていたいと思っていないわけじゃないけど、これ以上続けさせたらいけない気がする。
俺はたまたま通りがかったかのように二人の間に割って入った。
「はい、そこまで。二人ともシッポは性感帯だから、あんまり触ると頭がおかしくなるぞ」
「ナ、ナオトさーん! 私、おかしいんですー! シッポを触られると気持ちよくなっちゃうんですー!」
「大丈夫。正常だ。ほら、好きな人に頭とか耳を触られると気持ちよくなるだろ? あれと同じだ」
「そ、そうなんですか?」
「ああ、そうだ。でも、触りすぎると動けなくなったり腰を抜かす可能性があるから注意しろよ」
「は、はい、分かりました」
「分かった」
「よろしい。じゃあ、俺はこのへんで」
マナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)が俺の手を掴《つか》む。
「ナ、ナオトさん」
「ん? なんだ?」
「そ、その……ナオトさんになら、いくら触られても大丈夫な気がします」
「え? いや、だからあんまり触るとおかしく」
「ナオ兄、マナミちゃんの望みを叶えてあげて。あっ、ついでに私のもお願い」
「ついでって、お前な……」
シオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)は白いシッポをピンと立てている。
えっと、これはたしか構ってほしいとか嬉しい時にするやつだったかな?
「はぁ……分かった。できるだけ加減するけど、気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうになったらちゃんと言うんだぞ?」
「はい!」
「はーい」
本当に分かったのかな? まあ、期待の眼差しを向けられた時点で断れなくなったんだけどな。
俺は二人のシッポを優しく握ると上下に手を動かし始めた。
「あー、すごく、気持ちいいですー」
「ナオ兄、シッポ触るのうまいねー」
「えっと、ありがとう?」
なんだろう。二人ともなんか光ってるような気がする。気のせいかな?
「あっ! そこは!」
「え? どこだ?」
「い、いえ、大丈夫です。続けてください」
「お、おう」
「あっ! ナオ兄! そこ、ダメ!」
「そっか。なら、やめよう」
「あー、やめないで。中断されたらナオ兄のこと襲いたくなるから」
え? 何それ。怖いんだけど。
「えっと、もうこのへんにしておいた方が」
「大丈夫、です。もっと強くしてください」
「ナオ兄、もっといじめていいよ」
な、なんだろう。なんかいけないことをしているような気分になるな。ま、まあ、とりあえず続けるか。
俺が二人のシッポを触っているとそれは磁石のように先端同士をくっつけた。
な、なんだ? これ。ひょっとして合体、するのか? いや、それはない。いくらなんでもシッポを触られるだけで合体なんてしな……。
「あっ! シッポの付け根! 付け根ー!」
「ナ、ナオ兄! そこ、ダメ! ダメー!」
し、しまった! 無意識のうちにシッポの付け根ばかり触っていた。
俺がパッと手を離すと、二人は白い光を放ちながら一つになってしまった。
「あー、なんかまずいことになったなー」
「あれ? シオリちゃん、どこー?」
「マナミちゃん、私は今マナミちゃんと一つになってるよ」
「え? あー、本当だ。なんか体の中からシオリちゃんの声が聞こえる」
白と茶色が混ざったロングヘアーの獣人《ネコ》が俺の目の前にいる。シッポも髪と似たような感じだから間違いなく二人は合体している。
ああ、俺はなんてことを……。
「あー、えーっと、その」
「あっ! ナオトさん! どうですか? 私たち一つになりましたよ!」
「ナオ兄、感想を聞かせて」
「えっと、その前に謝らせてくれ。ごめん! 俺が変な触り方したから二人は!」
「どうして謝るんですか?」
「え?」
「ナオ兄のおかげでモンスターチルドレン同士で合体できることが分かった。これは大発見」
「そ、そうなのか?」
「そうですよ! 人とモンスターチルドレンなら前例がありますけど、モンスターチルドレン同士の合体なんて聞いたことないです! ちょっとみんなに報告してきますね!」
「いってきまーす!」
「え? あ、ああ」
二人はそう言うとトテトテと俺以外の全員に合体の件について報告しに行った。
俺、もうモンスターチルドレンに……いや、みんなに関わらない方がいいのかもしれないな……。