俺はよく顔が死んでいるとよく言われる。理由はわかる。毎日のように悪夢を見るからだ。
俺には幼い頃の記憶がない。ただひとつ。ただひとつだけ覚えている記憶がある。今はない故郷が焼き野原になった記憶。忘れたいのに忘れられず、夢にまで出てくる始末。最近この夢にうなされている。
「先輩?せーんぱーい!」
「!?あぁ、すまない。ミチア。」
「まぁーた考え事ですか?」
後輩のミチアが呆れた声で…おそらく心配している。彼は今年王国騎士団に入ってきた期待の新星だ。魔法も剣術の才能もずば抜けている。いわばモンスターだ。自分も騎士として活躍しているがミチアほどの実力はない。なぜなら俺は未だに魔法を使いこなせない。
「いや、あんたは俺より先に出世しそうだな。」
「いきなり何を言い出すかと思ったら…//」
照れる顔こそ15歳らしい。しかし頼まれた任務の場所はここであっているのだろうか。
「おい、お前達この国の騎士か?」
「「!?」」
「ミチア。あんたはすぐにこの場から離れろ。今すぐに。」
「?あぁ…わかりましたよ。街の人への被害は避けて下さいよ。」
「あんたより3つ上だぞ?わかってるさ。」
俺はすぐに剣を抜き、フードの男に突き付けた。男は動揺するわけでもなくただ平然と俺たちに話しかける。
「お前、名前は?」
「…ゾイド。ゾイド·ソーラーエクリックス。」「やっぱりな…ゾイド。」
「はっ!?もしかして、お前はっ!」
今まで何のために生きていたのか分からなかった。でも気づいた。思い出した。
「お前を殺すために生きてきたんだっ…!」
「やっと思い出したか。さぁお前頼まれただろ?オレの護衛を。」
「待て。じゃあお前は…」
「隣の国の第一王子ってやつだ。」
俺は思い出した。あの日の全てを。
「オレの護衛をしてくれるなら、お前の記憶を全部元に戻そう。それに思い出しただろう?大きな恩があること。」
「…わかった。その代わり俺からも条件を出させろ。恩を返したらお前を殺す。いいな?」
「あぁ。交渉成立だ。」
俺達の復讐は今始まった。