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こんな引きこもりの自分になんて、食事する価値なんかないと思うんだけど。
空腹からは逃れられなくて、何か食べずにはいられなくて。
真っ暗な部屋の中で、もそもそと食べものを漁ってる自分が、よけいに惨めにも感じてくるの。
引きこもってまでも、なんで食事なんてしなくちゃいけないのかなって。
あっさりと飢えて死ねた方が、よっぽどラクなのにね。
餓死もそうそうできないけど、一度こもっちゃうと、なかなか外に出ていけなくなるんだよね。
私は、キャバクラでのイジメがきっかけだったけど。
引きこもるのなんて、どんな些細なことがきっかけになるのかも、わかんないんだし。
それは、学校の勉強についていけなくなったからかもしれないし、就職先での人間関係にくたびれたからなのかもしれないしさ。
とにかく、ある日を境にして、急に外に出ることもできなくなって。
部屋の中でしか、生活もできなくなって。
その毎日が、どんなに辛くて恨めったらしいのか、いっとう自分が身にしみて思い知らされてるのに、
なのに何にも知らない人に、「外に出ていきなさい」とか言われると、反発したくもなるんだよね。
あたしの気もちなんか、全然わからないくせにってね。
本当は、外に出ていきたいって、誰よりも思ってるのは、自分自身なのにね。
だけど、またあんな風に、周りの人間に意味もなくさらされるのかもって思うと、外の世界が恐くてたまらなくて。
蘇ってきたトラウマを、自分の力だけじゃどうにも消すことができなくて。
きっと、「外に出ていきなさい」なんてたやすく言ってのけるような人は、「トラウマなんて、思い込みだ」って、言うんだろうね。
「だから、越えられるはずだ」とかって。これ見よがしに、正義感ぶってコブシを握って見せたりしてさ。
越えられれば、苦労してないってば。
越えようとして、でも越えられなくて、自分の抱えてる傷の深さに、自分で気づくんだよ。
その痛みに、その底知れなさに。
この部屋から、足を踏み出そうとする度に、ズキズキと。
ナイフで胸を何度もえぐられるみたいにね。