頼れる年下御曹司からの溺愛～シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます～

「……一緒に暮らして貰えるなら、すごく、有難い……凜も竜之介くんに懐いているし、それに……竜之介くんが傍に居てくれると……安心、出来るから……」

そんな私の言葉を聞いた竜之介くんの表情は、いつも以上に優しげだった。

「良かった、嫌だって言われたらどうしようかと思った。それじゃあ早速だけど、明日すぐに部屋を片付けよう。一樹や他に手の空いてる人間を数人呼べば一日で片付け終わると思う。そうすれば明後日には新居に住めるよ」

「え？ もしかして、もう部屋は決まってるの？」

彼の口ぶりから既に新居になる部屋が決まっている事を知って、ただただ驚くばかり。

「ああ、言ってなかったっけ。新居は俺がここへ来る前に住んでいたマンションにしようと思う。いずれは戻る予定でいたから今は物置部屋として借りてるんだけど、そんなに物がある訳じゃないからすぐに片付けられるし、単身用じゃ無いからリビングやキッチンも広いし、個室も二部屋あるから各々のプライバシーも守られる。それに、セキュリティもしっかりしてるから今よりも安全だよ」

話を聞く限り、竜之介くんが住んでいたところなんて絶対高級マンションか何かの類だと感じた私は分不相応な気がして不安になる。

「亜子さん？ どうかした？」

「え？ あ、ううん、何でもない」

急に黙った私を不思議に思ったらしい竜之介くんがどうかしたかと問い掛けてくれたけれど、不安に思った理由を話せば彼が気にしてしまうと思い咄嗟に『何でもない』と答えたけど、

「言いたくない事なら無理には聞かないけど、何か思う事があるなら遠慮せずに言って欲しいし、悩みや不安があるなら迷わず相談して欲しい。一緒に住む事にはなるけど俺たちは恋人って訳じゃないしあくまでも同居人だけど、俺としてはいずれ亜子さんの恋人になれたら嬉しいと思ってるから、隠し事だけは、されたくない」

やっぱり竜之介くんは全てをお見通しのようで、私の嘘をすぐに見抜いてしまう。

しかもさらりと『恋人になれたら嬉しい』だなんて言われたりして、何だか気恥ずかしくなってくる。

そうまで言われてしまうと、誤魔化してばかりというのは何だか心苦しくなってしまい、

「……その、竜之介くんが住んでいたマンションだと、なんて言うか、高級マンション……なのかなって思って、私には分不相応な気がするって、思っちゃったの」

先程不安に思った理由を素直に話すと、

「まあ多少家賃の値は張るけど、そんなに高級って訳じゃないから心配しないでいいよ。新しく探してもいいけど、引っ越すなら早い方がいいだろうから既に借りてる部屋に移ろうと思ったけど、亜子さんが不安に思うなら住み易いと思える部屋を探しても構わないよ」

私の不安を取り除こうとしてくれているのか、気になるなら他の部屋を探しても良いと言ってくれた。

確かにその方が私としては気は楽だけど、それだと無駄に時間を取る事になってしまうし、これ以上彼の手を煩わせたくない私は当初の予定通り、

「ごめんね、色々考えてもらってばかりで。新しく探すってなると時間も手間も掛かるから……竜之介くんが借りてるっていうマンションで大丈夫です。よろしくお願いします」

既に借りているという部屋へ移り住む事を改めてお願いした。