私が握りつぶす動作をすれば、既に氷と化している人が次々に崩れていく。
ガシャン、ガシャン、ガシャン。
私の異能に驚きを隠せないらしい二人が口を開けたまま停止している為、先刻から氷の砕ける音だけが響いている。
最後の一人、私を宙に浮いた状態にしていた奴を壊して、遂に夕稀の異能による奴等は消えた。
氷を量産し過ぎたかもしれない。何せ、二十人以上を氷化し砕いたのだ。少し、此処一帯の気温が下がった気がする。
「ふう·····終った。ね、云った通りだったでしょう?動きを封じるのに十秒も要りませんでした。まぁ、再起不能にするには、もう少し掛かりましたけど」
「えっ、な、何が起こったのです??皆、一瞬にして凍ってしまって·····。此れは、貴方の異能力なのですか?」
「ええ」
「·····手前。異能持ちなんて、聞いてねぇぞ」
「知っている人は殆ど居ませんからね」
何故なら、この力はあの時に封印したから。
「何よ、其れ。その様な事、聞いてませんのよ。私は、私の異能は完璧なのですから、不測の事態に為らない限り負けませんのに。
·····そうよ。貴方の冷静さを失わせれば良いのよね。そうすれば、動揺して異能が上手く使えないでしょう?ならば·····っ!」
極一部しか聞き取れない音量で一人呟いたかと思えば、夕稀は負傷中でろくに動けない中也さんに向かって銃を構えた。
「駄目!!!」
バンっ、と乾いた音がした。
其の時、私は既に動いていた。彼女が銃を構えた時点で、中也さんの処へ走っていた。
パリンッと音を立てて割れたのは、薄い氷の盾。其れと同時に、飛んできた銃弾も弾き飛ばされていった。
「はぁ·····大丈夫ですか中也さん?」
「嗚呼、俺は平気だ。そう云う手前は·····っ!後ろ!!」
「!『氷像の』」
もう一度異能を使おうとしたが、少し遅かった。
中也さんに気を取られ過ぎていて、後ろで未だ銃を構えている夕稀に気付けなかった。
「う゛っ·····」
「矢張り、貴方の弱点は彼なのかしら?」
痛みを感じる処に手を当てると、紅く染まった。
「おい!しっかりしろ、玲沙!!」
薄れゆく意識の中で、中也さんの声を聞いた気がした。
コメント
3件
続きが楽しみです!主さんの作品は私が見てきた中で1番ステキでした!これからも頑張ってください応援してます🔥🔥