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今日も私はレオのそばで無に話しかける。
私が必死に偽るお話を、レオはうんともすんとも言わない。少し微笑むこともなかった。
まるで機械みたいな子だった。
でも、それが心地よかった。
お昼休み。昼食。
教室の恋愛熱気に耐えられず、お弁当を持って、
廊下の人だかりを抜けていく。
そうしようと思った。
だけど、珍しく息を粗めたレオがいたんだ。
助けたい、そう思って、レオの手を強引に引っ張る。机の側にあるお弁当袋も持って。
すぐ近くの家庭科室に滑り込む。
「ねぇ、大丈夫?」
「…………………………」
「あぁ、いつもうるさかったよね、ごめん。」
「………別に気にしてないです。」
今にも消えそうな掠れた声が私の耳に入る。
それほど掠れているのに綺麗な声だ。
「じゃあ、お弁当食べよっか」
「ん…」
家庭科室の椅子を引きずり出して、
机に向かう。
レオのお弁当は私より少し大きめの箱だった。
そこにみっちりと詰められたおかず……。
栄養バランスの偏っていそうな感じぃ…
そう思いながら黙々と食べる。
「スズさん、いつもワタシの側に来ますよね」
なんでなのですか、というお話だった。
「みんな恋愛してて…浮きたくなくて」
「そう…役立ってそうでよかった」
少し、彼女の頬が上がった気がした。
「そろそろ終わりだね、」
「そうですね」
そうして、グッと2人で立ち上がる。
2人、手を繋いで惨めったらしい教室へ歩く。
「教室があぁなってから何月目だろう?」
「3ヶ月たったかどうかくらい…?」
まだそんなもんなんだ、なんて思いながら教室の席に座る。
明日はいつもより少し早く起きようかな。
明日もまた、レオと食べたい。話したい。
あわよくば休みの日は遊んでみたい。
…そう、誰かとの接触を求めたのは初めて。
ただ、いられるだけでいいや、なんてのがほとんどだったから。
みんなが恋人繋ぎで歩き出る教室。
未だに支度の終わっていないレオに、手を振る。
下ばかり向いていたレオは気づかないだろうな。
静かに教室を後にした。
「ねぇ、瀬木さ〜ん。」
校門を出る少し手前、誰かに呼ばれた。
あ、クラスで初めに恋人作った人だ。
「知ってると思うけど、あたしはシズネ」
「はい、それがどうしたの」
「あんた、クラスで浮かないようにあの陰キャといるんでしょ?でも無駄だよ?」
「何がですか。」
「あんたはもう、同性愛者として浮いてる」
「なんの話なんですか」
「あたしは見たよ、あの陰キャ女子と弁当食べてるの」
「はい、それが?」
「ったく、考えてみなさい!じゃあね」
違う、違う、違う!!!
私は公表してないし、同性愛者じゃない。
会話、何もかも聞かれていたの……。
考えてみよう、そう足を急がせた。