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「それはほら、私、新沼社長補佐とは長く一緒に仕事してたから」
「あー、それもそうっすね」
田貫が納得したように手を叩いた。
「小笹先輩、こっちにいた頃はずっと課長席の近くでしたもんね」
「そうそう。だから何となく、必要になりそうなものが分かるだけ」
「ほかの先輩たちも、お二人は昔から息ぴったりだったってよく言ってます」
「えっ!?」
思わず声が大きくなって、瑠璃香は慌てて口をつぐんだ。
「誰よ、そんなこと言ったの!」
「だからほとんどすべての先輩たちですって。俺たちも思ってますし」
そうそう、と田貫の言葉に頷く三人に、
「ちょっと……!」
さすがに恥ずかしくなった瑠璃香が詰め寄ろうとしたら、
「でも……」
田貫がほぅっと吐息を落とした。
「だからこそ小笹先輩が新沼社長補佐の専属秘書になったのって、理に適ってるって思うんです」
「……え?」
思いがけず後輩から告げられた言葉に、瑠璃香は目を瞬く。
「だって、小笹先輩なら、新沼社長補佐の仕事の癖みたいなの、一から覚える必要ないじゃないですか」
「確かに」
田貫の言葉に、佐久と保城が頷く。
「新沼社長補佐も小笹先輩の仕事ぶりが分かってるだろうし。お互いやりやすそうです」
佐久の言葉に、
「ホント、見てて気持ちいいくらい息もぴったりだと思いますし」
保城までそう続けてくる。
何気なく付け加えられた言葉に、瑠璃香の心臓がドキッと跳ねた。
(い、息もぴったり……!?)
それは、恐らくは単なる褒め言葉だ。
間違いなく、仕事ぶりのことであって、それ以上でも以下でもない。
分かっているのに、付き合っていることを隠している身としては、妙に意識してしまう。
「……わー。なんか企画宣伝課が賑やかだと思ったら、〝名物夫婦コンビ〟のお出ましだったのね」
不意に聞こえた声に視線を転じる。
「悦子……」
どうやら騒ぎを聞きつけたらしい悦子が、こちらを見てニヤニヤしている。
「ちょっ、名物夫婦コンビって何よ」
「そのまんまの意味だけど?」
「お願いだからやめてぇぇぇ」
「でもぴったりの表現でしょう?」
悦子が顎で示した先には、河瀬と話を続けている晴永がいる。
「相変わらずの阿吽の呼吸っぷりみたいじゃない」
「……っ」
また言われた。
しかも、晴永との関係を知っている悦子から。
「悦子。それ、もちろん仕事の話だよね?」
思わず念を押せば、
「どうかなぁ?」
しれっと返される。
(悦子ぉぉぉぉ……!)
絶対、分かってやっている。
恨めしげに見つめても、悦子は涼しい顔だ。
その時、
「小笹さん」
「は、はい!」
晴永に呼ばれ、瑠璃香は慌ててそちらへ向き直った。
「悪い、ちょっと確認してくれ」
「はい」
急いで晴永と河瀬のもとへ戻る。
「こっちの企画書と、俺んトコへ上がってきてる資料の数字が一部食い違ってるみたいなんだ」
「どちらですか?」
「ここ」
晴永が示した箇所を横から覗き込む。
「あ、本当ですね」
瑠璃香も二つの資料を見比べる。
「おそらく、企画宣伝課にある資料の方が最新版ですよね……?」
「そのはずです」
河瀬が頷いた。
「河瀬課長、念のため、担当者に確認してきても構いませんか?」
「もちろんです」
「頼めるか?」
「お任せください」
晴永と河瀬、二人から任された確認を済ませるため、瑠璃香はすぐに担当者のもとへ向かった。
#大人の恋
鷹槻れん

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#極道
コメント
2件
名物夫婦コンビ笑
ふふ、今回もとても温かい気持ちになりました🤍 田貫くんや後輩たちが「息ぴったり」「名物夫婦コンビ」って自然に口にするほど、瑠璃香さんと晴永さんの阿吽の呼吸が周囲に染みついてるんですね。本人たちが意識しちゃうからこそ、そのギャップが愛おしいです。特に「仕事の話だよね?」と念押しする瑠璃香さんと、しれっと交わす悦子さんの絶妙な距離感、好きです…!