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鷹槻れん

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水羽凛
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鷹槻れん

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鷹槻れん

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二人から離れて担当者のもとへ向かう瑠璃香の背中を見送りながら、田貫がぽつりとつぶやく。
「……やっぱ、なんかいいよな」
「んー、何が?」
保城が尋ねる。
「新沼社長補佐と小笹先輩。前から一緒に仕事してたからだろうけど、すげぇ自然っていうか」
「ああ、確かに」
保城が頷いた。
「新沼社長補佐の専属、絶対小笹先輩で正解だったよな」
「うん。私もそう思う」
佐久も素直に同意する。
「って言うか、新沼社長補佐のことをあれだけ分かってるなら、小笹先輩が専属なのも納得だよね」
「だな」
少し離れたところで三人の会話を聞いていた悦子だけが、誰にも気づかれないよう小さく笑った。
当の瑠璃香は、後輩たちの間でそんな会話が交わされていることなど知る由もなく。
晴永と河瀬から頼まれた確認を済ませるため、すっかり仕事に没頭していた。
***
企画宣伝課での用件を終え、瑠璃香が晴永とともに社長補佐室へ戻ってきた頃には、窓の外はすっかり夕暮れ色に染まっていた。
「ふぅ……」
扉が閉まるなり、瑠璃香は小さく息を吐いた。
企画宣伝課で確認した資料は、やはりあちらにあったものが最新版で間違いなかった。
晴永のもとへ上がっていたものが修正前のデータだったことも分かり、河瀬課長から改めて最新版を共有してもらうことで話はついている。
これで今日予定していた仕事は、ひとまずすべて終了だ。
残っているのは、明日のスケジュールの最終確認と、細々とした事務作業くらい。
「お疲れ」
デスクへ戻った晴永から声を掛けられ、瑠璃香は顔を上げた。
「お疲れさまです」
答えながら、持ち帰った資料を所定の場所へ置く。
企画宣伝課を出てからここへ戻ってくるまで、当然ながら二人とも仕事の顔を崩してはいない。
けれど、社長補佐室の扉が閉まり、二人きりになった途端。なんとなく、先ほどまでより空気が緩んだような気がした。
「……小笹さん」
「はい?」
呼ばれて振り返る。
晴永は何か言いたそうにこちらを見ていた。
「どうかしましたか?」
「いや……」
少しだけ言い淀んでから、晴永が椅子の背もたれへ身体を預ける。
「今日、企画宣伝課で言われてただろ」
「え?」
「息ぴったりだとかなんとか」
「……聞こえてたんですか!?」
思わず声を上げると、晴永が笑った。
「全部じゃねぇけどな」
「もう……。恥ずかしかったんですよ、あれ」
「なんでだよ。俺たち、仕事の相性がいいって褒められたんだろ?」
「それはそうですけど……」
それだけではない。
悦子から〝名物夫婦コンビ〟などと呼ばれたことは、もちろん言わないでおく。
「でも」
瑠璃香は少し考えてから、晴永を見る。
「……私、ちゃんと出来てますか?」
「何が?」
「専属秘書」
晴永が目を瞬く。
「まだ始めたばかりですし、藤代さんたちに教えていただくこともたくさんありますけど……晴永さんの足を引っ張ってないかなって」
そこまで言ってから、瑠璃香はハッと口を押さえた。
「あっ」
「……今」
晴永の口元が緩む。
「晴永さんって言ったな」
「言ってません」
「言った」
「言ってません!」
「言ったって」
ニヤニヤしながら言われて、瑠璃香は頬を膨らませた。
「もうっ。新沼社長補佐!」
「はいはい」
「そこ、掘り下げないでください」
「だって今、俺たち二人きりだし」
言われて、瑠璃香は室内を見回した。
確かに今、社長補佐室にいるのは二人だけだ。
けれど――。
コメント
1件
わあ、今回もじんわり来ました……!田貫たちの「小笹先輩が専属で正解」発言から始まって、悦子の含み笑いでさらにニヤニヤ。最後の「今、俺たち二人きりだし」の空気感、自然すぎて微笑ましかったです。瑠璃香の「ちゃんと出来てますか?」の不安と、うっかり呼び捨てしちゃう照れ、この距離感が本当に良いなあ。