「おねーさん1人?隣いい?」
静かな空間に聞き覚えのある声。少し驚いてしまい肩ビクリと揺らす。
『……ローレン』
「まあダメって言われてもいくけどな」
頭を悩ませている元凶であるその人は
失礼しまーすと言いながらわたしの隣に並ぶ。
さっきまで吸っていたせいか煙草の匂いがいつもより強い気がした。
キスマークつけたのってローレン?
付ける相手は特別ってどういうこと?
わたしのことどう思ってる?
まだ諦めなくてもいいの…?
聞きたいことはたくさんあるのに聞いてしまったら負けな気がして
折角隣にいるのに何も言えないまま。
「あのさ」
沈黙を破ったのは向こうだった。
一つにまとめられた髪を少し横にズラし
さっきの話題である首元のあたりを撫でられる。
「これ、俺。ごめん勝手に」
『……逆にローレンじゃなかったら困ってた』
「俺でも困れ」
『……特別なの?』
そう聞くといつものようにすぐ返事はこなかった。
そっちから触れてきたくせに。
このまま何事も無かったかのように接してきてもよかったのに。
じっと横から見つめているとその視線に耐えられなくなったのか
はぁ…と息を吐いて答えた。
「……俺やっぱ特別なの、都愛のこと」
『…うん』
「最初はマジでかわいい妹くらいにしか見てなかったんだよ、」
「お前危なっかしい目離したらすぐふらふらどっか行くし。」
「俺だって別にしっかりしてる訳じゃねーけどそれでも俺が見てなきゃって思ってた」
と、そこまで話してくれたところでタイミング悪く着信音。
手に握っていた携帯からその音が出ていることに気づき
慌てて画面を見ると叶くんからだった。
タイミング悪すぎるとでも言いたげなローレンの視線を感じ
「叶くん、心配してるのかも」と言うと「かして」と言われた。
「あ、叶さん?ごめん俺。都愛ちゃんちょい具合悪そうだから俺送ってくわ、」
「荷物だけ取りに行くしまとめといて。」
「……や、ダイジョーブ叶さんは湊に付き合ったげて。うん。また誘いますあざす」
……すました顔してよくそんなサラサラと嘘を。
はい、と返された携帯は既に通話が切れていた。
「都愛のことお願いねーだって」
『……どうすんの』
「どうしよかな、まあ荷物とってくるしここで待っとけ」
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