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どこかの部屋で話をされるかと思った。


でもコウヤさんは外に出て、城の近くにあるオアシスに向かって歩いていく。


確か、オアシスもデートスポットだと聞いた。


なぜそこに行くんだろう。


疑問に思いながらも黙ってついていく。



しかし、目的地はオアシスではなく、その先にある神殿だった。


太くて加工された石の柱が何本も立ち並んでいる。


長い階段を登った先には、白い大理石の床が広がっていた。


その奥には、祭壇があって、大きな月が真ん中に見えるように設置されている。


ここが目的地だったのか、コウヤさんは足を止めて、私とシエルさんを見る。



「恋人のふりができたら、かけらさんの知らないことをふたつ教えると言いましたね。


スペースダイヤと、かけらさんがこの世界にきた理由……。

それを話そうと思います。


……シエル王子は、大体のことをご存知なんでしょう?」



「占いで俺の思考を思考を読むとは、怖いものだな」



「これは占いではなく推測です。

それに、シエル王子に確かめたいことがあります。

かけらさんに真実を伝えると共にお話しましょう」



「お願いします。ずっと気になっていたので……」


覚悟を決めてから、ごくりと唾を飲む。


どんな話をされるのか怖くても興味のほうが勝る。



コウヤさんは月を眺めてから再び口を開く。


「この世界の四つの国が衰退していった理由。

かけらさんはそれを知っていますか?」



「戦争がずっと続いていたからですよね」


長年争ってきたから人々の生活が貧しくなり、文明にも差ができた。


そして、グリーンホライズンとクレヴェンが食糧難になった。


今まで旅をしてきて、私が見てきた現実だ。


しかし、この答えが完璧ではないのか、コウヤさんの反応が薄い。



「そうなのですが……。

答えは、スペースダイヤがあったからです」


「私が持ってきたダイヤモンドが……?」



「はい。世界にたった一つしかないその宝石は、不思議な力を秘めていまして……。


手にした国は裕福になり、他国の繁栄を妨げることができると言われています。


どの国もこれを欲しがるので、争いが絶えなかったんですよ」


ただの美しい宝石ではなく、あまりにも大きな力を秘めている。


それが信じられなくて目を見開く。



スペースダイヤを巡って、四つの国が争っていた。


どの国も欲しがるなら、私がずっと持っていればいいのかな……。


仮にそうだったら、このまま四つの国が和平を結び、平和な世界を作ることができる。


この考えを確かめるために、コウヤさんに質問する。



「もし、スペースダイヤを誰にも渡さなかったらどうなるんですか?

このまま私が持っていたら上手くいくと思うんです」



「かけらさんは素直ですね」


数時間前に告白の返事をして、臣下をクビにしたというのに、気にしていないかのように微笑む。……強い人だ。



「正解にしたいところですけど……。


かけらさんがスペースダイヤを誰にも渡さないで持っていても、この世界の摂理は変わりません。


和平を結んでも一時的に戦争が止まるだけで、また争いが始まると思います。


呪いのような力がありますから。


しかも、状況が今よりも悪化して、四つの国が滅んでしまうかもしれません」



「そんな……」


「この世界の歴史を細かく知っているわけではないので、想定ですけどね。


最悪の事態を避けるためには、かけらさんが選んだ王子の協力が必要になります」



「それぞれの国からひとりずつ、ってことですか?」



「四人の王子を平等に愛し、結婚する、なんてことはできませんよね」



「私が結婚……!?」



「つまり、四つの国の王子の中から、一生を共にする人をひとりだけ選ぶのです。

スペースダイヤを最も愛する人に贈る。

そうすることによって、本当の力が発揮されます」


「本当の力ってなんですか……?」



「争いを鎮める力ですよ。

姫が願えば、未知の力で容易く国を壊せると聞いたことがあります。

支配力があるので、この世界ではスペースダイヤを持つ国が優位なんですよ」



詳しく話を聞いても、信じられないことばかり出てくる。


見惚れるほど美しいものだと思っていたのに、だんだん怖くなってきた。


手を握っても上手く力が入らない。



「驚きますよね。……この世界の歴史もかけらさんに教えましょう」


なにがあっても進むと決めたから、縦に頷いて話を聞く。



「最初は四つの国の王子が、どの国にも属さない姫を好きになって争いが始まったそうなんです。


しかし、繰り返される戦いによって、それぞれの国は衰退していきました。


自分のために争い続けて欲しくないと思った姫は、持っていたスペースダイヤを一人の王子に贈ったんです。


そして、国を滅ぼすことができるほどの力を三つの国に見せつけました。


結果、姫と結ばれた王子のいる国が三つの国を支配し、争いを沈めたそうです。


ちなみに、スノーアッシュの文明が発達している理由は、スペースダイヤを長年所持していたからとか。

……そうですよね、シエル王子」



コウヤさんは、確かめるようにシエルさんの方を向く。



「俺の恋人は、村の老婆からスペースダイヤをもらったらしい。

その老婆が若い頃から大切にしてきた宝だと……。

だから、いつからスノーアッシュにあったのか分からない」



シエルさんは腕を組んで、いつものように冷たい表情をしている。


一切驚いた顔をしないから、今までの話をすべて知っていたんだろう。



「なるほど。わたしは、それを確かめたかったんですよ。

やはり、誰にも渡さないで留めておくのはよくないですね」


「ああ。スノーアッシュ王が亡くなって、内乱が起こってるからな。

呪いのように不幸なことが起きている」



「どうしてシエルさんは私にスペースダイヤをくれたんですか?」



「かけらの存在を知ったからだ」


「私の存在……?」


シエルさんは「説明をしてくれ」っと言っているように、コウヤさんに視線を向ける。



「スペースダイヤは、運命に導かれるもの。

“最花の姫”が持つものなので、適性がある人に届くようになっているんですよ。

スノーアッシュに長年あったのも、何らかの理由があったからです」



「どういうことですか?

それに、最花の姫って……」



「たった一輪の特別な花……。

この世界で最も美しい姫のことです」


「スペースダイヤを持つ人が、この世界で一番のお姫樣ってことなんですか……」



「そう。かけらさんは最花の姫候補です」


私が、この世界のお姫様になる……。



夢だろうか……。


こんな信じられない出来事が起こる夢なら覚めて欲しい。



「過去にも何人か候補の女性がいたのですが、世界は変わらなかったんですよ」


「なぜ……ですか……」



「花は枯れてしまったら散っていく。

残酷ですけど、それと同じような運命だったんでしょう……。

つまり、スペースダイヤを手にするまで辿り着けなかった。


旅をして、見てきたでしょう。

この世界で生きていく厳しさを……。


そんな中、かけらさんは四つの国の王子と出会って、スペースダイヤを持っているんですよ。


すべての国の王子に会うのは、最初の姫にしかできなかったことです」



食糧難、偏った技術の発展、厳しい寒さ、終わらない夜。


四つの国を見てきたけど、不便な点がいくつも存在していた。



初めてこの世界に来た時にレトに出会っていなかったら、今の私はいなかっただろう。


食べる物がなくてお腹を空かせ、凍えるほど寒い夜を過ごし、知らない場所を孤独に歩き続けていたと思う。


スペースダイヤを手に入れられなかった人たちは、それほどつらい想いをしていたんだろうか……。



「なんで私がお姫様の候補に選ばれたんですか?

この世界にも女の人がいっぱいいるのに……」



「最花の姫は、別の世界で魂の行き場所が不確かになってしまった人から選ばれます。

そして、生きていた頃の姿で、こちらの世界で生まれるそうです」



「それって……――」



「元の世界のかけらさんは、いないということになります」


恋戦〜王子様たちに溺愛されて〜

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