翌日の放課後
悲鳴が学校に響いた
この声,あのファンクラブの子でしょうね
わたくしは急いで声のした方へ走る
結さんも目の前を走っている
悲鳴の元の場所にはお嬢と坊ちゃん方, ファンクラブの子がいた
ファンクラブの子は左手首を切られていて,お嬢の左手にはカッターが握られている
普通なら,お嬢がやったと思う人が多いだろう
でも坊ちゃん達はちゃんと佐倉さんがやってないと分かっている
その証拠に…ファンクラブの子の言葉を何一つ信じていない
モブ「本当にこの子が私の手首を斬りつけたんです!」
結「それは違うよ」
結さんは即座に否定した
その言葉に全員シンとなった。もちろん,わたくしも
結「佐倉さん,“左利き?”』
美咲「あ,うん…」
ああなるほど。そういう事ですか
結「なら,君が“右手首”を怪我してるのはおかしい」
結さんが云うとファンクラブの子は反論してきた
モブ「な,何もおかしくないじゃない!」
太宰「…?…!なるほど,そういう事か」
アイ「なるほど,分かった」
それを聞くと結さんはにこりと笑った
アイ「左利きの人がカッターで向かい合ってる人の手首を切り付けたのなら,本来ならば“左の手首”を斬りつけられる」
太宰「でも君は“右手首”を怪我してる
それは向かい合ってる人が右利きの人じゃなきゃ無理な事
でも美咲ちゃんは左利き
この場にいたのは君達2人…そして君も左利き…もう,云わなくても良いだろう?」
敦「待ってください太宰さんアイちゃん!
ど,どういう事ですか!?」
え,結構丁寧な説明だった様な気がしたのですが…
結「左利きでカッターを持って手首を傷つける時,それは必然的に左右,どっちの手首になる?」
結さんがもっと分かりやすく説明した
敦「…?あ!
そ,そういう感じか…」
敦坊ちゃんはどうやらようやく分かった様だ
結「私,もう行きますね…」
うーん,わたくしどうしましょう
美咲「あ!お礼…!」
結「では,“さようなら”」
美咲「あ!ま,“またね ”!!!!!!」
ああ,結さんが行ってしまった…
さて,ここからはわたくしの番ですね
『言っておきますがあなたの行為は犯罪にあたります
まず血で床を汚してしまってますね。血とはなかなか取れません。きっとこちらも変えなければでしょう
そうなった場合器物破損になりますね
そしてあなたは陰でおじょ…美咲さんの悪口を言っていた
おそらく美咲さん本人にも聞こえていたでしょう
それで心を傷付けられている場合,傷害罪に当たったはずです
嗚呼ご安心を。法で捌けなかったら法外の手段で捌けば良いのですから』
きっと今のわたくしの顔はヴィランそのものでしょう
『さあ!わたくしにその罪を裁かせ…』
イッテツ「す,ストーップ!」スパンッ!
慌てた様子でイッテツ坊ちゃんが入って来た
イッテツ「レオンさん!駄目だよ!
ほら早く行こう!ごめんおにいちゃ…先輩方!俺レオンさん連れて帰ります!」
そう言っては慌ててわたくしの手を取って走り出した
もう片方の手や腕にはわたくしとイッテツ坊ちゃんのカバンがあった
イッテツ坊ちゃんが来なかったらきっとマフィアとしてのわたくしが出て来たであろう
ありがとう坊ちゃん
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