テラーノベル
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朝ごはんを食べ終えると 、お皿を洗って
2度目の歯磨きをして 髪を整えて 。
僕はあの顔が頭から離れなくて
また、会えるかな と 。
祖母に散歩してくる と伝え スニーカーを履く
ドアを開けると生ぬるい風が横切る
今日もまた夏の暑さに呆然として
やっぱり家に居ようかな と考えるけど
いつの間にか足は外へ1歩1歩と進んでいく
昨日彼を見つけた踏切
まぁ、都合よく居るけでもなく…。
2時間に1度しか閉じない踏切を渡り 、
坂を昇っていく。
のぼった先には緑が広っていて
見覚えのない赤い鳥居がぽつんと立っている
「…あれ。こんな所に神社なんてあったっけ」
そうここは去年来た時は
【立ち入り禁止】
と書かれた錆びた看板が立っていた
どこか不思議な雰囲気を纏っている。
木から射し込む光が神秘的だ。
何度も 疑問に思う。
何故こんな所に? いつの間に?
でも僕は好奇心には勝てず 足を踏み入れた。
ス─ っと 前から冷たい風が吹いた。
周りの音が消えたかのように
不気味な風の音だけが響く 。
僕はこの空間に恐怖を覚え 、すぐにでも
ここから離れたい 。と 、
1歩後ずさって 振り返る
その刹那 後ろから声が聞こえた。
「ここに人が来るなんて 、珍し 。」
僕はその声に恐る恐る また振り返った
そこには僕が探し求めてた姿が映し出された
少し日焼けのした肌 。
片口角を上げて笑う顔 。
笑う度出てくるぷっくりとした涙袋。
僕はまた見とれてぼー っと見つめていると
彼が此方に近寄ってきた。
「昨日も会ったよね?」
僕は突然言われたものだから戸惑ってしまい
「あ 、 はい っ 、?」
謎に疑問形だし 、声裏返るし
中々恥ずかしい所を見せつけてしまった
僕は やってしまった と秒で後悔していると
「ぷは 、っ 笑 なんで疑問形なのさ!」
彼は 片眉を下げて吹き出していた 。
その無邪気な姿にも僕は一瞬で惹かれていた
僕は彼みたいな性格は嫌いだ。
でも 、彼の綺麗さに圧倒されて 。
目で追うようになってしまうと 全てが狂う
僕は 一瞬 間を置いて 、
彼に合わせるように笑った 。
「はぁー 、 おもしろ笑
ねぇねぇ名前は?年齢は? 」
急な質問攻めに僕はまた戸惑うが、
先程の失敗は流石にもうしない。
「えっと … 大森 元貴 。16歳 」
「なーんだタメじゃん!
じゃあ元貴って呼ぶわ」
いや元々タメだったじゃん とか
名乗らんのかい とか
頭の中でツッコミを入れながら頷く。
僕は彼に招かれ 丁度いい石に座る
「で 、なんでこんな所来てんの?」
僕はまた質問か と思いながら答える。
まぁ 君を探しに来ました なんて言えないから
「散歩しててたまたま…笑」
と 、苦笑しながら嘘をついた。
「ふーん 。あ、そう
それ聞きたいんじゃなかった」
彼は何かを思い出したようにして
僕の目をじっとみた。
「昨日会った時俺の事じーっと見てたよね
あれ、なんだったの?」
僕は 見惚れてた なんて言える訳もなくて
必死に頭の中で言い訳を探す。
そんなすぐに浮かび上がることも無くて
しばらく時間が経過すると 、
彼が顔を寄せて じっと見てきた。
「もしかして 、見惚れちゃってた?笑」
彼は冗談そうに言うが 、
僕には完全に図星
「な 、… !」
僕はそれ以上何かを発せなかった。
ただ俯いて 少し顔が熱くなるのを感じた。
「え、ガチなやつ?笑」
彼は僕の顔を覗き込んで笑う
僕は彼を見返して 、もういいや
と全てを投げ出した。
「…だったらなんなのさ 、!」
彼は予想外の反応だったのか
一瞬目を丸くさせて 、またぷっと吹き出した
「いや 笑 面白いね元貴って 」
面白いのか…?? と思うが
彼はまた眉を下げながら笑う
僕はそれに釣られて吹き出してしまう
その後も会話は弾んでいった。
初めてだ。こんなに初対面と仲良くなれたのは
そして笑いの波が少し引いた時
若井は一息ついて 声のトーンを下げて言った
「…この町で起きた
“行方不明事件”って知ってる?」
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コメント
2件
なんというか…美しい。 今まで見てきた作品の中で一番と言っていいほど好きです。 これは期待できる展開も面白い作品になりそう… 続き待ってます