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🐧まなと 🐬そうた
ふたりが幼なじみだった話
朝の空気は、まだ少し冷たかった。
🐬「おーい、まなと!」
振り返らなくても分かる声。
🐧「おっそーい笑」
そう言いながらも、足は止めていた。
🐬「いや待てよ、今来たばっかだろ」
隣に並ぶそうたは、いつも通りの笑顔で。
何も変わらない朝みたいに、自然に距離を詰めてくる。
その近さに、慣れてるはずなのに。
🐧「なんか近くない?」
🐬「え、そう?」
悪びれもなく笑う。
こういうところだ。
誰にでも優しいくせに、
俺には少しだけ距離が近い。
それがどういう意味なのかなんて、
分からないくせに。
🐬「なあ、今日の小テストやばくね?」
🐧「そうたが勉強してないだけ」
🐬「ひど笑」
軽口を叩きながら歩くこの時間が、
ずっと続けばいいと思ってる。
でも、そんなわけないことも、分かってる。
🐬「そういえばさ」
🐬「彼女とか作んねーの?」
一瞬、息が止まる。
🐧「…いらない」
🐬「えー、もったいな」
もったいないのはどっちだよ。
言えない言葉を、飲み込む。
🐧「そうたは?」
🐬「んー、いいかな今は」
そう言いながら、俺の方を見る。
🐬「まなとといる方が楽だし」
そういうとこ。
期待してしまうようなことを、平気で言う。
🐧「…そう」
それ以上は、何も返せなかった。
もしここで一歩踏み出したら、
この関係は終わる気がして。
怖い。
隣にいられなくなるのが。
🐬「ほら、急がねーと遅刻すんぞ」
そうたが俺の腕を軽く引く。
その一瞬の温度が、やけに残る。
ただの幼なじみ。
ただの親友。
それだけのはずなのに。
どうしてこんなに、苦しいんだろう。