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#つづくかしらん☆
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ーー!雪ー!
誰かを呼ぶ声が聞こえる。
まるで誰かの意識を覚ますように。
ーーーー雪華!起きて!起きてよぉ!ーーーー
そう言い泣き叫ぶ親友の声で目が覚めた。
『……んっ…。』
「スゥ…スゥ…。」
『…。(此処は病院…?)』
軽く混濁した意識で周りを見渡す。
意識を覚ましてくれた琴美は
椅子に座って寝ている。
よく目を凝らすと目元が赤い。
『(さっきまで泣いてくれてたのかな…)』
ごめんねと念を込めて琴美の頭を撫でる。
手を通すたびにサラサラになる髪。
私はこの琴美の髪が好きだ。
「っ…雪華…?」
そう思っているうちに琴美は目を覚ました。
「え…本当に雪華なの…?」
泣きそうになりながらこっちを見つめる琴美、
私はいつも通りに明るく
『そうだよ〜逆に私以外誰がいるのよ』
変なこと言うね〜琴美は。と言い笑う。
琴美のさっきまで潤んでいた目が
まるでダムが崩壊したかのように泣き始めた。
「死んだかと思ったんだからぁ…」
えぐえぐ言いながらそう告げる琴美。
こんなに迷惑をかけたのかと申し訳なくなった。
『ごめん…めっちゃ場違いだけど…』
琴美は「?」を頭に思い浮かばせ此方を見る。
『ナースコール…押さなくていいの?』
「あ…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから色々検査をさせられた。
途中から琴美は学校へ行きお母さんが来た。
そして念の為2日入院し今日検査の結果を聞く。
「それで…娘は大丈夫なんでしょうか…。」
不安そうに、少し前のめりになりながら聞く。
「ええ…目の方は大丈夫でした。」
「軽い結膜下出血でしたのでもう大丈夫です。」
ですが…と医者は言葉を濁し目を逸らす。
まるで何か悪い予兆の様に。
「目の方はって…他に何かあったんですか?」
少し青ざめながらお母さんが聞く。
「実は雪華さんから… 脳腫瘍が見つかりました」
空気が氷点下になったかの様に冷めた。
お母さんは驚きで泣いている、
医者の方も申し訳なさそうな顔をしている。
「早期発見していたら手術で根治出来たんですが
もう肺等に転移していてもうどうする事も…」
そう言い頭を下げる医者の方。
私は驚くほど冷静だった。
「まさか余命宣告はありませんよね…?」
まるで神に縋るかのようにそういうお母さん。
しかし神に祈りは届かなかったようで
「残念ですが…約2か月ほどしか…」
そう言い軽く言葉を濁す医者の方。
『そう…ですか…』
そうですか、で終わってしまった。
いや他人事の様なその言葉しか出てこなかった。
だって、他人事の様に思わないと
何かが溢れてしまう気がした。
まるでコップに入っている水が溢れるかのように
それからの話は耳に入ってこなかった。
ただただ溢れそうな思いを抑えるのに必死だった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰ってから何もする気にはなれなかった。
今まで頑張ってきた部活、勉強。
死ぬ気で受験勉強をした日々など。
全てが泡になって消えていったかのような、
胸にぽっかり何かが空いたような気持ちになった
『ッあぁ…なんで私なのかなぁ…』
私はただただ怖かった。
病という私の命を食い破らんと近づく 死の影。
2ヶ月という日々はあるが、
いつ消えてもおかしくない生命という灯火。
自分が早く気づかなかった事の後悔。
どれだけ考えても変わらないというのに
後悔は止めどなく溢れ出てくる。
私しか居ない部屋で静かに泣いた。
それは自分の心を保つ為に
堪えていたモノが崩壊した瞬間だった。
『…ははっ…これが後悔先に立たず、か…』