テラーノベル
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かっと目を見開いたライアは、渡された皿に口をつけると、一切の躊躇を見せる事無く口中に流し込み、素早い咀嚼の後一気に飲み込んだのである。
直後、ライアの体に異変が起こった。
具体的には顔面から首筋に掛けて真っ赤に紅潮し始め、同時に全身がプルプルと小刻みに震え始めてしまったのである。
その上、無言のまま呼吸すら止めてしまっているらしいライアに、ジョディが心配そうに声を掛ける。
「ら、ライア? き、君、大丈夫か?」
この問いに、ライアは微かな声で返す。
「…………う」
「う?」
「う、う、美味いぃー! なんだこれぇー! 美味過ぎるぅー! 皆も食ってみろってぇ! いやいやいや、食わなくて良い! 俺が全部食うー! 師匠、ラマス姉さん! 俺にもっと下さい、お代わり、お代わりですっ!」
「あはは♪」
「はいはいお代わりね♪ 皆は良いの? 早くしないとライアが全部食べちゃうわよぉ?」
ザワッ……
ラマスの悪戯(いたずら)そうな問いには誰も答える事無く、次の瞬間には揃って鍋の横に歩を進め、がっついているライアの姿をもう一度確認した後、ランディ、ジョディが恐々と言った感じで肉を口に運び、そのまま餓鬼の様に貪り始めた姿を目にした瞬間、女性陣、サンドラとシンディも交えた浅ましい奪い合い会場へと様相を変じて行ったのである。
都度足され続けた食材をも食べつくして、この時代のニンゲンでは余り見掛けない姿、腹部をパンパンに張らして寝転がる五人を横目で見ながら、ラマスが満足そうな口調でレイブに言う。
「叔父様、じゃなかったダーリン、ランディとサンドラから吸ってあげた方がいいかも…… ラマスがやってあげても良いかな?」
レイブは焚き火の世話をしながら軽い感じで答える。
「あ本当、んじゃ吸っといて、頼むね、……ダーリン?」
「りょっ!」
ダーリンの言葉に相変わらず首を傾げているレイブをそのままにして、ラマスはサンドラの張れ切った腹部に手を置くと小さく呟くのである。
「すぅー、ぐるぐるぐる…… すすぅー、ぐるぐるぅ……」
先程、生木やモンスター肉から命、『生命力』を吸い上げたレイブと同様に、サンドラに触れているラマスの右手が薄っすらと光る、とは言ってもレイブに比べれば数分の一の明るさであったが……
「あ、ええ、楽になりまし、た…… ?」
一方のサンドラは自分の腹に手を当てて、キョトンとしたまま不思議そうな顔を浮かべている。
小さく微笑んだラマスは、腰を上げると唸り声を上げているランディに歩み寄り同じ事を繰り返し始める。
「プフゥー、楽になったー、サンキュですラマス姉さん!」
「てへへ、良かったー、でも姐さんなんてまだ早いんだけどねぇー、まだ、今の所、もう少しの間だけ、キープなんだからぁ~♪」
「へ、キープ? ですか? 何です?」
「えへへ♪」
なるほど、新弟子の立場として先輩のラマスは彼等から見れば師姉、姉さんに当たる訳だ。
しかしラマスの耳には姐さん、つまりご新造さん、師匠レイブの奥さん扱いされたと聞こえる訳だね。
本当言葉って難しいよねぇ。
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