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Ep15 優勝候補パーティ

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2024年02月19日

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 翌日、レオのパーティ “KINGS” を下した風紀委員に挑むのは、KINGSに並び、公式戦での優勝候補と名高い三年生の貴族院のみで編成されたパーティだった。

 現国内最強パーティ、クレリック ミネルヴァの子供、ソル・アトランジェ率いる “SHOWTIME”

 ソルは顔も良く、常に煌びやかな装飾で実力もあり、大多数の生徒から人気のある生徒だった。

 闘技場内は、ソル達の登場に活気が溢れる。

 ソルは女生徒層からの人気があり、他のメンバーたちもそれぞれにファンがいる程、信頼も厚かった。

 ソル・アトランジェ、職業 メイジ。

 風魔法を扱うメイジだが、前衛を担当するという異例の前衛職である。

 ルルリア・ミスティア、職業 メイジ。

 同じく風魔法を扱うメイジで、魔力量が高く、バフを高める強力なサポート能力を持つ。

 ロス・アドミネ、職業 メイジ。

 同じく風魔法を扱うメイジだが、自らもソルに並び、前衛で戦闘する特殊な魔法を使う。

 グロス・アドリエ、職業 シールダー。

 唯一、岩魔法を扱う防御特化のシールダー。しかし、グロスも自己主張が激しく、後衛だが前衛にも行く。

「じゃあ、アイツら……ほぼ全員が前衛で戦うってことかよ…………!?」

「ああ……風属性の術師が三名もいる為、“風共鳴” により全員の移動速度が上がるんだ……。更に、疲れ知らずで長時間の戦闘も可能になる。キルロンド王国学寮が誇る、名誉あるレオに並ぶ優勝候補の一角だ…………」

 そして、再び風紀委員は凛として出場した。

 その瞬間、会場内は静けさに溢れた。

「彼らを倒せば、もう僕たちに楯突ける者はいない。浮いたような輩だが、KINGSと同様、紛れもない強者だ。油断はするなよ…………」

「ハッ!」

 カナリアの声に、風紀委員たちは声を上げた。

『 勝負開始 ―――――――― !! 』

 そして、試合は始まる。

 風紀委員は、いつものようにリゲルが前線に出向くと、雷シールドを張り、全員が配置に着いた。

「さあ、僕たちも舞おう。“ショータイム” だ…………」

 すると、ソルの合図で、全員が前線へと出向いた。

「風紀委員相手でも全員が前衛に…………!?」

 “風支援魔法・風来坊”

 ルルリアが風魔法を放つと、闘技場内は薄緑色のオーラのようなものに包まれた。

「あれは…………攻撃魔法…………?」

「いや、あの魔法は支援魔法だ…………! しかも、“風属性のみ” の攻撃力を上げる。本来、風属性の術師が前衛になることは滅多にない。しかし、このパーティにおいては最上級に強力な支援魔法になる…………!」

 “岩防御魔法・断崖”

「さあ、ダンスのお時間だァ!」

 次いで、グロスも飛び上がりながら、全員に対して均等に岩シールドを張った。

 “風魔法・風位一体”

「お前たち、僕の邪魔はするなよ!!」

 すると、ロスの風魔法は、四人全員を緑色の透明なラインで結んだ。

 そのまま、ソルは大きく飛び上がる。

 リゲルは、前・左右・上空から、挟み討ちになった。

「すげぇ…………こんな戦い方もあるのか…………」

「いや…………これは彼らだけが許される戦い方だろう。あまり参考にはしない方がいいね…………」

(しかし、四人に囲まれ、シールドも全員が保有している中で、リゲルくんの “炎魔剣” の正体が分からないとは言っても、こんな絶体絶命も乗り切れるものなのか……?)

 “炎魔剣・陽炎”

 リゲルは剣を構えると、一瞬ボヤッとした姿に変わり、四人からの一斉攻撃を喰らった。

 しかし、やはりリゲルは別の場所にいた。

 シールダー、グロスの背後 ーーーー

 ゴォッ…………!

 しかし、グロスは後衛シールダーにも関わらず、背後に瞬時に足を蹴り上げ、牽制と同時に回避した。

「凄ぇ…………リゲルの攻撃を防いだ…………!」

「あれも恐らく “風共鳴” の影響だろう……。流石は三年生の中でも群を抜いた強力なパーティだ…………」

 ゴッ…………!

「消えんのかなんだか知らねぇけど、速度で俺たちが負けるわけねぇんだよ!!」

 こちらも、支援役のはずのロスは瞬時にリゲルの背後へと回り込み、再び挟み討ちにする。

「消えるのであれば…………」

 そこに、上空を移動するソルは睨みを効かす。

「逃がさないまでさ…………!」

 “風攻撃魔法・舞羽”

 すると、ソルからは大量の羽が舞い降り、素早くリゲルに向かって襲い掛かる。

 再び、リゲルは消えるが、出現した先にも、ソルの羽は追い続ける。

 “炎魔剣・鐘楼”

 リゲルの剣から炎が舞うと、全ての羽をその剣で消滅させた。

 その姿を見て、全員の動きは固まる。

「ふむ…………」

 ソルは、少し考える素振りを見せると、躊躇なく降下して臨戦態勢を解いた。

「降参だ」

 そして、手を挙げて驚愕の言葉を発した。

 会場内はどよめきの声が渦巻く。

「彼、攻撃を全て避けられ、しかもこちらの攻撃も消滅させ、更に、シールドも貫通させる。まさに無敵だね」

「僕たち風紀委員の前衛を任せる男だからね」

「それを引き出しているのは、君の “洗脳魔法” 。しかし君を倒そうとしても彼が立ちはだかり、彼を凌いでも後衛のエリート達が控えている」

 ソルの精密な解説に、カナリアは黙る。

「ふふっ、魔法戦術に長ける者ほど、君たちのパーティには敵わない…………と言うわけだ。レオくんが敗北した理由が分かったよ」

 ソルのパーティメンバーも、全員が納得しているように闘技場から去って行く。

 しかし、ソルは最後、カナリアに指を向ける。

「君は…………君たちは敗ける。断言しよう」

 そして、ソル達のパーティは闘技場を後にした。

 何はともあれ、優勝候補と名高い二パーティを伏せたことで、風紀委員たちは真に恐れられる存在となった。

 ――

 帰り際、闘技場を出た辺りで、ヒノトたちはソルのパーティに話し掛けられる。

「やあ、久しぶりですね。リオン様」

「あ、ああ。惜しかったな…………ソルくん…………」

 リオンに軽く挨拶を済ませると、ヒノトを見遣る。

「レオ様のパーティと並び、“王族”“魔王の娘” を引き入れたパーティ………… “DIVERSITY” 。聞きました、君は魔法が使えない、と…………」

「は、はい…………。そうっス…………」

「頭の良いリオン様ならもう気付いていると思いますが、風紀委員のパーティは『対魔法戦闘用』に特化したパーティで、魔族や魔物に焦点を当てていない。ある意味で、ブレイバーゲーム最強の編成とも言えるね」

 短い戦闘時間でのソルの的確な解説に、全員は目を逸らさずに聞き続けた。

「現状、彼らを倒せるのは王国軍の手慣れたパーティくらいなものでしょう。しかし、カナリアくんの洗脳により、『風紀委員が学寮内の全パーティを伏したら学寮からブレイバーゲームという競技の廃止』が実行されてしまう」

 すると、ソルはヒノトを見てニコッと微笑む。

「今回は君に任せました。まさか、彼も『魔法が使えない相手』が大敵になるとは思っていないでしょう。しかし、これだけは言っておきます…………」

 ふんわりした笑みから一転、細い目付きを向ける。

「公式戦で君たちを倒すのは、レオ様率いるKINGSではない。我々、SHOWTIMEだ…………」

 そして、またニコッと優しい笑みに戻る。

「任せ切りと言うのもなんですから、彼らを倒す為のヒントをご教授しましょう」

 態勢を戻すと、今度はリオンを見つめる。

「リオン様、貴方の働きが勝敗を決するでしょう。彼らもリゲルくんの炎魔剣が全てではない。ヒノトくんがリゲルくんを止められても、バックサポートも彼らの真骨頂と言えます。ふふ…………楽しみにしていますよ」

 そう言うと、そのまま去って行ってしまった。

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