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18 - Ep16 できること

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2024年02月22日

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 風紀委員との決戦前日、ヒノトは朝早くから、「試したいことがある!」と言い、リリムを引っ張ってどこかへと駆けて行ってしまった。

「グ、グラムくん…………僕らもトレーニング……する…………?」

「ああ」

(グラムくん、顔怖いから二人きりは気まずいなぁ……)

 トレーニングルームへは、グラムは表情一つ変えず、リオンの後ろを着いて行った。

 トレーニングルームには、近距離魔法用のカカシや、遠距離魔法用のカカシが点在しており、”スコア” として、どれ程の魔力量、及び火力が出せていたかも計測でき、どの程度のシールドを破壊できるかの目安にもなる。

 “水放銃魔法・水針”

 シュン…………!

 まずは一投、何も考えず、カカシに魔法を放出する。

 リオンも一応王族であり、物心着いた頃から魔法剣術学校にも通っていた為、数値はトップクラスだった。

 しかし、やはり浮かない顔を浮かべる。

(ソルくんの言い方…………僕の今のこの魔法では勝てないような物言いだった…………。立ち回りの問題……いや、この魔法でのサポートは限られるってことか…………?)

 ふと横を見ると、一年生と思われる青緑髪の女の子が、広範囲魔法の練習を汗だくでしていた。

「あ、あの、君…………風属性だよね…………?」

「え!? あ、リ、リオン様!?」

 流石に動揺した様子で、少女は身構えた。

「あ、ハハ……そんな畏まらなくていいからね……」

 苦笑いでリオンも答えると、唖然とした顔でリオンを眺め、少女はクスッと笑った。

「リオン様って、王族なのにチャラチャラしてて、女の子ばっか口説くって噂になっていたので……ふふっ、なんだか雰囲気が全然違くて…………。あ、すみません!! 初対面なのに失礼なことを…………!!」

 少女は、風属性を扱うメイジ。パーティを未だ組めていない、1年Dクラスの女の子だった。

「君、広範囲魔法の練習してるよね……? でも、風魔法って基本的にバッファーじゃないのかい……? 杖も持っているみたいだし……サポート寄りなのかと思ったんだけど……」

「えへへ、みんなから言われます。実際、支援魔法の方が得意ですし……時間の無駄って言われたこともあります」

「それで、どうして広範囲魔法を…………?」

「私、SHOWTIMEのロス・アドミネ先輩が好きで、ロス先輩って、仲間にバフを配りながら自身でもアタッカーとして前衛に行くじゃないですか。それが、なんだか一緒に戦ってるみたいで凄くかっこいいなって……」

(一緒に…………戦う…………)

「自信が…………それでも、やはり苦手なことで、自信がないとしても…………君は、やりたいのかい?」

 彼女は、再びクスリと笑うと真っ直ぐ見つめた。

「ふふ、王族のリオン様は、そんな “自信” について、悩まれないと思っていました。そうですよ、リオン様。自信がなくても、向いてないかも知れなくても、私はやると思います。やりたいと思うからやるんです。それ以外に、理由なんてありません」

 リオンは、ただ一礼、「ありがとう」と伝えた。

 そして、防御魔法のトレーニングを一人で淡々とこなしていたグラムの元へ駆け寄る。

「グラムくん……試したいことがあるんだが、いいかい…………?」

 グラムは、リオンの眼をしっかりと見つめた後、「もちろんだ」と答えた。

 二人は、少し開けたトレーニングルームへ移動する。

「グラムくん……僕に防御魔法を掛けて欲しい。僕が今からやるのは………… 『広範囲水魔法』だ…………」

 ゴクリと、汗を滲ませる。

 リオンがやろうとしていることは、ただの広範囲の魔法ではない。

 シールドを張ってもらう意味…………自分も前線で、自身にすらダメージを与え兼ねない魔法だった。

 これを完成させるには、課題が二つあった。

 今まで前線で戦うことを拒んでいた恐怖に抗うこと。

 そして、シールドを張ってくれる仲間を信じることだった。

 “水放銃魔法・水葬”

「ふぅ…………」

 神経を集中させ、自身の周りに水魔力を展開させる。

(あとは……大量の水撃を地面に落とすだけ…………)

 バチャッ…………

 しかし、頭では分かっていても、水は静かに地面へと落下した。

 その後、何度試しても、攻撃魔法に変わることはなく、ただの水として、水溜まりが出来ていった。

「やっぱり…………僕に前線なんて…………」

「お前、何にビビっている?」

 ふと、リオンはグラムに肩を掴まれ、ハッとする。

「ご、ごめん……協力して貰っているのに、自分の世界に入ってしまっていたね…………」

 その場に座り、グラムを眺める。

「前から思っていたんだが……君は僕に対しても、ヒノトくんたちみたいに、を付けないんだね」

「付けた方がいいか?」

「いや……むしろ嬉しいんだよ。僕は王族と言うだけで、偉いのはお父様だ。それに、みんな当たり前のように様と呼ぶが、この国には王族に様を付けて敬わなければいけない決まりはないしね」

「俺は、ヒノトを見て感じた。魔族、リリムに対しての想いや、考え方。俺もそれに習おうと思った。だから、魔族も王族も貴族も、みんな同じだと考えている」

「グラムくん…………僕はどうやら、君のことを少し誤解していた…………。いや、知らなかったんだね」

「む? なんのことだ?」

 そして、リオンは立ち上がる。

「ヒノトくんは、レオに対して対等に向き合った。その姿を見て、力を貸したいと思った。でも、その仲間たちだって、ヒノトくんと変わらない。信頼できる仲間だってことを忘れていたよ」

「無理に信頼することはない。俺たちは知り合ってまだ間もないからな。だが、ヒノトが認めてくれて、このパーティにいる以上、俺はシールダーとして、仲間を傷付けさせない」

「ハハッ、それだけ聞ければ十分だよ!」

(そうだね、無理なんてしなくていい。いつも通りでいいんだ…………)

 そして、辺りに水魔法を展開させる。

(ただ一つだけ…………仲間を信じるだけだ)

 “水放銃魔法・水葬”

 ダンダンダンダンダン!!

 大きな音を立て、リオンの周囲には水撃が舞い落ちる。

 水飛沫の中、リオンはグラムにニシっとピースを送る。

 その姿を、グラムはニヤリと笑って見つめていた。

「ハッハッハ、流石は王族! やっぱり僕って、なんでも出来ちゃうんだよね〜!! どうだい? グラムくん!」

「うむ、そう言うところはウザいな」

「そんなハッキリ言うのかい!?」

 トレーニング後、四人は夕暮れの中で合流する。

 ヒノトは、全身がボロボロになっていた。

「ヒノトくん!? ボロボロじゃないか……!」

「あぁ……コイツにやられた」

 そう言ってリリムを指差すと、リリムは頭を叩く。

「アンタの指示通りにしただけでしょ!!」

「いてて…………あぁ、なんか、そっちも良い感じそうだな。なんか、リオンの顔、すげぇイキイキしてるな」

「ふふ、分かるかい? 新技を会得してしまったからね」

「俺たちもだぜ! やっぱさ、ブレイバーゲームってすげぇ楽しいな! 明日がやっと本番だけど!」

 全員、ニカっと笑うヒノトを見て感じていた。

 ヒノトがソードマンだから、楽しいと思えるんだと。

 でも、それは敢えて口には出さない。

「そうね! 私も早く試合が楽しみよ!」

「僕もだ! こんなに戦闘がワクワクするのなんて初めてで、今夜は寝られそうにない!」

「睡眠はしっかり取った方がいい」

 みんな、ハハハと笑いながら手を合わせる。

「うしっ、DIVERSITY初陣……俺たちが勝つ……!!」

「「 おう!! 」」

 全員、笑いながら手を翳した。

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