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「こっち、こっち。」
あれだけそそっかしいのに、道だけは間違えない涼ちゃんに連れられて。
辿り着いたカフェは、確かに可愛かった。
「くまさん?」
「くまさん。」
くまの手が、飲み物を渡してくれるシステムらしい。
店内に一応座れるスペースもある。
「くまさん!」
飲み物を渡してくれる手と握手したり、大きさを比べてみたり。
涼ちゃんはそれを堪能してるようだった。
本当、こういう時は無邪気だと思う。
動物の動画見てる時もそうだけど。
「持ち帰りたいー。」
「営業妨害するな。」
持って帰っちゃダメだと思う。
そんな俺らを、何故か元貴は目を細めて見てた。
「そういえば、もときはなんの用事だったの?」
くまさんを堪能した後、テーブルで。
コーヒーはちゃんと美味しいところが凄い。
「いや、ただ単なる陣中見舞い。どうしてるかなーと思って。」
本当に俺と雑談してるだけだったもんなぁ。
「若井がさぁ、りょうちゃんの話しかしないのよ。なんなの?いつそんな仲良くなったわけ?」
「ちょっとわかい、変なこと話してない?」
「さぁ?この前作った料理の、塩の分量間違っててやたらしょっぱかったとか、しょっちゅうソファで寝てるとか、ベッドでゲームやって寝落ちしてるとか、そんなん?」
「わーかーいー!」
膨れっ面な涼ちゃんは面白いけど。
「どれも事実じゃん。」
「逆にりょうちゃんはないの?」
あ、聞くんじゃない!
「わかいが料理上手で美味しいとか、寝てると何か掛けといてくれるとか、サッカー観てるといきなり解説始めるとか、そんな感じ?」
うわ、はっず!
「おーまーえー!」
「事実じゃーん。」
けらけら涼ちゃんは笑ってる。
「最後はともかく、いいエピソードしかないあたりがりょうちゃんだね。」
元貴も笑ってる。
「逆にさ、ひどいエピソードしか出てこないの、ひどくない?」
「いい話なら、居ない時に聞いたよ。りょうちゃんが頑張ってて、オレも嬉しい。」
元貴が涼ちゃんの頭を撫でた。
年上でも自然にできるのが、元貴の凄い所だと思う。
「もっと褒めてくれていいんだよ?」
「えー、ダメダメ。りょうちゃんはすぐ調子に乗るから。」
嬉しそうにされるがままだったけど、そんな願いは元貴に一蹴されてた。
「まだまだ頑張らないと。あのダンスのいつも引っかかる部分、出来るようになった?」
「う゛っ。」
途端に言葉に詰まる。
「あそこさぁ、速いのがさぁ…。」
いじいじ、もじもじ。
見てる分には、楽しい。
「練習あるのみ。若井は?」
「俺なら大体は。」
次のレッスンで、通しでやってみないと、何とも言えないけど。
「じゃあ、りょうちゃんは特訓で。頑張って。」
「うー。」
カップに残った氷を、ストローでぐるぐる混ぜながら涼ちゃんが唸る。
「練習しよ。」
カップに残ったメイプルラテを啜りながら、呟いてた。