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ただ静かに高校生活を送るだけだった。
人に興味を持つことがなかった。
けれど、人に興味を持ってしまった。
モノクロの彼女に興味を持ってしまったんだ。
1話 モノクロの君
長い休みが明け高校生活2年目を迎えた。
俺は去年と変わらず1人だった。話す相手は居らず、一日中を1人で過ごしていた。
家でも両親はほとんど居なかったため、本当に1人のようだった。
キンコーンカンコーン
予鈴の音と同時にクラスでは机と椅子の音が全体に響き、先程と比べ物にならないほど静かになった。
ガラガラ
「おはよう。転校生を紹介するぞ。お前らは静かに話を聞いておけよ。入ってこい。」
転校生は注目を浴びることだろう。先生に言われたことも無視しクラスはざわついていた。
「自己紹介をしろ。私はそこで座っている。黒板を使ってもいいぞ。ってはやくはいってこい。」
先生に呼ばれても転校生入ってこない。
はぁとドアからため息が聞こえた。転校生が入ってきた。
それと同時にクラスのざわつきはいきなり無くなった。クラス全員が驚いただろう。
俺も驚いてしまい机に足をぶつけた。
「…」
「こいつは転校生だが転校してきたんじゃなくて…」
「別にそういのいらないです。」
彼女は先生の話をさえぎり言った。
彼女の声は透き通っている綺麗な声だった。
「転校生の白宮黒那(しろみやくろな)です。自己紹介終わりました。先生席はどこですか? 」
「は?」
クラスの人達が声を漏らした。
彼女の自己紹介にも驚いてしまったようだ。
彼女はその後、静かに席についた。
彼女の席は俺の右斜め前になった。班活動はおそらく同じだろう。
俺のクラスは問題児が集まってしまい先生も学校一厳しい人だったため席替えがない。だから俺が彼女の隣の席になることはない。
正直隣の席になりたかった。そう思った俺は自分が気持ち悪いと感じてしまった。
彼女がドアから入ってきた時、俺が驚いたのは彼女がモノクロの世界にいるようだったからだ。
目は左右黒白で短い髪はほとんど白だが、毛先のほうが黒くなっている。
俺の学校の制服は男女ともに白黒のものだったため、本当に彼女はモノクロだった。
人に興味を持ったことのない俺は、友達すら欲しいとは思ったことはない。
けれど俺は、彼女と話すことが出来るのか。彼女と友達なれるだろうか。そう思った。
気づかない間に一日が終わってしまった。