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第十四話
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
水「……ここ、が………」
あれから数時間経って、妹に教えてもらった場所へたどり着いた。
目の前には立派な和風の一軒家が建っている。
水「……猫宮……?」
扉の隣にあるプレートには“猫宮”と書かれてあった。
きっとこの家の名前だろう。
にしても
水「…いふくんの苗字と、同じ……」
いふくんのおばあちゃん?と思ったが、流石にないだろうと思い、緊張した手でインターホンを押した。
ピーンポーン
ガラガラ…
「はーい」
水「っぁ、えと…その…稲荷ほとけ…って言うんですけど……」
「まぁ!茉実(まみ)ちゃんのお姉さんよね?」
水「は、はい…」
「事情は聞いているわ、さっ、中に入って♪」
水「ぉ、お邪魔します…ッ」
「お父さん、ほとけちゃんが来たわよ♪」
「いらっしゃい、待ってたよ」
水「こ、こんばんわ…」
「自己紹介がまだだったわね」
奏音「私は猫宮奏音(ねこみや そね)よ。よろしくね」
和慎「猫宮和慎(ねこみや かずま)。これからよろしくな」
水「稲荷ほとけです。よろしくお願いします…ッ」
奏音「茉実ちゃんからあなたたちの親御さんのこと少し聞いてたの」
奏音「今まで辛かったわよね…」ギュッ
水「!」
奏音「これからは私たちが幸せにしてあげるからね〜♪」ヨシヨシ
水「ッぁ…ポロポロ」
奏音さんが優しく、温もりのある手で抱きしめてくれて、僕は涙が止まらなくなってしまった。
メールにて
茉実「姉ちゃん無事に着いた?」
水「うん、連絡してなくてごめん。着いたよ」
茉実「そっか、よかった!」
茉実「猫宮さんたちいい人でしょ?」
水「うん、暖かかった」
茉実「母さんには上手く誤魔化してるから安心してね!」
茉実「それと、姉ちゃんの学校にも行かなきゃなんだけど、誰に話したらいいとかある?」
水「保健の先生だけ事情を知ってるから、その人にいろいろ話してくれると助かる」
茉実「わかった!」
茉実「明日には“アレ”も渡しておくね!」
水「ありがとう」
奏音「ほとけちゃーん、ご飯できたわよ〜」
水「あ、はい、今行きます」
コトッ♪
水「……いろんな料理がある…✨」
目の前には見たことの無い品がたくさん置かれてあった。
水「……あ」
水(からあげ……前いふくんに貰ったやつ…)
和慎「さ、座って。好きなだけ食べなさい」
和慎「母さんの作る料理は絶品だからな♪」
水「はいっ、いただきます」
水 パクッ…モグモグ…
水「ぉ、美味しい……♪」
奏音「ふふっ♪喜んでもらえてよかったわ♪」
水「これは…なんていう料理ですか?」
奏音「それは春巻きっていうのよ」
水「はるまき…」パクッ
水「ん、これも美味しい…♪」
和慎「美味いだろ〜♪」
水「とっても美味しいです」
なんだかここにいると、自分の心が暖かくなって、嫌なこと全て忘れられる。
水(……これが…普通の家族なのかな…♪)
和慎「ほとけちゃんは唐揚げが好きなのかい?」
水「……僕、いつも白米しか食べてなかったんですけど…」
水「家が隣の同級生の男の子が、前に唐揚げをくれた事があって」
水「それがすごく美味しかったので…思い出の味?って感じがするんです」
奏音「そうだったのね…」
奏音「唐揚げが好きってことは、私たちの孫とも気が合うんじゃないかしら♪」
水「孫…?」
猫宮さんの孫……どんな子なんだろう…。
和慎「ほとけちゃんと同い年の孫がいるんだよ」
水「そうなんですね」
まさか……いふくん……いやいや、流石にないよね。
水(……考えるのはやめよう)
奏音「さ、どんどん食べてね♪」
水「はいっ…♪」