6話 道ノ分岐点
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名取「 何を言っているんだ 」
的場「 そちらこそ何を怒っているんです?この場の打開策を出しただけなのに 」
名取「 伊吹は祓い屋でもないし、まだ13歳の女の子だ 」
的場「 年齢なんて関係ないよ、周一さん 」
的場「 やるか、やらないか ….ですよ ニコッ 」
名取「 だけど 」
私「 やらせて下さい 」
名取「 な ッ…. 本気か?伊吹 」
私「 はい 」
私「 的場様は今の打開策だと言っていました 」
私「 私にできる事ならやらせて欲しいんです 」
名取「 …. / チラッ 」
的場「 クスッ 、さっきの札はまだ使えそう?」
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名取「 危険だと思ったらすぐに離れて 」
私「 はい、ありがとうございます 」
私「 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯…. 」
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的場「 それにしても不思議な子だ 」
名取「 ? 」
的場「 俺が倒れているのに伊吹は何事もないように立っている 」
的場「 俺以上の妖力の持ち主か、あるいは 」
何か、大きな力と結ばれているのか
名取「 ….!」
的場「 まぁ、ただの憶測ですけどね 」
私「 名を呼びて応えたるは色もなし 器たるやこの紙にて 器汚す者を はじかれよ 」
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….き 、 い….き 、いぶき ッ!
私「 …. / パチッ 」
名取「 伊吹、大丈夫か?」
私「 ….解呪は?」
名取「 伊吹のおかげで成功した 」
私「 ホッ 、よかった 」
的場「 お疲れ様 」
私「 的場様、体調は…. / スッ 」
的場「 無理に立たなくていい、もう少し寝てろ 」
私「 すみません 」
的場「 ….静司でいいよ 」
私「 え?」
的場「 俺はまだ頭首じゃないから静司って呼んでよ 」
私「 静司、さん?」
的場「 呼び捨てでいいって 」
私「 ….静司 」
的場「 うん、伊吹 」
名取「 おい 」
名取「 2人はいつからそんな親密になったんだ?」
私・的場「 ….さぁ? 」
名取「 …. 」
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的場「 じゃあ、俺は帰るとするよ 」
的場「 周一さん、伊吹 また宜しくね 」
私「 はい / ペコリ 」
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七瀬「 全く、どこに隠れていたのですか 」
的場「 隠れてなどないですよ、黒部屋にいたんです 」
七瀬「 噂の黒部屋にですか?」
的場「 あぁ、出入りが一方的な上に妖力が吸われ続けて大変でした 」
七瀬「 妖力が? まさか妖怪だったと?」
的場「 はい、力は多く蓄積されているのに自ら動くこともできない奴でした 」
七瀬「 今回はあまり収穫無しですね 」
的場「 いや、そうでもなかったです 」
七瀬「 もしや、伊吹という少女の事ですか?」
的場「 あれ? ご存知で?」
七瀬「 名取と一緒にちょっと挨拶をね 」
的場「 へぇ 」
七瀬「 それで?その妖怪は祓いましたか?」
的場「 …. 」
勿論。
名取「 さて、俺達も帰ろうか 」
名取「 家まで送る 」
私「 すみません、とても助かります 」
名取「 ….的場一門に勧誘されたのか?」
私「 はい、跡継ぎが嫌なら独立してしまえばいいと仰っていました 」
名取「 和田さんの跡継ぎか 」
私「 はい 」
名取「 何故、嫌なのか理由を聞いてもいいか?」
私「 …. 」
私が我儘なだけですが、
例え、1人で過ごすことになっても
本当は、まだあの家に居たかったんです。
両親との思い出がなくても 。
その気持ちを少しでも考えて欲しかった
あの人は、一度も 一言でも聞いてくれなかった
私「 本当、我儘で自分でも悔しいです 」
私「 すみません、こんな事言ってしまって 」
名取「 …. 」
周一さんは無言で私の頭を撫でた
名取「 それは我儘なんかじゃない 」
名取「 自分を責めるなよ、伊吹 」
私「 周一さん、くすぐったいですよ 」
私「 …. ポロポロ 」
優しい彼の顔が見たい、夜の空を見たい
だけど、それは難しくも叶わない
心の中から込み上げてくる何かが 、
温かく、とても苦しかったから__。
私「 うぅ、グスッ 」
名取「 もし祓い屋になりたいのなら、俺に言ってくれ 」
名取「 伊吹がやりたい様に力を貸すから 」
私「 ….ッ 」
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和田「 名取くん、ありがとう 」
名取「 いえいえ、お力になれたようで良かったです ニコッ 」
和田「 伊吹、フミさんが中で待っているから入っていなさい 」
私「 はい 」
私「 周一さん、ありがとうございました 」
名取「 あ、待って 」
名取「 はい、これ俺の連絡先 」
私「 あ、ありがとうございます! ニコッ 」
私「 では / ペコリ 」
和田「 ….随分、仲良くなったみたいだね 」
名取「 まぁ、色々ありましてね 」
和田「 君も最近は活躍の幅を広げているらしいじゃないか? 聞いたよ 」
和田「 まだ高校生とは。将来はまず安心だ 」
名取「 ….まだ駆け出しの身ですよ 」
名取「 それにどうなるかは本人の意思次第です 」
和田「 まぁ、それもそうか 」
名取「 彼女を祓い屋にするおつもりですか?」
和田「 当たり前だ、あれ程の妖力の持ち主は今までに見た事がない 」
和田「 逸材を手放す程、私は野暮じゃないさ 」
名取「 伊吹の将来は伊吹のものだ 」
名取「 血縁関係でもないのに口出しできる権限はない筈です 」
和田「 一応、遠い血縁だ 」
和田「 まぁ、あるかどうかも分からぬ程の遠縁だが ….ボソッ 」
和田「 それにその台詞は君にもよく当てはまる 」
名取「 和田さん….!」
和田「 伊吹を送ってくれて感謝するよ 」
和田「 今日はもう遅い、帰りなさい 」
名取「 …. 」
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私「 文子さん、ただいま 」
文子「 おかえりなさいませ、伊吹様 」
文子「 明日の支度はこちらにありますので 」
私( あ、そっか明日から学校…. )
私「 はい、ありがとうございます 」
私「 あの 」
文子「 はい?」
私「 あ、えと、私もフミさんって呼んでいいですか….?/// 」
文子「 !….えぇ、勿論です 」
私「 …. ホッ 」
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コツ コツ コツ
名取「 ….口出す権限は無い、か 」
名取「 ? / ピタッ 」
名取「 何で 」
俺がこんなにも苛立っているんだ?
名取( 嗚呼、伊吹に感化されたか )
名取「 こんな感情は無駄なのに…. フッ 」
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和田「 伊吹、今日はどうだった? 」
私「 書類はしっかりお渡ししました。特に問題はないそうです 」
和田「 そうではない 」
和田「 皆、妖怪が見える者だっただろう?誰かと話したりしたのかい?」
私「 …. 」
私「 七瀬さんという方とお話しました 」
和田「 何 !? ガタッ 」
和田「 七瀬さんと話せたのかい?」
私「 は、はい 」
和田( まさか初日でお目にかかれるとは思ってもいなかったな )
和田( 七瀬さんにとっても目の引かれる存在だったか…. )
和田「 よし、暫くは会合を全て出席しよう 」
和田「 伊吹も参加しなさい 」
私「 わ、和田さん 」
和田「 ? 」
私「 ….私、明日から学校なのでもう寝ますね 」
和田「 あぁ、お休み 」
私「 おやすみなさい / ペコリ 」
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私「 はぁ、疲れた 」
私( そういえば、美凰はどうしたんだろ )
私「 美凰?いないの?」
シーーン
私「 ま、いっか 」
私( 学校、頑張らなきゃ…. )
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見事、黒部屋を脱出できた3人
使えそうなモノを見つけ、ご機嫌な【的場】
人に感化され、その感情でさえ捨てる【名取】
これから歩む道の分岐点を見つけた【伊吹】
彼らの道は 別れ か 否か__??
ps. 何やらまた一緒になる縁がありそうです
next*
コメント
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月莎さんのお話はほんとに面白い!!! 最後の予告(?)がもう上手過ぎていつも次が楽しみになってます!! どんなお話になるか楽しみです!