テラーノベル
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目の前の光景を一言で表すと「リスカ」
無心の俺はカッターで左手首に傷をつけていた。
垂れてくる血液がやたらと赤く
『生きている』
と実感させてくれた。
「もっと、深く」
カッターでまた左手首に傷をつける。
つぷ、と生々しい音と共にまた鉄の匂いが届いた。
「ははっ……俺、ちゃんと生きてる」
日課。
こうでもしないと俺は、ベッドから出られない。近くの小さめの本棚に常備された包帯とテープをカッターを持ったまま右手で取った。
歯で包帯を破り、リスカしたところにあてがう。ぐるぐると巻きテープで固定した。
リスカしているのは左手首だけだ。
他のところにやるとしたらこっちが使えなくなったときだけ。
「さて……いくか」
日課も終わり、リビングへ移動しようと自室をあとにした。
甘い初恋の香りと、血生臭い鉄の匂いだけを残して。
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