隣の家の4つ上のお兄ちゃん。優しくていつも遊んでくれた。俺の好きな事、したい事全てに付き合ってくれた。そんなお兄ちゃんが大好きだった。幼稚園も小学も中学の誰も恋愛という名の眼中に入らない程には。実際俺は、お兄ちゃん…じゃなくて、ぶるーく兄さんを恋愛的な意味で好きなんだと思う。高身長に可愛らしい顔立ちを持ち、ふわふわのモカ色の髪が特徴で、瞳には地球を閉じ込めている。昔からぶるーく兄さんには、可愛い可愛いと連呼され続けてきた。でも、最近は少しそれが嫌に感じる。きっと身長だ。身長さえ伸びれば、何かが変わるかもしれないのに。
shk「ぶるーく、兄さん。」
br「あー!シャークんだ!今日も可愛いねぇ〜」
俺を見れば直ぐに抱きついてくる。それをグイッと強く引き離して学校に向かうのがご法度だ。おろおろなんて言いながら着いてくる兄さん。大型犬の様で可愛らしい。
…今日も呼び捨て出来なかったな。やはり兄さん呼びは抜けないようで今でも彼を兄さんと呼んでいる。朝一番、同じ時間に高校・大学に出る俺達はいつも隣を歩く。附属高校というのもあって、校内でも会う機会は多い。この日々が続くなら、頑張って勉強して良かったと心底思う。
mob「ぶるーくはよ〜」
br「あ、〇〇!おはよぉ〜」
俺の知らない兄さんを此奴が知っている。それに嫉妬しない訳じゃない。
mob「あれ、隣に居るのっていつも言ってるシャークん?」
ビクリと肩が跳ねる。何、俺の話?兄さんが俺の話をしてるの?首を傾げるとあぁと兄さんの知り合いが口にした。
mob「此奴、君の事可愛い〜って言っててさ。….ほんとだ。可愛い。」
shk「え、あ、その…。ありがとう、ございます…?」
mob「え、可愛い。」
ねぇと手を肩に伸ばしてくる。怖い。
何かをパシンと叩く音が聞こえた。
それから手を引っ張られ、左手は頭に添え、右手は俺の身体を巻き付けた。え、え?取り敢えず離れなければと、抵抗しようとしても全く動かない。何がどうなって…。
br「”僕の”シャークん、取んないで?」
shk「へっ…?」
僕の?今、兄さん僕のって言った?
mob「はいはい、分かってますよ〜」
俺先行くね〜と何事も無かったかのように去っていく。居なくなった所で解放される身体。ごめん痛かった、なんて平然と言う彼。俺の頭は追い付いていなかった。僕のってどうゆう意味?えっと、え?そんな困惑した気持ちもバレたくなくて、平然と返す。
shk「…別に、もう子供じゃねぇし。」
br「そうゆう問題じゃないんだよ〜!」
だって、と少し言い淀む。耳を真っ赤にして、呟いた。
br「…好きな子には、優しくしたいじゃん…。」
あーもう今の無し、と俺の頭をガシガシ撫でた。照れ隠し?凄く可愛い。あれ、ちょっと待って?
br「かっこ悪い所ばっかぁ…。」
shk「兄、さんは…その、」
何だか自分で言うのは恥ずかしくて段々と声が小さくなっていく。いや恥ずいだろ普通に考えて。黙って最後まで話を聞いてくれる。それも彼の良い所。けど、今日は意地悪だ。
br「僕ね、シャークんが好きだよ。勿論恋愛的な意味で、ね。」
えへへと頬をかく姿も可愛らしい。そして同時に朝日に照らされた彼はカッコイイ。可愛いとカッコイイを共存出来るのは彼だけなのでは無いだろうか。
shk「…ぶるーく兄さん。」
br「…な〜に、シャークん。」
shk「少し耳貸して。」
br「え、あ、うん。いいよぉ〜」
そうやって膝を曲げる彼。
耳を貸してなんて真っ赤な嘘。
俺は彼の頬にキスを落とした。
好きだよ、”ぶるーく”。







