コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
家を出て、待ち合わせ場所に出向くと、彼女へのサプライズをと思っていたはずが、最初に驚かされたのは、こちらの方だった──。
──そこには、いつにも増して綺麗な、彼女の姿があった。
それに、もう一つ驚いたのは、奇しくも以心伝心でもしたかのように、コーディネートのカラーがグリーン系で似通っていたことだった。
思わず駆け寄り、「……可愛いな、今日は特に」と、照れながら口にする。
「……チーフもです。とっても素敵で」
はにかんで言う彼女が愛おしすぎて、その場で抱き寄せると、人目もはばからずに、ついチュッと頬にキスをした。
すると「キャッ……」と、彼女が小さく声を上げ、「あ、あの……、」と、真っ赤な顔で見つめた。
「あの……実は、このコーデは橋元さんたちにしてもらっていて、それで……その、チーフへのサプライズの反応が知りたいからって、こっそり見に来ていて……」
そうだったのか──と、合点がいくのとともに、だからこんなにも赤くなっていたのかと気づいた。
「とても可愛くしてもらって、彼女たちには感謝しないとだな」
キスを見られたことに照れはしたが、それ以上に目の前の彼女のことが、ただ可愛かった。
いや……実際目には、彼女しか映っていなかったのかもしれない。
僕は、もう一度、彼女を腕に抱くと、
「誰よりも、君が、一番可愛い。
愛してる、美都」
今日の出で立ちも手伝ってか、それこそ恥ずかしさで滅多には口に出せない言葉を、彼女の火照った耳元に唇を寄せ囁きかけると、腕を組むよう促して、残るサプライズを二人一緒に愉しむべく歩き出した──。
終[全完結]