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設定
・鳥人間と普通の人間が共存する世界
・元の物語(需要がありそうであればまだ途中ですが出そうと思います)の敵の2人のお話
・この物語もまだ途中です。
みなさんの続きをこう書いたらいい話になると思うみたいのが聞きたいので是非コメントお願いします。。。
俺は質素で無機質な研究所で生まれた。
ガラス張りで、緑の液体が入っているカプセルの中。俺は少しずつ成長していった。
カプセルの中でも、話し声が聞こえた。
「これは失敗作だ。」
「ケイラ、責任を取れ。」
「お前のせいでこうなったんだぞ。」
どうやら俺は望まれていない存在のようだ。
カプセルの中から、人間が何度も何度も頭を下げるのが見えた。
数分すると頭を下げていた人間がこちらへ歩いてきた。
「俺は君のこと失敗作だなんて一度も思ったことないよ。俺の最高傑作。誰にも君の命は奪わせない。」
人間はカプセルに頭を押し当ててそういう。
慈悲だろうか。俺は失敗作だなんだと言われても、対してなんとも思ってない。
俺が生まれてから8日。カプセルから出ることになった。
緑の液体が抜かれ、カプセルから出ようとするも、足に力が入らず立てない。
「立てないのか?手、貸そうか?」
そういい手を差し出してきたのは慈悲でできた人間。ケイラ・ヒルアと呼ばれている人間だ。
腕は動かせたので差し伸べられた手を掴む。
ケイラは俺の腕を引っ張って俺を立ち上がらせる。
足がフラフラする。
ケイラは俺を抱きかかえた。
「まだ立てそうにないね、しょうがない。リハビリから始めていくしかないね。とりあえずシャワー浴びよう。」
よくわからないやつだと思った。
俺はただ実験の過程でできた失敗作。
何故こんなにも献身的になれるのか。
俺は温かいシャワーを浴びた。
べとべとしていた肌が洗い流されていく。
「君の羽はまだ小さいね。ある程度大きくなったら飛行訓練でもしてみようか。」
ケイラは俺の背中を洗いながらそういう。
ケイラはいつまでも俺に優しくした。
「ご飯持ってきたよ。今日はハンバーグ。好きだろ?」
そう言いケイラは微笑む。
俺は小さく頷く。
「君の名前を考えてきたんだ。いつまでも君って呼ぶわけにもいかない。今日から君の名前は”ファブル・タイア”だ。」
どこまでもよくわからない奴だ。
俺に名前をつけてどうする。
御前等みたいに俺は人間じゃない。
研究によって作り出された”なにか”だ。
「名前なんてつけてどうするんだって顔してるね?、俺の自己満だよ。」
やっぱりよくわからない。
「あ、他の人にハンバーグ食べたとか言っちゃだめだよ?二人だけの秘密だぞ?」
そういいケイラは微笑む。
ある日俺の手から黒い生物を作れる事に気がついた。
研究者は全員慌てて記録を取り始めた。
「すごいぞファブル!やっぱりファブルは失敗作なんかじゃないんだ!」
ケイラはそういい俺を抱きしめる。
これはそんなに凄いことなのだろうか。
ふと、目に入った。
この部屋に繋がっている廊下の奥の方。
此方を睨みつけている。
そんなに俺が憎いだろうか。
俺の羽はもう普通の大人より少し大きいくらいになった。
成長するにつれて白かった羽は赤黒くなっていった。
「ファブルは戦闘型個体だ。このまま飛行訓練をしたら最悪、人を殺してしまうかもしれない。ファブル。君は強い。人を守る者にも、殲滅する者にもなれる。」
ケイラにそう言われた。
それを言われた数日後だった。
今でも忘れない。あれはすごく寒い冬のことだった。
その日はケイラが買い物に出かけていて、ケイラ以外の奴しか研究所にいなかった。
いつものように黒い生物を生み出しては小さな人形を使って遊んでいた。
そこに前俺を睨んでいた奴が来た。
「お前さえ居なければ、俺はもっと偉大な科学者になれた。お前さえ、お前さえ居なければ!」
その直後、頬に強い痛みが走った。
訳がわからなかった。
腹にも強い痛みが走った。
痛い。痛い。
男は懐からナイフを取り出した。
殺されると思った。
その時、俺の羽が動いた。
自分の意思で動かした訳じゃない。
勝手に動いて、刃物のように男の首を切ってしまった。
「え、ぁ…。」
床に男の首が落ちる。
俺は初めて人が死ぬところを見た。
心臓がバクバクした。
焦りだ。
俺は今焦ってる。
冷静に、どうしたらいいか考えろ。
これが見つかったらきっと俺が殺される。
全員、殺すしかない。
俺は檻を壊して外に出た。
警報が鳴った。でも俺には関係ない。
なんなら俺のところに来てもらったほうが都合がいい。
1人ずつ殺していった。
白い服が血で染まっていた。
殺していくたんびに羽が重くなっていった。元々赤黒かったのが血で目立っていた。
ベトベトして気持ち悪かった。
苦しくとも、何ともなかった。誰にも興味はないし、誰の顔も覚えていない。
俺はシャワーを浴びた。
汚い血をシャワーで流した。
服も綺麗な服に着替えた。
そのときだった。
脇腹が熱い。なんだこれ?
脇腹を見るとナイフが刺さっていた。
まだ一人生き残っていた。
即座に俺は最後の一人を殺した。
ナイフを引き抜くと、傷が直ぐに治った。
人間は傷ができればすぐは治らない。だが、俺は違う。刃物を引き抜けばすぐ治る。
俺は人間より優れているんだ。
そんなことを考えていると此方へ走ってくる音が聞こえた。まだ生き残ってるのか?
いや、違う。
ケイラだ。
「ファブル!何があったんだよ!どうして全員殺した?!」
ケイラを俺の肩を掴んでそういう。
ケイラなら分かってくれると思った。俺は全部話した。
「ファブル…、どうして…。」
ケイラは床に膝をついた。
ケイラは俺に失望しただろうか。
俺を分かってくれるのはケイラだけだと思っていた。
なのに、ケイラまで俺を否定したら、俺には何が残るの?
「……ファブル。俺が悪かった。君の力を恐れて羽の使い方を教えなかったのが悪かった。君は羽の使い方がわかってなかったから。」
ケイラは立ち上がって俺を抱きしめた。
気がついたら刃物のようにを鋭かった羽も、ただの鳥の羽になっていた。
俺達は研究所を出た。
雨に濡れた街を駆け抜けた。
数キロ走ったところだった。
ケイラが立ち止まった。
俺も合わせて立ち止まる。
どうやらケイラは体力の限界っぽい。
俺はケイラに手を差し出した。
あのときのように。
俺はケイラを抱きかかえて飛んだ。羽を使って。
俺はいつの間にかケイラの役に立ちたいと思い始めた。
俺達は森の奥にある小さな小屋に隠れることになった。
雨漏りがすごかった。水溜りがところどころに出来ていた。
「雨がやんだら屋根を直そう。」
今日はしょうがないから、床を拭いて小屋の中にあったバケツでどうにかした。
ケイラには羽がないから、何も無いと寒いようだ。
俺はケイラを羽の中に入れた。
羽毛が暖かったのか、疲れていたのか、ケイラは直ぐに寝てしまった。
もう夜も更けきってしまっていので俺も寝ることにした。
朝になると鬱陶しかった雨は止んでいた。
羽の中にケイラはいなかった。
外から何か物音がする。
外に出るとケイラが木を切っていた。
「あ、ファブル。起こしちゃったかな?」
俺は首を横に振る。
何をしているのか聞くと、
「屋根を直すための木を集めてるんだよ。このままにする訳にはいかないからね。」
ケイラはノコギリで体の全身を使って切っている。
俺が羽で木を切ってみせると
「ファブル、羽、切り替えれるようになったのか?」
ケイラは驚いた顔でそう言う。
俺は小さく頷く。
「凄いじゃないかファブル!」
そう言いケイラは俺に抱き着く。
なんとなく抱き返してみる。
「ファブル?」
ケイラはまた驚いた顔をする。
「…こうしたら、人間は、喜ぶんだろ?」
ケイラの目からは涙が出ていた。
「そうだよファブル。俺今嬉しいよ。」
ケイラの俺を抱きしめる力が強まった。
俺はケイラの頭を撫でる。
「ありがとう。ファブル。ありがとう。」
人間とは涙もろいものだ。
それとも、ケイラが涙もろいのか。
まぁいい。
ケイラを見るとなんだか落ち着く。
今日は多少木を切っただけで、何もしなかった。何もしなかったというよりかは何も出来なかった。
ケイラが俺にずっと抱きついていたし、涙も体の水分なくなるんじゃないかってくらい出ていた。
翌朝。
目が覚めるとケイラが羽の中にいた。
ケイラはぐっすりと寝ていた。
俺はケイラの頬を撫でる。
ケイラの肌は温かった。
俺の体温は人間より2度ほど冷たいらしい。
最初は緑の液体の中に居たから、そのくらいが丁度良いらしい。
俺には無い温かさ。
俺は人間じゃないと突きつけられているようだった。
すると、ケイラが目を覚ました。
「ん…。ファブル、起きてたの?」
ケイラは目を擦りながらそう言う。
俺は小さく頷く。
「今日こそは屋根直そうか。」
そう言い、ケイラは立ち上がる。
俺もそれに合わせて立ち上がる。
「ファブル。昨日の、また見せてくれないかい?」
ケイラに言われたとおり昨日のように羽で木を切ってみせた。
「使いこなせるまでが早いね、さすがファブルだ。」
そういいケイラは俺の頭を撫でた。
ここで途切れています。
どう続けるかこの先の展開を決めるのは貴方達です。