※渋谷事変までのネタバレ注意
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「…最近、行けてないなぁ」
あいつ…禪院甚爾の息子の恵に会ってから2ヶ月。
2日に一回のペースで家に行っていたのだが、もう1週間も行っていない。
「…伏黒家に行きますか?」
運転している補助監督が、そう聞いてきた。
任務後で疲れているが、何故か無性に会いたかったので、行くと返事をした。
「分かりました」
補助監督がそう言うと、高専から恵の住む家へと行き先を変えた。
「着きました」
「OK、すぐ戻ってくると思うから、ちょっと待ってて」
「分かりました」
「ふぅ、、、」
深呼吸をすると、恵の家のドアノブを引いた。
「2人とも〜!1週間ぶりの五条さんだよ〜!!」
奥の部屋の扉が大きな音をたてて開いた。その扉を開けたのはこちらを驚いた目で見る恵だった
「え、恵、、?」
「、、、」
ずっとこちらを見つめたままだったが、すぐにいつもの大人びた恵に戻っていた。
「どうかした?」
「なんでもない」
そう言いながら部屋に戻って行った。
「津美紀は?」
「今風呂、そろそろ出てくると思う」
「そっか」
そんな会話をしていたが、お互い喋らなくなって、気まずい空気が漂った。
(気まず、、、)
そう思っていると、恵が口を開いた。
「…全然来なかったから」
「?」
「あんたもいなくなるのかと思った」
「 」
僕は凄く驚いた。それと同時に、納得した。いくら大人びているとはいえ、いくら興味がないとはいえ、恵は小学1年生の子供だ。父親が居なくなったら怖いと思うのは当たり前だ。
そんな時に僕が来て、来なくなったら、悲しむに決まってる。最悪トラウマになっていただろう。
それなのに、、僕は、、、。
僕はこの子供から、唯一の肉親を奪った。その事実は変わらない。
例えその理由が、自分の敵だったからだとしても。
「…恵」
「…なんですか?」
「!?」
僕は恵を抱きしめた。恵は驚いた様子だったが、抵抗する素振りは見せなかった。
「…なんですか急に」
「…ごめん」
どんな言葉を掛けてあげるのが正解なのか分からなかった。だけど、僕の口から出たのは、謝罪の言葉だった。
「…なんのことですか?」
「…いや、なんでもないよ。ただ、僕が謝りたいと思っただけ」
「…変なの」
「ふふ、そうだね」
そんな会話をして、僕は言った。
「安心してよ、僕は絶対に、恵のそばから離れないから」
「!!………」
恵は少しして、返事をした。
「…絶対?」
「うん、絶対、約束する」
「…絶対ですよ」
「うん!」
2018年 10月31日
渋谷事変
「…嘘吐き」
コメント
7件
…文才
ガチめに泣けてくる( ´•̥ω•̥`)
(主)なんだろう……なんか……胸が……暖かい気持ちになってるんだけど……父親いないのは伏黒と同じだけどさ……最後の伏黒の「嘘吐き」で多分……五条先生が“嘘ついたってこと”になる……続き欲しい……そしたらまた分かると思う……キラリン✨さん……続き待ってるぜ✨