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#異能力
ここと🌹🫶 @低浮
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#異能力バトル
名無の男2
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「おいおい一条さー、ちょぉっと脅しがキツすぎね? こいつ転校してきたばっかだぜ?」
「転入が免罪符になることはない。 当校では生徒会の提言により、今年度二学期初頭を取り締まり強化期間として定め、校内に一定数潜んでいる不良生を炙り出し、潰し、次なる腐れが生まれんように予防するための大掃除が行われている。 『ライン越え』に近い生徒から順番に……、な。 そしてこの施策を成功に導くためには、海賊の吊るし首と同様、見せしめが必要だ。 例え転入生だろうと、目立った違反者は強く罰せられる。 そう噂が広まれば、誰しもが『ライン』を意識するようになる」
黙ってパンに食いついていた野崎が間に入った。
「……それで煌に白羽の矢が立ったのかよ。 フン、下らないね。 そんな理論で教頭どもが退学宣告書にサインを並べるものか。 君の持っている漂白って思想は良いものさ、正義感に満ち溢れていて背筋が伸びてる。 しかしね、正義の施行もやり過ぎてしまえば、ただの独善の支配に移り変わってしまうものさ。 今の君はまさにそれだ。 どうしてそんなに見せしめを必要とする? 君は正義を全うし校風を維持することよりも、正義の看板を引っ提げて悪者を叩くことに嬉しみ楽しみ心地良さ快楽さを見出してるだけなんじゃあないのかい?」
「何とでも言え、野崎海舟。 それでも己の行動が正義的であることは揺るぎはしない。 君が劣等生の喧嘩に加担していたという事実も……、な」
「……私のことも調査済みか。 全く、あの場面を見ている生徒が居たんだったらすぐ教師を連れてきたりして欲しかったよ。 此方は被害者だって言うのに」
「事件詳細の照らし合わせなどは必ず行うと約束しよう。 しかし、学校機関は問題発生時に喧嘩両成敗の処置を取るのがほとんど。 喧嘩相手から証言を聞いても原因や状況が不鮮明だった場合は、両者ともに処罰点が下る」
「チッ…………」
また煌のせいで面倒事に巻き込まれた、という目で睨む野崎。
「要件は以上だ。 お前らが残り少ない学生生活を楽しめることを心から祈っている」
「待てよ、そんな思ってもねぇこと言い残してくんじゃねえ! まだ退学ってのは確定じゃねえんだろ? お前が言い出しただけで、教師陣には書類どころか話だって通ってねえはずだ」
「ああ、だが己はやる。 学園長へ直接進言する。 信用して貰えぬというのなら実績も示そう。 己はこれまで同様の手順で二名の転校者を出したことがある。 まあ、そいつらは暴力事件などを起こした行き過ぎた奴らだったがな。 ラインだ。 この日継高の緩みきったラインを、お前をもって正す。 これから毎日、福祉活動にでも従事すれば退学は間逃れるかもしれないな?」
一条は挑発的な言い残しをして屋上から出ていった。
流星は広げていた昼食のゴミをビニール袋に急いで詰めて、立ち上がる。
「俺ちゃん、一条と中学同じでさ! もしかしたら話できっかもだから、とにかく話してくる!」
そして走り、一条の後を追って出ていってしまった。
横の野崎がため息混じりに、
「折角の焼きそばパンが台無しだ。 それもこれも……」
「オレのせいだってのかよ!?」
「他に誰がいる! ……まあそこまで恐れなくてもいいだろう。 例え生徒会長兼、風紀委員長だからといって、他人をどうこうできる権力はありえるはずがない。 あれは強く言っただけの、ただの脅しと見て間違いないな」
「……でも、喧嘩になったのは事実だし、部活動の件も違反してる。 あいつ、前にも転校まで追い込んだ経験があったみたいだし……」
「考えても見ろよ、煌。 私たちが二人してこの学校に転入になったのは偶然かい? いいやきっと違う。 『少数派』の権力が介入したからだろう。 そんな私たちを退学や転校になど、出来ようがないのさ」
「……じゃあ、理紗は! オレの妹は『少数派』とは何の関係もない。 監視対象でもなければ、何か事件証拠を握る重要人物ってワケでもない。 オレや野崎が監視のために護られたって、あいつは処罰を受けちまうんじゃねえのか!」
「それは……、否定できないね」
沈黙と不安がオレの中を駆け巡った。
一条のあれが違反抑止のための警告だったとしても……、理紗は不登校の引きこもりだ。
警告を受けても尚、登校出来ず、部活動にも入れず、ただ『ライン』に近づき続ける。
わざわざ目の前に現れてあれだけ脅しにくるような奴だし、きっと他の不良生徒に向けた見せしめが欲しいってのは本当の話だろう。
妹が……、その見せしめにされるかもしれない。
それは……、許せない。
「そうだった。 天渦に一条、邪魔者に意識を奪われて本題を忘れていたよ。 妹さんのことで頭がいっぱいかもしれないけれど、今は私の話を聞いてくれ」
そう切り出されて思い出した。
野崎がオレを屋上に呼び出したのは、仲良く昼飯を食うためじゃない。『少数派』の上層で動きがあったと情報共有のために二人になろうとしていたのだ。
「……君が事情聴取で出会ったという特務課。 奴らが、仮面持ちの検挙に本腰を入れ始めたらしい。 それに対抗して、私たちの上層が精鋭を集めて特務課潰しを始めるそうだ。 いや……、実際はもう始めている。 この件について君に直接的な実害はないが、もし再び特務課が近づいてくることがあれば注意してくれよ。 彼ら、下手なテロリストよりずっと荒っぽい手段を取るって聞いたからね。 私たちの情報を引き出すためなら、カタギの君にだって酷い尋問をするかもしれない」
「ああ、分かった……。 でも、どうしてそれを押してくれんだ? 注意喚起は嬉しいけどよ、お前からしたら情報漏洩とか怖ぇだろ、話さない方が良かったんじゃねえの?」
「君に注意喚起をしてでも私たち側の捜査網を広げた方が、情報戦に有利と考えたからさ。 それほど特務課って奴らの情報が不足している。 どれだけの規模で、どの様な体制で、どういった活動をしているのか……、分からないことが兎に角多い。 ただ……、奴らは仮面を追っている。 仮面を知っている。 仮面を対策し、仮面に対抗し、仮面の研究をしている。 だから、国家権力に寝床を襲われる前に潰す必要があるのさ。 煌、奴らが接触してくるようなことがあったらすぐに教えてくれよ。 それとくれぐれも、私を裏切るような真似はしないでくれ。 大人しく監視される約束を破れば…………」
「分かってるよ、もう何度も聞いた」
「念押しに念押し、駄目押しだよ。 念仏みたいにね」
野崎は食べ終わったパンのゴミをオレの足元のビニール袋に詰めて立ち上がった。
「嗚呼、それと。 『少数派』がやっている特務課潰しだけれど。 奴らを潰すために集められた精鋭達の中に、指導者の手綱すら効かない暴れ馬が混じっていると噂を聞いた。 特務課潰しの最高戦果を叩き出すと同時に、気に入らなければ仲間の仮面持ちすら殺してしまうのだとよ。 そいつが何者なのかまでは情報が下りてきてないけれど、危険な奴なのは確かさ、気を付けておくといい」
「気をつけろ気をつけろって次々言うけどよ、オレにはどう仕様もねえことばっかじゃねえか。 いつもいつも!」
「それでいいのさ。 逆に、どうかしてやろうって姿勢の方が危険だ。 これからも、どう仕様もない受け身姿勢でいてよ、私を信じてさ。 私たち、友達だろう?」
そう押し付けて、野崎は歩き出した。
「ちょっ、待てって! まだ話は…………」
彼女を追って屋上から出る。
どいつもこいつも、勝手を押し付けてきやがる。
面倒事に巻き込んでくれるなって顔をよくされるが、こっちこそ同じ思いだっての。
だが……、とにかく今は妹の処分が心配だ。
理紗のクラスは1ーAだったか。まずは担任の教師に釈明に行ってみよう。
一条に処分を提言される前に、先んじて動く必要がありそうだ。
コメント
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一条の「正義」が独善に変わっていく様子、すごくゾッとしましたね。野崎がそれを冷静に指摘する場面は見事でした。でも一番胸が痛んだのは、煌が「妹が標的になるかもしれない」と怯えるところ……無力感がひしひしと伝わってきて。特務課潰しの暴れ馬の噂も不気味で、次が気になります。