「久しぶりに起きるな、」なんて独り言を呟きながら起き上がる。てかあたしが寝てた間ユニオン成功だかなんだかで盛り上がってたな。
タコ)あいつら強すぎだろ、笑
あくびをかましながら無線に入り「おはよ〜」と声を上げると驚いたと言わんばかりに「ッえぇぇぇぇぇ!?!?」とあいさつ代わりにでかい叫び声が返ってきた。
ピピッ
オトナリ)、、おはよ、?
オトナリ)え、え?ホンマに夕コ?
ナルセ)これまでに偽モンでもいたんか?
ケイン)姐さん、おはようございます。
タコ)ケイーンおはよ!
多分顔色ひとつ変わらずあいさつを返してくれたケインに笑みがこぼれる。どこ行くか、と考えていると無線で呼ばれた。
ケイン)姐さん豪邸の場所って分かります?
タコ)ハ?なに豪邸って
オトナリ)おー夕コ7038来て?
タコ)7038、、?
聞いた事のない番地を言われ焦る。が、しっかり重強盗をかまし言われた場所へ向かう。
ピピッ
オトナリ)じゃ、あのヘリは夕コのか
ケイン)ですね
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
タコ)え
ケイン)ここが豪邸です
タコ)見たら分かります。
なぜなら、見たら分かるぐらいのThe豪邸が目の前にあるからだ。赤レンガの地面に、袖にある苗木。右にも左にも芝生があり奥にはプールもあるらしい。まぁ1番は
タコ)、、でかくね?
ケイン)これ868のアジトです。
タコ)え?
某宇宙猫になりそう。
タコ)、、、え?
ケイン)あ鍵渡しますね
スラスラと述べられるものだからこちらも冷静になってくる。家への呼び鈴を鳴らす際、「チベタン・マスティフ飼ってそう、」と口からつい出てしまった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
タコ)てかなんで呼んだの?
豪邸前の芝生で雑談途中、そうケインに聞くと音鳴が答えた。
オトナリ)あ、渡さなあかんのやった
ケイン)忘れてたんですね
タコ)え?
どんな内容か知らないし分からないが、てへっと舌を出す音鳴に怒りを覚えたのでゲンコツをお見舞いする。
オトナリ)ッいたぁ゙、昔と変わってへん、泣
ケイン)早く取ってきてください
タコ)そぉだぞ早く〜
「へーい」といいながらどこかへ向かう音鳴に「また巻き込まないでくださいよ?」とケインが圧をかける。
オトナリ)やったときはごめんッ!笑
タコ)あいつなにしたの?
そう聞くと、以前音鳴がヘリを運転した際ブレード事故でここに居た3人全員もっていき、最後は爆発オチしたという激おもろ大事故があったとケインから聞かされた。
タコ)一種の天才だろあいつ
タコ)てか音鳴ってヘリ持ってんだ。
ケイン)貰ってましたね
タコ)レダーとかに?
ケイン)、、そうです。
タコ)ほぇ〜いいなぁ
なんて言ってみたり。パタパタとヘリの音が聞こえ、上から音鳴の声が聞こえた。
オトナリ)ッけっこぉ!上手なったでぇぇぇッッ!!
ケイン)後は着地だけですね
ドサッ!!
タコ)勢い。
ケイン)自爆アタック並の速さで落ちてきましたね
オトナリ)はい上手い〜
自画自賛しながら降りてきた音鳴に「いや上手くない」「あんな速度で普通落ちません。」などとケインと突っ込むと「いーや前よりかは上手なったッ!」と言われた。まぁ激おもろ大事故の時よりかは上手くなってるのか。
ケイン)最初に眠りから覚めたのが姐さんだったんで
ケイン)このヘリは姐さんに渡します。
タコ)お、くれんの?このヘリ。
オトナリ)せや?笑
ゆっくりとヘリに近づき車体を撫でる。懐かしい感覚に陥り、少し嬉しくなる。
タコ)なんでいきなり?
ケイン)、、店長に「初めに起きたボスに渡して」とこのヘリを託されました。
オトナリ)俺がね!
タコ)ん?なんでレダーさんは直接渡さないの?
その瞬間、ピリッと空気が凍るように固まった。誰も話し出すことの出来ないこの空気を優しく破ったのは音鳴だった。
オトナリ)ま、一旦片付けに行こか!
オトナリ)夕コ運転して〜
ケイン)ッ私、先に豪邸入っておきますね。
タコ)ん、りょーかい
飛ぶ直前チラッと肌装甲のケインを見て、息を飲む。ケインはとても寂しそうに微笑んでいたのだ。まるでなにかを噛み締めるようなその顔に釘付けになってしまう。
タコ)ッぁ、、?
オトナリ)ヘリガレージがね、、
タコ)え?う、うん。
オトナリ)〜〜〜?
オトナリ)〜〜、〜〜〜笑
違和感を覚えながらも音鳴に説明を受け鍵を貰い、譲渡してもらう。
タコ)、、ねぇ。
オトナリ)ん、どしたん?
優しく聞いてくれる音鳴に「レダーさんになんかあったの?」なんてノンデリのように聞く気は出ない。
タコ)いや、やっぱなんもない。
オトナリ)そーか笑
これからシリアスになるだろうな。なんて考えながらヘリガレージにヘリを入れる。「行くで〜」と音鳴に急かされながら豪邸へ向かい歩いていく。
タコ)知りたくない、なぁ。
タコ)知らないまま過ごしたい、笑
タコ)けど、知らなきゃいけない気がするよ。
大きな空を見上げながら貴方のヘリを思い出す。俺にはそれしか出来なかった。
ケイン視点
かつて店長が乗っていたヘリがふわりと飛ぶ。
ケイン)、、綺麗、
風に目をくらませながらもそのヘリを見つめる。ただ綺麗だった。
貴方のヘリを様々なところで見るたび貴方自体を思い出す。また今回も思い出しながら、豪邸に入りゆっくりと足を進めていく。
空き巣ウォチパの時の笑顔、ゆるゆるとした私服、落ち着く話し方、感情ののらない声、バケット帽子を片手で直す癖や、男性にしては少し長い髪、話しやすい雰囲気があったり、ヘリの助手席から見える横顔がとても綺麗だったり。
そしていつも最後に貴方の後ろ姿を思い出す。
ケイン)考えていたんです。
豪邸の中で1人呟く。その声は独り言にしては大きく、まるで誰かに問いかけているようだった。
ケイン)貴方にとっての私はなんだったのでしょう。
ケイン)、、貴方にとって都合の良いロボットだったのでしょうか。
頭の中で駆け巡る後悔。
帰る前に聞いておけばよかった
あの時、話せていたら
貴方は笑いながら答えてくれたかもと何度思ったことか。
ケイン)いや、
ケイン)まず帰るのを止めていれば良かった。
しかし、思い出す貴方の最後の言葉は1つで
と言っていた。その時もう止めようにも止めれない、と察しました。
お願いがあるんです。もう一度あの声で呼んで欲しい。
ケイン)、、なんて、ね。
タコ視点
音鳴と2人で豪邸に入り右にあるテレビやソファが置いてあるダイニング的なところに着いた。ソファに3人が座り静かな空気が流れる。
タコ)入れてきたよ
オトナリ)しっかり渡せました〜
ケイン)おかえりなさい
少しの沈黙からケインが話し出す。
ケイン)、、姐さん、覚悟は出来ましたか?
そう言われ、緊張からか鼓動が速く聞こえてくる。
タコ)、、いいよ。
ケイン)単刀直入に言います。
ケイン)店長が街を去りました。
聞きたくない言葉がケインの口から出る。疑問が次々と出てきて、1番はまぁ、決まっていて。その言葉さえも喉がつっかえて中々出ないことに哀しみを覚えた。
タコ)、、ッなんで、
タコ)ッうそ、だよね?笑
オトナリ)ッ、、ホンマやで。
やっと出てきたチョケもなくなり現実を見させられる。雪崩のように次々とレダーさんとの思い出が蘇ってくる。この色褪せない思い出がもう更新されない哀しさと疑問、申し訳なさ、様々な気持ちが混ざって濁っていく。
タコ)、、ッうそだぁ、ボソッ
オトナリ)ごめん
近づいて手を取ってくれる音鳴はとても苦しそうで寂しそうで顔を見るだけで辛かった。
タコ)もぅ、帰ってこないの、?
ケイン)店長はロスサントスを去り、前の街に帰る、帰ってくることはない、と。
ケイン)、、申し訳ないです。
涙が止まらない。ただ下を向いて足の震えを見ていた。
タコ)ごめん、ちょっと出てくる、
オトナリ)、、わかった
ケイン)お気をつけて。
おぼつかない足取りで豪邸を出て先程貰ったヘリに乗る。車内は綺麗に整頓されており、音鳴が整理したんだなと少し笑う。
タコ)あいつ整理整頓苦手だったしッ、笑
タコ)ッもぉ、、、思い出すなぁ、泣
ヘリで思い出の場所へ次々と向かう。
タコ)、、ぅ、泣
たびたび見てきた貴方の姿を思い出して涙が溢れる。なんで、という疑問とともに感謝も出てくる。
私についてきてくれたレダーさん達
タコ)、、これも運命
頼りなかったと思う。署長のくせに1人じゃろくに検挙出来なかったし。そのたびにみんなに支えてもらって。いっぱい煽りあって。
逃げた時追いかけてくれると思わなかったよ。けどいつの間にか帰っちゃって。
まだ話してないこといっぱいある
自慢してないこといっぱいある
煽りたいこといっぱいある
まだ一緒に犯罪したい
まだ一緒にバカ笑いしたい
まだ一緒に居たい
警察だけでなく運命すらも敵に回してしまったのだろう。
砂浜に着き、海に向かって叫ぶ。
タコ)ッばかやろぉぉぉぉッッッ!!!泣
この声が届けばいいのに。
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