テラーノベル
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「……勉強になります」
「かっけーなぁ、大山さん」
大人の男はカッコいい。
大人になってもまだ、自分より年上の男にはそう感じることがある。
*
向かった先は、会社からそう遠くない刺身が自慢の居酒屋だ。座敷には衝立があり、そこまで騒がしくはない。
他に残っていたやつにも声をかけたが、みんな予定があったらしく、結局俺と恭平と大山さんの三人だけだ。
足を崩して乾杯をした途端に、大山さんが俺に狙いを定めた。
「で、深山君はどうなっているんだ」
「どう、とは?」
まだ大して飲んでもいないのに、大山さんが前のめりに来るのがなんだかおかしい。
警戒して構えると、彼は眼鏡を直してずいと俺の顔を覗きこんできた。
「私の目はごまかせんぞ。六十六銀行の副頭取が君に狙いをつけてるっていうじゃないか」
「……どこでそういう話仕入れるんですか、大山さん」
思わず脱力してしまう。
俺が今日聞いた話を、何故今日はずっと会社にいたはずの大山さんが知っているんだ。
「マジすか。ヘッドハンティングされてんの? 深山」
予想外の話題に、恭平は楽しそうだ。大山さんがおしぼりで彼の頭をチョンと小突く。
「馬鹿、社長を引き抜くやつがどこにいるんだ。婿殿としてだよ。実は副頭取、何度か私に深山くんのプライベートについて聞いてきていたんだよな。副頭取のお孫さん、現在二十一歳なんだそうだよ。就職させるより見込んだ男に嫁がせようって魂胆なんじゃないかな」
なるほど、そこが通じていたのか。
そういえば、大山さんは俺が独身なのを良く思っていないんだった。
『今はそうでもないが、昔は配偶者を得てようやく一人前と言われたものだ。君も社長なんだからいつまでもフラフラしてないで……』というのが、飲み会のときの大山さんの常套句だった。
辟易した顔を隠さずに無言でいたら、恭平のほうが焦ったように俺に突っかかってきた。
鷹槻れん

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鷹槻れん

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#年の差
水無月 京
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#大人の恋
月詠 涼
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コメント
1件
番外編、楽しく読ませてもらいました!大山さんの「私の目はごまかせんぞ」のセリフ、渋くてかっこよかったです。恭平の「マジすか」とのんびりした反応との掛け合いが絶妙でしたね。深山さんが「どこで仕入れるんですか」と脱力するところに、先輩後輩の温かい距離感を感じました。大人同士の会話の空気感がすごく好きです。続きも気になります!