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「はい、じゃあ説明などはここまで。今後も何か質問があれば、僕か他の先生に聞いてね」
「帰る時、気をつけてね。さよなら〜」
今年の担任がそう言う。
担任の叶先生優しそうで良かった〜。先生とはまだ会話はできそう…。
あ、そういえば剣持くん…だっけ?その人とお話するんだった。
「おーい、甲斐田くーん」
お、噂をすれば…。ちゃんと会話できるかな…。
「は、はい!」
「そんな敬語じゃなくていいのに」
「あ、…そう?」
「うん、クラスメイトなんだからさ」
「そっか、えっと… 」
「僕は甲斐田晴。呼び方はお好きなように…」
「わかった、じゃあ晴くんって呼ぶね」
「うん」
うわぁぁぁ!早速名前呼びだぁ!…普通ってそんなもんなの!?
「僕の名前は剣持刀也。晴くんも好きなように呼んでね」
「あ、じゃあ…刀也くん、で… 」
な、名前呼びにしちゃった!!苗字の方が良かったのかな!?うぅ…、全然わからん!
「ん、了解」
あ、名前呼びで良さそう!まあ相手も名前呼びだし。ひとまず安心!
「そうだ、家ってどこら辺?」
「えーと…、○○ら辺だよ… 」
「えっ!ホント!?」
「僕もそこら辺だよ!」
マジか…!
「え、ホント? 」
「うん」
「そうだ、もし晴くんが良ければだけど、一緒に帰ろうよ」
えっ!?ヤッバいそれは僕がしぬ。ハヤトがいるからまだ大丈夫か…。ハヤトに一緒に帰っていいか聞こう一旦、一旦ね?
「ぁ、えと、ちょっと友達に一緒に帰ってもいいか聞いてきても良いかな…?」
「うん、わかった」
ーーー
…甲斐田くん、いや、晴くん、 友達できたんだ…。ま、晴くんが幸せなら良いか。
僕の事忘れてるなら、長尾くんと弦月くんの事も忘れてるって事、だよね…?…あの二人にも会いたいな…。晴くん連れて。晴くんが二人を忘れてる事知ったら悲しみそうだけど。…何かがきっかけで思い出したりしてくれないかな。
「と、刀也くん…!聞いてきたよ」
「あ、どうだった?」
「いいよだって」
「そっか!良かった」
晴くんの新しい友達、どんな人なんだろ。
「あと、ちょっと遅れていくから先に行っててだって」
「ん、じゃあ行こっか」
「うん」
晴くんは健気で可愛いな。
「ねぇ」
ーーー
あぁ〜!!ハヤト、新しい友達もう作ってた!しかも陽キャっぽい人!…僕もコミュ力を身に付けなければ!
そんな事を呑気に考えていると、突然クラスメイトが話し出す。
「ねぇ、桜魔皇国って知ってる?」
「ッえ…?」
ど、どうして急に桜魔の事を…?
「流石に知ってるか」
「ぇ、あ、…うん」
なんで?
「僕ね、桜魔の人に…」
嫌だ、聴きたくない。聞きたくない。どうせ、桜魔への恨みつらみを…。
「助けられた事があるんだ」
「…へ?」
え?桜魔の事を恨んでないの?憎んでないの?この国では桜魔を嫌っている人が大半なのに。助けられたって一体何に?桜魔には他国の人を助ける余裕なんて無かったはずなのに。
「僕、化け狐っぽいのに大切な御守りを取られちゃって、そいつを追いかけてたら桜魔に迷い込んじゃってさ」
「そこで、同い年ぐらいの男の子が声かけてくれて」
「御守り取り返してくれたうえに、道案内までしてくれたんだ」
「僕、桜魔の人達は悪い人ばっかじゃないと思うんだよね」
「晴くんも、きっとわかってくれるでしょ?」
「え、ぁ」
「あと、話はそれちゃうんだけどさ」
「その子と仲良くなって、よく桜魔に遊びに行ってたんだけど、その子、急にいなくなっちゃって」
「その子の友達に聞いても、知らないって言うもんだから」
「僕、探し回ってたんだけど」
「その子って、君、晴くんだよね?」
「ぇ?」
なんで?僕にはそんな記憶一切…。…いや、ある。記憶が。
…全部、思い出した。
思い出したよ。