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そのうちに、あたりは、すっかり秋らしくなりました。ある晩、ごんは、ぶらぶら歩いて、兵十の家(うち)の近くまで行きました。すると、家の中から、だれか話し声が聞こえました。
ごんは、そっと裏口からのぞいてみました。
中には、兵十と、加助(かすけ)というお百姓が、火鉢(ひばち)をはさんで、お酒を飲んでいました。
「なあ、加助」と、兵十が言いました。
「おれは、このごろ、妙(みょう)なことがあるんだ」
「何が妙なんだ」
「おっ母が死んでから、だれだか知らんが、毎日、おれの家の裏口へ、栗や松茸を置いていってくれるんだ」
「へえ、だれが」
「それがわからんのだ。おれが気がつかないうちに、置いていくんだ」
ごんは、それを聞いて、うれしくなりました。
加助は、しばらく考えていましたが、
「それは、きっと、神様のしわざだ。お前が、ひとりぼっちになったのを、哀(あわ)れに思われて、神様が、毎日、栗や松茸を、恵んでくださるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、毎日、神様にお礼を言うがいいよ」
ごんは、つまらなくなりました。
「おれが、毎日、命がけで、栗や松茸を運んでやっているのに、神様のしわざにされては、引き合わないな」
と、ごんは思いました。
四段落 終わり