電気も点けず真っ暗な部屋のソファに、翔太はいた。
💚「翔太、来たよ」
声をかけるも反応はない。
いつもは矢面に立って強い言葉と態度で他人を守る事が多い翔太は、番組でもその色がいじられキャラとして濃くなってきている。
そのぶん、批判や陰口は増える。
強いように見せかけて、傷つきながら何でもない顔をしているだけ。
傷が増えれば疲弊して倒れてしまうのは当たり前のことだ。
限界を感じると、翔太は俺を呼ぶ。
恋人というのは八つ当たりにちょうどいいんだろう。
それでも、限界を迎えてなお誰にも言わないよりは良いと思うから喜んでサンドバッグになりに行く。
いつもは、ああだこうだ俺に指図して飲んだくれて表に吐けない暴言を曝け出して寝るのに付き合う。
でも今日は様子が違う。こんなに反応がないのは初めてだ。
💚「翔太」
近くに行って呼びかけ、そっと髪に触れようとしてその異様さに気づく。
翔太は座っているだけなのに汗だくで、虚ろな目をしていた。
💚「翔太!翔太」
肩を叩いて呼びかけ、力を少しずつ強める。
3回目でやっと翔太はゆるゆると焦点を合わせ、俺をその瞳に映した。
💙「あべちゃん」
💚「来たよ、だいじょう……」
その手から転げ落ちたのであろう、市販の頭痛薬が目に入る。
翔太がこんなんなので医師から処方してもらう薬は最低限にしてもらっていたのに、市販のそれは大量に開封された跡があり一気に血の気が引いた。
💚「翔太。これ、一度に飲んでないよね?」
💙「………」
翔太はすぐに答えず、しばらくしてから口を開いた。
💙「頭痛、おさまんなくて」
💚「うん」
💙「寝られなくて…」
💚「飲んだの?」
💙「ごめんなさい……」
ため息をついて、冷えた手を握る。
💚「翔太、そんな事して俺と会えなくなってもいいの?」
この言葉は翔太を確実に傷つけるけど、行き過ぎた行動を止めるには一番有効な諸刃の剣みたいなもの。
今は迷いなく使う。案の定翔太はハッとしてぽろぽろ涙を流し首を横に振った。
💙「やだ、やだ、あべちゃん」
💚「お前、今俺が来た時どっかいってたよ。俺すごく心配した」
💙「ごめんなさい…」
泣き縋る翔太をそっと抱きしめる。
💚「二度とこんなバカな事すんな」
💙「しない。しないから……」
💚「お願いだから、先に俺呼んで?」
💙「うん、うん」
そのうち、泣き止んですり寄ってきた。
💚「何してほしい?」
💙「頭なでて。寝るまでいて」
💚「いいよ」
💙「セックスもしたい」
💚「順番逆だろ」
言いながら、キスをして服に手をかける。
俺がしてやれる事なんて限られてるし、今回みたいな事もあるかも知れない。
俺は自分の不甲斐なさを、翔太は恐らく誰かに必要とされている実感を、それぞれ身体を重ねることで埋めようとしていた。
終
コメント
11件
かわいい 35周回ってしょぴかわいい💙
しょぴにひえ、てなってあべちゃんがかっこよくてほっとしました…🥺😳 私も身体を重ねるターンを探しました🥺😂🙏
男らしい阿部ちゃんの言葉にどきどき💙そしてサンドバッグにされがちな(めめのときも)阿部ちゃんに動揺したんですけど、この後の身体を重ねるターンはつぎのページに載ってますかぁ???🥺🥺🥺