🧹 作文大会の手紙
コアに相談して気持ちがスッキリしてからというものセレネは元通り明るくなりました。菓子屋「ラ・ラ」に行くこともなくなり、コアたちと楽しい毎日を過ごしていました。
しかし、楽しいですけど、暇でした。修行時間以外はだらーんとしてるしかないのです。「暇だねえ、セレネ」暇だねといいながらおもちゃで遊ぶコア。「うんってコア!あんたはおもちゃがあるじゃない」「んー。まあねー」コアはちょいちょいと左足で緑色のボールをつついて遊んでいます。
「ママー」セレネは起き上がり、魔女ママことフレイアのもとへいきました。セレネが向かった先には黒い髪で、光加減で藍色にも見える髪をした魔女のもとでした。
「何?」「暇ー」棒読みのようにセレネは魔女ママに言いました。「そうなの?じゃあこれ、やってみたら?」魔女ママが持っていた白い紙をセレネに渡しました。「なにこれ。作文大会?」金色の文字で、「魔女っ子作文大会」と書かれていた紙だった。「あたし、作文苦手だから」セレネがそう言うと、「あら。そうなの?暇つぶしにはいいと思うけど」と魔女ママが言った。と、セレネの目に、銀色で書かれた文字が入った。そこには、『お題は、なりたいもの。です。パートナーと共になりたいものなので、パートナーがいる魔女っ子ではないと出れません。』「…ママ、ありがと。でもあたし、作文苦手だから大丈夫」そういうなりその紙を握りしめ、コアがいる二階の自室に駆け込んだ。「コア!」バンっと扉を開け放つとコアはびくっと驚き、こちらを向いた。「なにすんのさ。」ちょっと怒った声でコアがいうとセレネは紙をコアの前に置いた。
「なにこれ?」「魔女っ子作文大会」「やるの?」「やるわけないじゃん。あたし作文嫌いなんだから」「あ、そうか。そうだよね。セレネが作文なんて書いたらただの愚痴になるか?いやそれとも変な文になるか」「な、何を言うの?コア?」「だってほら。このノートに愚痴がたっぷり。」そう言うなり、コアはベッドから勢いをつけてジャンプし、棚の一番上に飛び乗った。そしてなにやらコソコソと動くと、飛び降りてきた。
コアがくわえていたのは黒い小さいノートと万年筆。「あたしのノートの悪想消筆!」「あくそうしょうひつ?」「そ。嫌なことがあったときにこの万年筆で愚痴を書くとすっきりするってやつ。」「ふ〜ん」「というかどこで見つけてきたの?それ」「忘れた。でもおいてあったから読んだよ。ほぼ全部暗記した。」コアのこの一言にセレネは放心状態のようになりました。
「えっと、例えば、今日、学校で理科の薬作りの授業があった。オッカード・カーズエが顔を近づけてきてすっごい気持ち悪かった。体作りの組体操で、チツーヤ・ブリューローが変な事言うから友達とあたしが出血し、さらに休み時間が削られてすっごいムカついた。ズズーキ・ナナヨクバリが色々大きい声でうるさいこというから耳が死んじゃう。とか色々あったね。」「…よく覚えたね」
「ま、まあところで、この魔女っ子作文大会なんだけど、お題を見てみて」手汗で少し滲んだ紙をコアは覗き込んだ。「なりたいもの?パートナーと?」「うん。そうなんだって。」
そう言うと、ふと、セレネの頭にコアと出会った時のことが鮮やかに蘇ってきた。
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