🧹 コアとの出会い
ほんの少し前なのに、まるで何年も前のようで、それではっきりと色鮮やかに思い出せます。
セレネは朝からほうきに乗って青空の中を進んでいました。それはセレネの一族が保健所に行ってきなさい。と言ってきたのです。
保健所。本当に現実の世界でもあるその施設は捨てられたり、捕まえられた犬や猫をドリームボックスと言われる箱で二酸化炭素で窒息死させます。
セレネもそのことを知っていて、「どこがドリームボックスなの?捨てた人間を放り込んでやりたい」と心底思うほどでした。
そして魔女たちはみんなほぼここでパートナーを見つけます。
そうです。セレネはまだパートナーとなる動物がいなかったのです。だから行くことにしたのでした。
そして更にほうきで飛び、保健所につきました。そこには何匹もの犬と猫がいました。子供からお年寄りまでまでたくさんの犬猫がいました。
参加したのはセレネだけでしたが、セレネは思わず、泣いてしまいました。
まるで、犬猫たちが、「もらって!」と叫んでいるように見えたのです。
と、そこで一匹。一匹の猫にセレネは惹かれました。いえ、引き寄せられたというのでしょうか。涙目でゆっくりとセレネは近づきます。セレネが一歩踏み出すたびに猫の表情が明るくなったようでした。セレネは更に近づきます。
セレネはケージまで近づきました。
ケージの中には一匹の子猫がいました。涙でつやりと輝く目は黄色。体は角度を変えるとチョコレート色になる黒色です。まだ小さい子でした。子猫でしょうか。
側の保健所を管理している魔女が開けてどうぞ、というように促してきました。セレネは促されるままにケージの扉を開けました。そして、涙目をこすると、子猫を抱き上げました。
大きいつぶらな黄色い瞳がセレネを見つめてきます。「あたしのパートナーになってくれる?」「いいよ。もちろん」子猫は、まるで待っていたよと言わんばかりでした。
管理人は、セレネの前に来るといいました。「おめでとう。セレネちゃん。」深くかぶっていた帽子を取るとセレネは驚きました。「コーナさん!」コーナはセレネの近所に住む家具屋を営んでいます。話によると保健所の管理人でもあるというのでした。
「さよなら〜」セレネは挨拶をすると子猫を抱いたままほうきにまたがり、飛びました。家に帰るまで。
「ちょっと!セレネ!聞いてる?」「え?あ、コア?」「なりたいもの考えよってさっき言ってたじゃん。思いついたから聞いてよ」
そういうなり、コアは居住まいを正し、しかとセレネを見つめました。
コメント
8件
いや〜感動というか…いい話やね〜
安定にいいお話!めちゃめちゃ続き気になるやつやん😭