5つ子×一松
一松がキャラ崩壊どころかおま誰
見にくいですが一松が話す時は平仮名
「一松に会いに行くぞぉ〜!!!」
幼子1人通る事すら厳しい狭い通路を意図も容易く通り抜けていく黄色のパーカー。
青年、十四松はこの先にある空き地に住み着く黒猫、一松の友達であった。
暗い路地をひたすらに走り、先に見える光を目指す。
路地裏から抜ければ突然の光に目がちりちりと痛み、視界がホワイトアウトする。
十四松はぱちぱちと目を数回開閉して辺りを見渡した。
空き地の真ん中に置かれた小さな土管。
そこから伸びる黒い尻尾を目敏く発見した十四松は土管へ駆けて行った。
「一松!」
反対側の土管口から顔を覗かせれば幸せそうに破顔して眠る一松がいた。
しかし十四松の声で目が覚めたのかゆっくりとした動作で十四松を見遣り、這って十四松の元へ歩いてきた。
「んなぁ?…なぁお〜」
一松が眠たげな半目を少し見開いて十四松の胸元へ飛びつく。
十四松も幸せそうに一松を抱き締める。
「えへへ!だって毎日会いたいもん!」
十四松は一松の言っていることが分かるらしく、いつも猫に対して話し掛けている。少し不気味…というのが兄弟からの目線だ。
十四松はパカッと開いた口を袖で隠し、くふふと笑った後に一松にキスを落とした。
「一松、僕の家に来てよ!」
一松は目を丸くして十四松を見つめた後、ふすっと鼻を鳴らした。
一松は普段見ることも無い景色が全く別の視点で流れていくのを感嘆の声を漏らしながら見ていた。
十四松が一松を抱き締めて走ればあっという間に十四松の家へ着いた。
「CRただいまー!!!」
一松はきょろきょろと辺りを見回し、十四松へしがみついた。
落ち着いた足音を響かせながら此方へ近付いてきたのは緑色のパーカーを身に纏ったチョロ松であった。
「あ、チョロ松にーさん!」
十四松がぴょんぴょんと飛び跳ねると連動して一松のふわふわとした毛も跳ねる。
「おかえり…って、猫じゃん…野良?やめてよもう…元いた所に返して来なさい!」
一松を射抜くように鋭く睨むチョロ松は咋に顔を歪めて手で迷惑そうにあしらった。
「野良だよ!一松!飼いたい!ね!お願い!一松は綺麗だよ!」
きゅるるんと可愛く上目遣いでチョロ松を見つめる十四松の顔を見てバツが悪そうに後頭部を掻くチョロ松は溜息を着いた。
「っはぁぁぁ…。おそ松兄さんに聞いてから!!ったく。まずはその猫、風呂に入れてきて!」
十四松はラジャー!と敬礼して一松を抱き抱えたまま走り出した。
何が何だか分からなかった一松だが、突如目の前に現れた水場に驚き、十四松の腕から飛び降りて暴れ回った。
「フシャァァァァァ!!ニ”ャ”ァ”ァ”ァ”!!」
シャンプーやリンスのボトルにぶつかり、風呂場内に騒音が響く。
「一松!大丈夫だよ!僕も入るから!」
暴れ回る一松を素早く抱き上げ、いつの間に裸になったのか十四松は風呂場に飛び込んだ。
以外にも十四松の手付きは優しく、一松もすっかり落ち着いて全身から優しく押し寄せる快感に身を委ねていた。
「んにゃぁっ…くるるるる…」
その声に十四松は気分を良くし、ニコニコとしながら一松に話しかけていた。
「気持ちいいの?良かった!これ流したら終わりだよ!でも僕も洗うから待っててね」
一松は目を細めながらふすっと鼻を鳴らし、頭上から流れる温水をぶるぶると飛び散らかした。
十四松は一松を傍において自分の身体や頭を洗い始めたが、それは一松に掛けた時間よりも短く、一松が心配になる程だった。
「わはー!一松びしょびしょ!」
自分の方がびしょ濡れだと言うのにも関わらず、十四松は丁寧に一松を拭いた後ドライヤーで乾かした。
一松はドライヤーの温風に意識が向き、いつの間にか船を漕いでいた。
数分すればドライヤーは終わり、おそ松とカラ松が帰宅した。
「たっだいまぁ〜!長男様のお帰りだぞぉ〜」
「フッ…華麗に帰宅するこのオレ…!」
2人を無視して兄弟は清潔になった一松を捏ねくり回していた。
「清潔になったから毛並み整えてやる。」
「獣臭く無くなったね♪僕に相応しいよ!褒めてあげる♪」
一松は上から目線のチョロ松と獣臭いと言ったトド松に怒り、十四松に抗議した。
「フシャァッ!!!」
「あは〜!一松怒ってる!チョロ松にーさん、一松は僕にブラッシングされたいって!トド松、ばーか!だって!」
一松は2人に威嚇した後フリフリとお尻を振って十四松の背中側へ座った。
チョロ松とトド松が面白くなさそうに顔を歪めたと同時に拗ねたおそ松といつも通りのカラ松が襖を開けて入ってきた。
おそ松は不満を垂れようと口を開きかけたが、十四松の背に凭れるように座る一松を見て紡がれる筈だった言葉は也を潜めた。
「っえ!!クロじゃん!なんで居んの?!」
一松もおそ松の声と”クロ”という言葉に反応して顔を上げた。
その後のっそりと身体を上げておそ松の脚へすりすりと擦り付けた。
トド松とチョロ松は唖然とし、カラ松も驚いたように声を上げた。
「え…コクロ…?」
一松はおそ松の脚から視線をあげ、カラ松の脚にもすりすりと擦り寄った。
短時間で飛び交う三つの名前にトド松は半ば呆れたような声で十四松へ呼び掛けた。
「ちょっと十四松兄さん!?この猫の名前結局なんなの?!」
話を振られた十四松はあっけらかんとした顔でトド松を見据えた。
「え!一松だよ!ねー!一松!!」
十四松が満面の笑みで両手を開けば勢いよく十四松の胸元へ飛びつく。
おそ松とカラ松も自分で付けた名前で呼んでいた為少しショックを受けたが、チョロ松からの熱烈な視線に意識が戻った。
「なぁにチョロちゃん♡そんなに見つめちゃやぁよ♡」
「きめぇ。死ね。…てか、この一松?を十四松が飼いたいって言ってるんだけど…」
おそ松が表情1つ変えずに笑った。
「え!いーじゃん!松代には俺から話しとくー!よろしくないちまちゅ♡」
この話は終わりだ、とでも言いたげにチョロ松から一松へ視線を移したおそ松をジト目で見つめるチョロ松心境は泥沼だった。
翌日、無事松代もOKサインを出し、正式に一松をこの家へ迎えた。
一松は常に十四松やおそ松、カラ松にベッタリだったが日毎にチョロ松やトド松ともじゃれるようになった。
そんな事が1ヶ月程続いたある日、いつも通りデカパンの所で一松の診察をしてもらおうと十四松が一松を抱いて椅子に座っていた。
一松は借りてきた猫のように大人しく十四松の膝の上で器具を取りに行ったデカパンを待っていた。
そこにデカパンの助手として研究所に住んでいるダヨーンが十四松にメロンソーダを、一松にミルクを差し出した。
その時、偶運んでいた怪しげな色をしている薬がダヨーンの腕から放り投げられ偶一松に掛かってしまった。
一松は突然の事に驚き、ギニャァァァと悲鳴を上げて暴れた。
その後突然パタリと力なく倒れた。
十四松が慌てて一松に近寄ろうとした時、薄紫色の煙が突然現れて一松を包み込んだ。
デカパンも騒音に驚きホエホエと慌てながら走ってきた。
三人は煙に噎せ、薄く目を開いた。
そこには固く目が閉ざされた裸のとても美しい少年がいた。
「え、ええええええええええええ?!?!」
十四松が慌てて少年を揺すると少年は薄く目を開いた。
その瞳はアメジストのような紫であり、照明が反射して輝いていた。
十四松は少年の美貌に見蕩れ、喉が引き攣った。
少年は何度かぱちぱちと瞬きをした後、起き上がって十四松に抱きついた。
「じゅーしまぅ!」
十四松は唖然とし、震える手を少年の肩へ置いて引き剥がした。
「い、い、いいいいいちまつなの????」
少年、基い一松は笑顔で頷き、十四松より幾らか小さい身体でぴょんぴょん飛び跳ねた。
「にんげん、なた!!」
十四松の混乱した思考はあっという間に宙の彼方へ飛んで行き、ただただ破顔して一松の頭を撫でた。
呆然としていたデカパンだったが、電話してくるダスと言い残して奥へ消えていった。
数分後、パタパタと戻ってきたデカパンは薬について説明した。
「申し訳ないダスが、この薬は試作品でいつ効果が切れるのかが分からないダス。もしかしたら猫に戻らないなんて事も視野には入れておかないと駄目ダス。とにかく一松君はこの服を着るダス。」
一松はきょとんと説明を聞いていたが、分からないのか十四松の袖をうりうりと弄っていた。
そこで渡された服をモゾモゾと着ると、とても可愛らしい十四松のパーカーの色違いであった。
一松の瞳のような紫のパーカーの中心に松があり、一松は気に入ったのかニコニコして十四松の膝の上へ座った。
そうしているうちに研究所のドアが勢い良く開かれ、四人が入ってきた。
「「「「一松!!」」」」
一松は其方を振り向き、にっこりと笑った。
「あー!おそまぅ!かあまぅ!ちょおまう!とおまぅ!」
十四松の膝から飛び降りておそ松へ抱き着く。
おそ松は鼻血を出しながら倒れ、後頭部を強打した。
次におそ松が目を覚ましたのは普段就寝している布団の上だった。
覗き込んでいたのは飴玉のような瞳を不安げに揺らしていた一松だった。
「だい、じょおぅぶぅ?」
口を開く毎にチラチラと見える赤い舌に小さな牙。
頭上にはスコティッシュフォールドのようにペタリと下げられた猫耳。
尊いを具現化したような一松におそ松はにへらと笑った。
「大丈夫だよぉ。一松心配してくれたの〜?優しいねいちまちゅ〜♡」
おそ松が思い切り両手を開けば一松は少し瞳を揺らした後、ガバッと飛び付いた。
胸元にグリグリと頭を擦り付ける一松を優しい手つきで撫で、耳をカリカリと掻いてやる。
そうしていればすぐに聞こえてきた喉の音に顔を綻ばせ、耳にキスを落とそうとおそ松が少し頭を下げたその時。
「「「「長男コ”ラ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!」」」」
襖を勢いよく開けた弟達に石臼を投げられ、おそ松はまたもや布団に撃沈した。
おそ松の胸に飛び込んでいた一松は驚き、悲鳴を上げながら猫宛ら天井付近まで飛び上がった。
「一松!おいで!!こっち!」
十四松がすぐさま両手を開き、一松を抱き締める。
「じゅうしまつ!おなかすいた!」
ぷるぷると震えていた一松を心配げに撫でていた十四松も、周りにいた兄弟も皆目を点にして驚いた。
震えていたのは空腹だったからなのか?
すぐさま十四松は一松を抱き抱えて階下へ向かった。
「じゃあご飯食べよ!」
抱き抱えられた一松の視線の先には既に起き上がったおそ松とチョロ松が取っ組み合いをしていた。
一松はくふふと笑い、十四松の肩に顔を埋めて尻尾をパタパタと振った。
スマホを構えて一松の写真を撮っていたトド松の手からスマホが滑り落ち、カラ松の爪先に鈍い音を立てて着地した。
「ア”ーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!」
意図せず増えた家族だが、松野家は今までもこれからも平和…?うん、平和、平…和?
(色々めちゃくちゃですね、すみません。)
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