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「えっ、本当に……!?」
口に手をあてて、駅前の雑踏に立ちすくむ。もしかしたらと思いはしたけれど、チーフの口から本気で伝えられるとは夢にも感じていなかった。
衝撃のあまり棒立ちになる私に、矢代チーフは、「いろいろとヒントは出してきたつもりだったんだがな。目をかけていると言ったり、こうやってペアのグッズをプレゼントしたり」と、やや困ったようにも話した──。
「だってそんな……だってチーフは、前にミコ&リコを好きな理由を聞いた時に、アミとエミに似てるからって。だから私は、あの二人のことをチーフは気にかけていてって……」
以前にカフェで話した時、確かにそう言っていたはずなのにと思う。
「そうは言ったが、その後に、まだ続けようとしていただろう?」
チーフの言葉に、あの時『それに──』と、まだ話を続けようとしていたのを、自分がもう聞きたくはなくて遮ってしまったことが、にわかに思い出された。
「だけど……、」
まさか、そんな話を続けようとしていたなんて……と、思いも寄らなくて半ば呆然としている私に、
「こないだ言えなかったことを、もう一度ちゃんと話すと、『それに、ミコは君の名前にも似ているから』だ。ただ君の方から先に振られていたその話を、あえてまた自分からは言い出しにくくてな、ついそのまま流してしまったんだ」
矢代チーフが低めな耳触りのいい声で、そう迷いなく伝えてくれた──。