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(・・・あ、今日、俺の誕生日だ)
銀さんは、カレンダーを見て、気がついた。
最近ドタバタしており、自分の誕生日を忘れかけていたのだ。
(・・・そういえば、昔、ばーちゃんがケーキ買ってきてくれてたなぁ・・・)
ふと、昔のことを思い出した。沢山のいちごをあしらったいちごタルト。甘くて、酸っぱくて、とても、美味しかった。
頬にクリームが付いていると、笑いながら取ってくれた、亡き祖母のことを。
銀さんの目尻に涙が溜まる。
「いっけね・・・学校行かなきゃ!」
銀さんは慌てて涙を拭き、学校へ向かった。
✵✵✵✵✵
銀さんが靴箱のドアを開けると、1枚のカードが。
「なんだこれ?イタズラか?」
銀さんはそのカードを開いた。黄色のカードだ。
『いつも、壊れた教室や、壊れた部品などを直してくれて、ありがとう』
「・・・手紙、か?・・・一体誰が・・・」
すると、手紙の下には「教室へ→」
と。
銀さんは首を傾げつつ、教室へ向かった。
✵✵✵✵✵
「えーっと、次は体育館か・・・てか、これで7枚目だな・・・」
銀さんの手には7枚のカードが。
しかも、それぞれ色が違うし、中身も全部銀さんに対してのお礼の言葉ばかり。
それを貰うと、なんだかとてもむず痒く、少し恥ずかしい気持ちになる。
銀さんは水色のカードの手紙の下に書かれた場所へ向かう。
中は真っ暗だった。
「・・・えーっと、ここに行けばいいんだよな?」
と、手紙に視線を移した途端、パッと明るくなる。
すると、目の前にすまない先生達が立っていた。
「すまない先生?それに、みんなも・・・」
「ふふふ!銀さん!」
と、すまない先生と生徒たちが道をあけた。後ろには、沢山の料理に、ケーキが。
「「「「「「「お誕生日おめでとう!!銀さん!!」」」」」」」
そうすまない先生達は笑顔を向けた。
銀さんは思わず目を丸くした。
「・・・え・・・これって・・・」
「驚いた!?僕らからのサプライズパーティー!みんなで計画してたんだ!」
「ロウソクもありますよ」
「ジュースもケーキもあるぜ!」
「僕が料理した」
「俺と兄貴は飾り付け!な!」
「めんどくさかったけどなー」
「兄貴!!」
「はぁぁあああ!!俺も手伝ったぞ!!!」
「マネー、途中でうっかりマグマに落ちて死んでたじゃねぇかよ!」
そうワイワイすまない先生達は話していた。ふと、銀さんの反応がないことに気づくすまない先生。
「銀さん?どうし・・・」
すまない先生達が銀さんの顔を覗き込む。すると、
ぽたっぽたっ・・・
「・・・え?・・・あれ?」
銀さんの頬を伝って、涙が零れた。銀さん自身も驚いたように涙を拭う。
「え、銀さん!?!?えっ!?どうしたの!?」
「どうしましたか?どこか具合でも?」
「え、えっ!?どうしよう!兄貴!!」
「落ち着け弟!おい、どうした?銀さん」
「どうした、誰にやられた?待ってろ、僕が仕留めてくる」
「待て待て待て!!何故俺に向ける!?!?俺は何もしていなぁい!!」
「どうしたんだよ!銀さん!!腹でもいてぇのか!?」
銀さんは慌てて首を横に振る。
「違っ・・・違う・・・ただ・・・嬉しくて・・・っ!」
銀さんはそう涙を拭う。皆は顔を見合せ、そして、銀さんを抱きしめた。
銀さんは思わず顔を埋め、しばらく泣いていた。
──そのあと、みんなでケーキを食べた、とても甘くて、とても、美味しくて、少し懐かしい味だった。